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TPCマーケティングリサーチ、食系企業の乳酸菌事業戦略について調査、2019年度乳酸菌応用製品市場は前年度比0.2%増の7452億円に

2021.03.22 12:27 更新

 TPCマーケティングリサーチは、乳業メーカーおよび飲料メーカーの乳酸菌事業戦略について調査を実施した。その結果、2019年度における乳酸菌応用製品市場は、前年度比 0.2%増の7452億円となった。

 2019年度における乳酸菌応用製品市場は、前年度比0.2%増の7452億円となった。消費者の乳酸菌に関する理解度が深耕したこともあり、安定的に増加傾向で推移してきたこともあって、ここ10年で54.0%増となっている。一方で2019度は、前年度比伸長率としてはここ10年で最も低い伸長率となっている。また、ここ3年の伸長率をみても以前に比べると落ち込んでおり、市場としては既に成熟しつつある。

 対象分野への参入企業は、ヨーグルトを主力商品としている乳業メーカーをはじめとして、飲料メーカー、食品メーカー、清酒メーカー、健康食品メーカーなど幅広い。近年、これらのメーカーが保有する菌株の機能研究が進み、様々な訴求に繋がる研究成果を公表している。そのうえで、機能性表示食品制度も踏まえて、様々な機能を持った商品を上市することで消費者ニーズを取り込みつつ他社との差別化を図る動きが加速している。具体的には、“肌の潤いを保つこと”を訴求する「タカナシ flora ドリンクヨーグルト」(タカナシ乳業)や、“ストレス緩和”と“睡眠の質向上”を謳う「Yakult 1000」(ヤクルト本社)、“目の健康”を謳う「iMUSE eye KW 乳酸菌」(キリンホールディングス)、“体脂肪低減”の「ラクフィット」(サントリーホールディングス)などがある。

 主要企業の事業見通しをみると、大きくは(1)自社乳酸菌の機能研究の推進、(2)マイクロバイオーム研究の推進、(3)グローバル化の推進、(4)トクホや機能性表示食品の活用に注力する見通しだ。

 このうち(1)については、各社とも様々な機能研究を実施。コロナウイルス流行下において免疫力向上を訴求する商品のニーズが高まっているが、同訴求のみならず多様な機能性訴求を模索することで他社との差別化を図る動きが活発化している。とりわけ、日本初の免疫力向上訴求の機能性表示食品を「iMUSE」ブランドで取得しているキリンホールディングスは、新たな生活様式に適した機能を訴求できないか模索することで、ウィズコロナ・アフターコロナ時代における消費者ニーズの先取りを果たそうと努めている。

 続いて(2)について、マイクロバイオームに関する研究は、世界的にみても歴史は決して長くはないが、病気の予防に繋がると期待して活発化。現在、超高齢社会に突入している日本でもセルフメディケーションによる病気の予防が1つの課題となっており、消費者のセルフメディケーション意識の高まりと歩調を合わせたマイクロバイオーム研究の進展が期待されるところである。

 (3)については、ヤクルト本社が早くから海外事業を展開してきたが、近年になって他の企業も海外進出を活発化させている。とりわけ、コロナウイルスの流行によって世界的に免疫力に対する意識が高まっていることから、免疫訴求や腸内環境の重大性を併せてアピールすることで積極的なグローバル展開を模索する傾向にある。

 最後に(4)については、2020年にはキリンホールディングスが「iMUSE」ブランドで機能性表示食品を取得したことで売上が急増。コロナ禍に免疫力向上を訴求したタイミングの良さも相俟ってではあるが、機能性表示食品の取得がブランド力の向上に大きく寄与した。今後も、各社は消費者ニーズを捉えた商品展開を行うことで、自社ブランドの一層の確立に努めていく方針である。

 このほか、乳酸菌事業のさらなる拡大を実現すべく、雪印メグミルクやキリンホールディングスは生産体制の強化に努めている。また、森永乳業のように、B to B 事業として自社乳酸菌の素材供給事業を拡大する方針を採用している企業もみられる。

 応用製品化の方向性としては、乳酸菌飲料・清涼飲料水に関する市場を中心に、乳酸菌応用製品市場は成熟しつつあることから、同市場の中でも比較的順調にコロナ禍で成長を続けているヨーグルト市場に注力する企業が増えている。一方で、ヨーグルト市場への参入が増えることで同市場のレッドオーシャン化が急速に進むことも予想される。しばらくはコロナウイルスの影響もあって、免疫力向上や腸内環境からの健康を求めて市場が拡大することは期待できるが、コロナ後の消費者ニーズに如何に対応していくかが問われている。

[調査要覧]
調査対象:主要な食系企業の乳酸菌事業戦略。具体的には、各社の研究開発(具体的な研究開発成果、特許など)、応用製品、売上高について。品目としては、店販・通販問わず市販されている乳酸菌飲料やヨーグルト、健康食品、嗜好品、清涼飲料水や流動食などをターゲットとしている
調査対象企業:明治、森永乳業、雪印メグミルク、江崎グリコ、協同乳業、タカナシ乳業、ヤクルト本社、カゴメ、アサヒグループホールディングス、キリンホールディングス、サントリーホールディングス、伊藤園
調査期間:2020年10月~2021年3月
発刊日:3月16日(火)
小売価格:10万8900円(税込)

TPCマーケティングリサーチ=https://www.tpc-cop.co.jp/


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