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富士経済、農産加工品・畜肉加工品などの加工食品4カテゴリーの市場調査、キムチの2020年市場見込は733億円で前年比10.1%増に

2021.05.28 18:34 更新

 総合マーケティングビジネスの富士経済は、新型コロナウイルス感染症流行の影響から家庭内調理や家飲みでの需要を取り込み伸びている畜肉加工品や、市販用は伸長するも業務用が外食業態の不調により減少している農産加工品、水産加工品、乳油製品の市場を調査した。その結果を「2021年 食品マーケティング便覧 No.6」にまとめた。トピックスとして、キムチは2020年が733億円(前年比:10.1%増)に達し、2021年が748億円(前年比:2.0%増)と予測する。納豆は同1422億円(5.5%増)に達し、同1430億円(0.6%増)と予測する。はるさめは同165億円(14.6%増)に達し、同158億円(4.2%減)と予測する。やきとり缶詰は同38億円(15.2%増)に達し、同38億円(増減なし)と予測する。ツナ加工品は同798億円(1.0%増)に達し、同801億円(0.4%増)と予測する。

 この調査では、農産加工品27品目、畜肉加工品12品目、水産加工品20品目、乳油製品15品目合計4カテゴリー74品目の市場の現状を把握し、将来を予想した。

 キムチは、2018年はキムチに含まれる乳酸菌が大腸の老化防止につながる点や簡便に食物繊維を摂取可能できる点がメディアで取り上げられたことによって、需要が増加し、市場は拡大した。2019年も引き続きメディアに取り上げられたことによって、市場は前年を上回った。2020年は、新型コロナウイルス感染症の流行に関連して、キムチの摂取により免疫力向上が期待できることが報道され、注目度が高まったことから需要が急増し、市場は拡大するとみられる。豚キムチやキムチ鍋といったメニューの調理具材としての需要が高いことや、臭いへの懸念もあって用途や食シーンが限られていたが、購買者の定着とともに、食シーンの多様化が進むとみられ、2021年の市場は拡大すると予想される。

 納豆は、2018年はTV番組で“納豆の栄養素が血管や骨の老化を防ぐ”と放送されたことで需要が増加し、高伸長となった。2019年は前年の高い伸びの反動もみられたが、「金のつぶ たれたっぷり!たまご醤油たれ」(Mizkan)が好調となり、市場は微増となった。2020年は、業務用はホテルなど宿泊施設や外食、給食向けなどの需要が低下しているが、市販用は“納豆は免疫力アップが期待できる”とメディアで取り上げられたほか、緊急事態宣言の発出に伴う外出自粛により在宅時間が増加し内食が増えたことが追い風となり好調なため、市場はプラスになるとみられる。2021年は内食の需要は高止まりするものの、さらなる上乗せは厳しいとみられるため、市場は微増が予想される。消費者の健康志向がこれまで以上に高まっており、今後は味や機能面などさらなる付加価値による差別化が進むとみられる。

 はるさめは、2018年では、鍋や韓国料理などの食頻度が増加しており、上位企業の積極的な販促活動も行われ、市場は拡大した。2019年は鍋以外のサラダメニューなどに用途が広がり需要が増えたため、市場は引き続きプラスとなった。2020年は巣ごもり需要を獲得し定番メニュー以外の用途拡大がさらに進んだことや小麦系のめんよりも低カロリーなイメージがあることから“コロナ太り”対策として好調であり、市場は大幅に拡大するとみられる。存期間も長く、使い勝手の良い食材として利便性が再認識されたことで、安定した需要は続くとみられる。2021年の市場は前年の反動減が想定されるものの、家庭内調理における利用が進むことから、2022年以降は拡大が予想される。

 やきとり缶詰は、おつまみ需要や備蓄需要などを取り込み市場は拡大している。2019年は台風などによる備蓄需要の増加やビールメーカーの販促強化の一環で伸びるなど、市場は大幅に拡大した。2020年は上位企業のプロモーション強化に加えて、家飲みのおつまみとして需要が増加しているため、市場はさらに拡大するとみられる。家飲み需要の増加によって、2022年以降市場は微増が続くとみられる。

 ツナ加工品は、料理具材としておにぎりやパン、サラダなど幅広い用途で使われ大きな市場を形成してきた。市販用が市場の8割以上を占めるが、調理頻度の減少や簡便な調理品などへのシフトに加えて、不安定な原料事情を受けた販促控えの影響などから伸び悩みが続いた。2019年は前年のサバ缶ブームによって奪われた需要の回復がみられたほか、上位企業による販売強化が需要喚起につながり、市場はプラスとなった。2020年は家庭での調理機会の増加に伴って、汎用性の高い料理具材として需要を獲得し、市場はプラスとなるとみられる。今後も新しい生活様式の定着が追い風となり、安定した需要が続くことで、市場は微増すると予想される。また、近年は原料価格の安いカツオを使用した商品が好調なことから、消費者の価格志向がさらに強まるとみられる。

 2020年見込として、農産加工品では、キムチや納豆による免疫力向上の効果への期待がメディアで報道され需要が急増しているほか、はるさめが内食需要の高まる中で鍋やサラダ以外のメニューへ用途が広がったことで好調なものの、市場規模が大きい漬物や豆腐、冷凍野菜が外食業態の落ち込みを受けて業務用が不調なためマイナスとなり、市場は縮小するとみられる。

 畜肉加工品では、汎用性の高いベーコンの好調が続いていることや内食需要の高まりから近年頭打ち感がみられていたハム類が伸びている。ソーセージ類は家庭での使用量の増加を背景に大容量を中心に増えており、焼豚はおつまみのほかラーメンや炒飯の具材としての需要が増えている。また、やきとり缶詰は家飲み需要を取り込み伸びるなど、市場はプラスになるとみられる。

 水産加工品では、健康意識の高まりにより風味かまぼこが好調を維持して水産練製品をけん引している。水産缶・パウチは家庭内調理の増加によってツナ加工品が伸長する一方、青魚缶詰・パウチは喫食頻度の増加につながらず、市場規模の大きいのりは構成比の高い業務用の低迷が響き減少していることから、市場は縮小するとみられる。

 乳油製品では、プロセスチーズやナチュラルチーズは市販用で製菓や料理などの調理用途で家庭内需要を獲得しており伸びているが、生クリームは外食店や洋菓子店向けで減少していることから、市場は縮小するとみられる。

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]2020年12月~2021年2月
[体裁]A4判 343頁
[小売価格]
書籍版:11万円
書籍/PDF+データ版セット:15万4000円
ネットワークパッケージ版:22万円
(すべて税込)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp/


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