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矢野経済研究所、国内の食品D2C(Direct to Consumer)市場の調査、消費者のライフスタイル・消費行動の変化と食品通販市場の伸長が成長を後押し

2021.04.26 11:53 更新

 矢野経済研究所は、国内の食品D2C(Direct to Consumer)市場を調査し、市場動向、カテゴリー別動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。その結果、国内外で注目を集めているD2Cビジネスが食品分野にも波及。消費者のライフスタイル、消費行動の変化と食品通販市場の伸長が成長を後押した。

 D2C(Direct to Consumer)とは、一般的には自社で企画・開発した商品を中間事業者や小売事業者を介さずにオンラインなどを中心に直接消費者に販売するビジネスモデルをさすが、同調査における食品D2Cサービスとは、自社で開発・製造(OEM含む)した商品を、消費者(ユーザー)との繋がりを重視し、自社のオンラインサイトを中心に直接消費者に販売するモデルと定義する。

 食品通販市場が追い風の状況にある中で、食品D2Cサービスについてもここ2~3年で急激な成長を見せており、2020年度の食品D2Cサービス市場規模は前年度比158.1%の340億円を見込む。

 既存の参入企業においては、製造・販売体制が固まってきたことで、本格的な顧客獲得の段階に入り販売を伸ばしていることに加え、2020年度も新規参入事業者が多く見られるなど、一社あたりの売上の増加と新規参入企業の増加といった2つの要因から市場が急成長している。また、2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、食品通販や食品宅配の需要が拡大していることも市場拡大を後押ししている。

 食品D2Cサービス市場はまだ立ち上がってきたばかりであることから、規模はまだ小さいものの、その成長度合いは加速度的である。

 これまで食品D2Cブランドを展開しているのはスタートアップ企業が中心であったが、D2Cに注目が集まる中、大手食品メーカーや飲料メーカーにおいてもD2Cブランドの立ち上げや、オンライン専用商品の開発などそれに準ずる動きを見せてきている。コロナ禍で人々の往来が制約されるなか、従来からの店舗ビジネス(食品卸から小売店舗への商品流通)が変化しつつあることや、今後のデジタルトランスフォーメーション(DX)を見据えて大手食品・飲料メーカーも流通改革を進めていく必要があり、一つのアプローチとして自社ブランドにおいて販売まで一貫して行うD2Cモデルに注目している側面もある。

 D2Cのプラットフォームサービスの提供やコンサルティングサービスなど、D2Cビジネスを支援する企業などへの大手食品・飲料メーカーからの相談は、特に2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり大幅に増えているとされる。水面下で準備を進めている企業も多いと見られることから、2021年以降、大手食品・飲料メーカーからのD2Cビジネスへの参入事例もより顕在化するものと考える。

 食品D2Cサービス市場は消費者の嗜好の変化から、大量生産による一般的な商品だけでなく、個々の好みに応じたニッチな商品も受け入れられる土壌が出来ており、今後も大手食品メーカーを含め新規参入企業が増えてくるものとみる。また、消費者のD2Cブランドに対する認知度の向上、食品におけるEC化の高まりなどを好材料に、拡大基調が続いていくものと予測する。

 オンライン販売が中心とはなるものの、実店舗を含めたオムニチャネル(オムニチャネルとは、消費者(ユーザー)とのタッチポイント(接点)や販売経路を、オンライン、オフライン含めてすべて統合させることで、消費者にアプローチする施策)での展開が増えてくることが想定されることから、実店舗とオンライン販売の双方の送客による好循環が市場拡大を後押しするとみられ、今後の成長が期待される。

[調査要綱]
調査期間:2021年1~3月
調査対象:食品D2C参入企業、支援サービス企業等
調査方法:同社専門研究員による直接面談(オンラインを含む)、電話・e-mail等によるヒアリング、ならびに文献調査併用

[発刊日]4月7日(水)
[体裁]A4 277ページ
[小売価格]16万5000円(税込)

矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp/


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