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富士経済、加工食品の市場調査、2020年見込では嗜好飲料や炭酸飲料が縮小、新しい生活様式に適応した提案が求められる

2021.03.12 17:13 更新

 総合マーケティングビジネスの富士経済は、レジャー施設・外食店の休業や営業時間短縮に伴い外食業態向けなど業務用が縮小している品目と在宅時間の増加によって需要が増加する品目で大きく明暗が分かれている果実飲料、炭酸飲料、乳性飲料、嗜好飲料、健康飲料などの市場を調査した。その結果を「2021年 食品マーケティング便覧 No.4」にまとめた。2020年市場見込(前年比)と2021年市場予測(前年比)では、無糖炭酸飲料は2020年が697億円(10.1%増)、2021年が765億円(9.8%増)となった。簡易抽出型コーヒーは2020年が620億円(9.7%増)、2021年が670億円(8.1%増)となった。ドリンクヨーグルトは2020年が1775億円(5.3%増)、2021年が1783億円(0.5%増)となった。2020年見込で嗜好飲料や炭酸飲料が縮小するとみられる。

 この調査では、果実飲料8品目、炭酸飲料6品目、乳性飲料9品目、嗜好飲料11品目、健康飲料9品目、その他飲料9品目、嗜好品19品目の市場の現状を把握し、将来を予想した。

 野菜飲料(果実飲料)は、2020年見込が736億円(前年比:104.2%)、2021年予測が720億円(前年比:97.8%)となった。トマト以外の野菜を原料とした飲料を対象とする。

 健康意識の高まりによって手軽に野菜の栄養素を摂取できることで需要を獲得してきたが、2014年、2015年はスーパーフードのブームによって需要が流出し市場は縮小した。しかし、2016年以降はトマト飲料のブームを受けて健康性が再認識されたことで市場は拡大が続いていた。

 2019年は飲みやすいフレーバー展開をするなど若い世代をターゲットとした商品展開や販促活動がみられたものの、豆乳などほかの品目へ需要が流出し、市場は縮小した。

 2020年は新型コロナウイルス感染症の流行拡大を受けた外出自粛など運動不足による不安から需要を獲得し、”1日分”など野菜摂取による健康訴求がより高い商品や、大容量の商品を中心に好調であり、市場はプラスとなるとみられる。

 今後は、たんぱく質や豆乳など他の健康訴求の品目へ需要が流出するとみられ、市場は微減が続くと予想される。

 無糖炭酸飲料(炭酸飲料)は、2020年見込が697億円(前年比110.1%)、2021年予測が765億円(前年比109.8%)となった。水に二酸化炭素(炭酸ガス)を溶かした無色透明で味や香りを添加しない飲料で、カクテルやサワー、チューハイなどの割り材や直飲みで用いられる商品を対象とする。

 アルコールの割り材として需要を獲得してきたが、「ウィルキンソン」(アサヒ飲料)のペットボトルが発売されたことを機に直飲み需要を取り込み市場拡大が続いている。2019年は消費者の健康志向の高まりなどを背景に止渇性飲料としての需要を獲得し、特に「ウィルキンソン」の好調が続き、市場は拡大した。2020年は直飲み需要に加え家飲みの割り材の需要も取り込み「ウィルキンソン」が引く続き好調なほか、「キリンレモン スパークリング 無糖」(キリンビバレッジ)など新商品の相次ぐ発売で活性化し、大幅に市場が拡大するとみられる。

 今後は、直飲み需要の増加に加え、健康意識の高まりによる有糖飲料からの需要流入が進行しているほか、家飲みの増加に伴い割り材用途として市販用の需要が高まっており、ユーザーや用途の多様化がさらに進むとみられ、市場は拡大を続けると予想される。

 ドリンクヨーグルト(乳性飲料)は、2020年見込が1775億円(前年比105.3%)、2021年予測が1783億円(前年比100.5%)となった。乳等省令に基づく発酵乳規格の商品のうち、飲用商品を対象とする。

 2019年は「明治プロビオヨーグルトPA-3」(明治)や「トリプルヨーグルト」(森永乳業)など、機能性表示食品が好調となったことで、多数終売となるNB商品がみられたものの、市場はプラスとなった。2020年は新型コロナウイルス感染症の発生で、体調管理に気を遣うユーザーが増加し、「明治プロビオヨーグルトR-1」や「トリプルヨーグルト」の好調が続き、市場は拡大するとみられる。

 今後も、感染症の予防をはじめ、風邪やインフルエンザなどに対する免疫力アップを求めるユーザーが増えるとみられるほか、機能性表示食品は乳酸菌による機能性の訴求を強化し、新商品の発売や既存品からのリニューアルが活発化し、市場拡大が期待される。

 食系ドリンク(健康飲料)は、2020年見込が2160億円(前年比100.6%)、2021年予測が2250億円(前年比104.2%)となった。清涼飲料規格の栄養ドリンクの中で、薬系ドリンクと類似した味を持ち、滋養強壮機能を訴求する商品を対象とする。

 カフェインやアルギニンなどの成分を複数含有し、エネルギー補給を訴求した主に缶入りで高単価な商品であるエナジードリンクが市場をけん引している。2019年は冷夏の影響などから苦戦するブランドもみられたが、「モンスター」(アサヒ飲料)が好調だったほか、「コカ・コーラ エナジー」(コカ・コーラシステム)の発売も加わりエナジードリンクの需要が増加し、市場は拡大した。2020年は「モンスター」が依然として好調を維持しているほか「ゾーン」(サントリー食品インターナショナル)の発売によりエナジードリンクが伸びているため、CVSなどのチャネルでは外出自粛による来客数の減少の影響を受けているものの、市場は微増するとみられる。

 今後、主要チャネルの1つである自販機などでは、外出減などの影響から苦戦するとみられるものの、引き続き在宅時の気分転換などの需要を取り込んで市場は拡大していくと予想される。

 簡易抽出型コーヒー(嗜好品)は、2020年見込が620億円(前年比109.7%)2021年予測が670億円(前年比108.1%)となった。粉砕したコーヒー豆(粉)をフィルターにセットした商品およびコーヒーバッグでお湯を注ぐだけで簡単にコーヒーが淹れられる商品を対象とする。

 飲み切りでコーヒー豆の酸化を防げるほか、コーヒーフィルターを用意する必要がないなど簡便性が高いことや、手軽でおいしいドリップコーヒーが作れるといった付加価値型商品の発売が奏功し、2019年の市場は拡大した。2020年は在宅時間の増加によって外食からのコーヒー需要の取り込みが進んでいる。簡便性が支持されたことで、市場は大幅に増加するとみられる。

 2021年も同様に、缶コーヒーなどのリキッドコーヒーや外食のコーヒー需要からの流入が続くとみられ、今後も市場は拡大すると予想される。

 2020年見込では、果実飲料は、野菜飲料や果実野菜混合飲料が健康需要の高まりから好調となっている。また、市場規模が大きい100%果汁飲料や果汁飲料、低果汁入清涼飲料がチルドの大容量が家庭内需要を獲得し好調であるものの、業務用が新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、販促活動が制限されたほか、外出自粛によるパーソナルタイプの需要の減少で苦戦し、市場は縮小するとみられる。

 炭酸飲料は、無糖炭酸飲料が健康意識の高まりや割り材用途での需要増により高成長しているほか、透明炭酸飲料も「三ツ矢」(アサヒ飲料)の好調がプラス要素であるが、夏季の天候不順で止渇需要が減少し、多くの品目が苦戦しているため、市場はマイナスとみられる。

 乳性飲料は、飲用牛乳が生乳生産量減少により販促活動が抑制されたほか、学校給食向けが不調となっている。また、乳飲料ではコーヒー系乳飲料ではパーソナルサイズが苦戦しているため、乳製品乳酸菌飲料やドリンクヨーグルトが体調管理意識の高まりにより好調となっているにもかかわらず、市場は縮小するとみられる。

 嗜好飲料は、コーヒー飲料では缶コーヒーがテレワークの増加に伴うオフィスでの需要減少によって自販機やCVSを中心にパーソナルタイプの需要が減少しているほか、茶系飲料も在宅時間の増加でリーフやティーバッグへ需要が流出しているため、市場は縮小するとみられる。

 健康飲料は、食系ドリンクに含まれるエナジードリンクが好調となっているものの、機能性清涼飲料やパウチゼリー飲料は外出自粛の影響からCVSなどでの販売が落ち込み、市場は縮小するとみられる。

 その他飲料は、希釈飲料がビネガードリンクやコーヒー飲料などで在宅時間の増加により、ストック性や経済性が評価されニーズが拡大し好調となっている。また、国産ミネラルウォーター類は通販や量販店で大容量商品を中心に好調であるものの、パーソナルタイプの需要が大きく減少し、市場は縮小するとみられる。

 嗜好品は、レギュラーコーヒーが市販用でコーヒーショップや喫茶店などの外食需要が流入し、簡易抽出型コーヒーが好調となっているなど、在宅時間が長くなっていることでコーヒーを淹れる価値が再認識され活性化しているが、外食機会の減少によりコーヒー需要縮小の影響が大きいため、市場は前年割れをするとみられる。

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]2020年10月~12月 [小売価格]
書籍版:10万円
書籍/PDF+データ版セット:14万円
ネットワークパッケージ版:20万円
(すべて税別)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp/


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