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TPCマーケティングリサーチ、国内のベーカリー市場について調査、2019年度は前年度比1.0%増の1兆6915億円に

2021.03.10 11:54 更新

 TPCマーケティングリサーチは、国内のベーカリー市場について調査を実施した。その結果、2019年度のベーカリー市場は、気候や消費税率の改定によって、前年からパン食ニーズが拡大し、前年度比1.0%増の1兆6915億円となった。

 2019年度のベーカリー市場は前年度比1.0%増の1兆6915億円となった。同年度は夏季の気温が低下したことで、通年でパン食のニーズが拡大。また、10月の消費税率改定によって外食産業からユーザーが流出し、家庭用商品やテイクアウト型のベーカリーが消費を拡大した。

 業態別にみると、家庭用・業務用のホールセール事業の売上が全体の7割強を占める1兆2136億円、店舗でパンを製造・販売するリテールベーカリーの売上は構成比28.3%の4779億円となった。

 ホールセール事業では、消費税率改定に伴う内食ニーズの増加に対応し、各メーカーが食事パンの拡販に注力している。例としてフジパングループ本社では、「ネオバターロール」や「本仕込」シリーズの食べ方提案に注力。手軽においしさを引き上げる方法を発信し、食シーン拡大を図っている。

 また、リテールベーカリーでは、スクラッチ製法を採用したベーカリーの売上規模が増加。この背景には、高級食パン専門店の事業規模が拡大していることが要因として存在している。乃が美ホールディングスやT.H.Sなどの企業は2018年から2019年の間に販売店の増設を図り、新規顧客を獲得することに成功した。

 2019年度のベーカリー市場を種類別にみると、食事パンが構成比45.6%を占める7711億円となった。これに対し、菓子パンが4596.5億円(同27.2%)、デニッシュが2031億円(同12.0%)、惣菜パンが2410億円(同14.2%)、その他が166.5億円(同1.0%)となっている。

 トップの食事パンは前年度比2.7%増と堅調に推移。消費税率の改定によって内食の機会が拡大し、ホールセールを中心に好調な推移をみせた。

 一方、菓子パンや惣菜パン、デニッシュは前年度から伸び悩む状態が続いている。これらの商品は、砂糖や油脂の多さから健康志向のユーザーに敬遠される傾向にあり、ミドル・シニア層におけるニーズが停滞。既存のユーザーについても CVS スイーツの拡大や、高級食パンの台頭などによってニーズを奪われる形となっている。

 2020年度に発生した新型コロナウイルス感染症によって、食事パンの消費はさらに加速することとなった。まず、在宅ワークなどの新しいライフスタイルが普及していく中で、菓子パンや惣菜パンの喫食シーンが減少。これに対してコストパフォーマンスに優れる商品としてホールセールの食事パンが評価され、利用数を増やしている。各メーカーでは、他社との差別化を図るため、コストパフォーマンス、品質、健康、安全性、環境配慮など多様な付加価値を掛け合わせた食事パンを開発しており、ユーザーのニーズをさらに深耕する商品政策が活性化している。

 また、在宅によってレジャーなどの機会が減少したことで、手頃な価格帯の嗜好品に対するニーズが増加。これによって高級食パンのブームが持続し、一過性の流行から新しいジャンルとして定着しつつある。同ジャンルについては、今後も新規参入が増加していくとみられ、他社との差別化を図った原料や製法など専門店の独自性を出したブランディングが重要性を増している。

 一方、営業時間の短縮などで大幅な減収が予測されるリテールベーカリー事業では、サブスクリプションや、デリバリーなど新しい販路の獲得に向けた取り組みを進めている。冷凍技術の発達や、外食事業におけるデリバリーサービスが急速に普及したことで、製パン事業者でもこれらの事業を取り入れようとする動きが活性化。特に都心を中心とするリテールベーカリーでは、食品ロスにも対応できる取り組みとして、コロナ終息後もこれらの事業が拡大していくとみられる。

[調査対象]国内でベーカリー事業を展開している企業を調査対象としている。具体的にはホールセール事業(家庭用・業務用)、リテールベーカリー事業(スクラッチベーカリー・ベイクオフベーカリー)を展開している企業を調査。菓子専門店や外食店は除外しているが、ベーカリーカフェについてはカフェの売上を除く形で調査を行った。商品の種類については、食事パン(食パン含む)、菓子パン、デニッシュ、惣菜パン、その他の5種類を対象としている。
[調査対象企業]アンデルセン・パン生活文化研究所、山崎製パン、フジパングループ本社、敷島製パン、ドンク、神戸屋、岡野食品ホールディングス、サンジェルマン、ポンパドウル、スイートスタイル、ブーランジェリーエリックカイザージャポン、乃が美ホールディングス、第一屋製パン、など
[調査期間]2020年12月~2021年3月
[発刊日]3月5日(金)
[小売価格]10万8900円(税込)

TPCマーケティングリサーチ=https://tpc-cop.co.jp/


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