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矢野経済研究所、国内の宅配水市場およびその周辺市場に関する調査、コロナ禍で家庭用の水の使用量が増加

2021.02.18 20:31 更新

 矢野経済研究所は、国内の宅配水市場及びその周辺市場を調査し、セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。その結果、コロナ禍によって、家庭用の水の使用量が増加し、引き続き成長が続く宅配水市場であることがわかった。

 2019年度の宅配水市場規模は、末端金額(エンドユーザー販売金額)ベースで前年度比105.6%の1462億円と市場拡大が続いている。新規顧客の獲得ペースは以前ほどの勢いはないものの、上位企業を中心に着実に販売本数を伸ばしていることが拡大に繋がった。

 2020年度の市場規模は同106.9%の1563億円が見込まれる。コロナ禍によって大企業を中心に在宅勤務が行われたことで、法人向けの新規開拓は難しく、水の使用量も減少している。一方で、在宅時間の増加によって個人向けの水の使用量は増加した。新規顧客獲得については、ショッピングモールの店頭等でのデモ販売は行いにくい環境であったものの、WEB経由での新規開拓は好調に進み、テレマーケティングについても普段は家に居ないような人にもアクセスしやすかったため、効率よく行うことができた。また、一部の上位企業では、引き続きデモ販売による新規獲得が好調に推移している。

 子どもをきっかけに宅配水サービスを利用し始める顧客が多いことから、多くの企業が「ママ」や「妊婦」などをキーワードにした購入プランを用意して新規獲得を図っており、実際に新規申し込みの引き金(動機)になっている。

 一方、シニア層の獲得を狙う企業も増えている。シニアに向けた下置き型サーバーや小容量の容器の採用、水の使用量が少ない傾向にあるシニア層向けに契約期間や水の使用本数の縛りを設けないサービスを提供するなどの取り組みがみられる。2020年度は新型コロナウイルス感染拡大によって、重症化リスクがあるシニア層は「外出したくない」、「買い物の回数を減らしたい」と考える人が多かった。そのため、買い物頻度を減らすことができ、重い水を運ばずに済む宅配水を契約するシニア層が増加する動きがみられた。

 宅配水市場では成長率が鈍化傾向といわれるが、伸びしろが多いエリアやシニア層への開拓など、新規顧客獲得への深耕が進むほか、配送効率を上げるために特定のエリアへ注力するなどの取り組みによって、引き続き市場拡大が続いていく見通しである。但し、顧客数が減少した企業も出てくる他、配送費を始めとしたコストアップ要因への対処、ワンウェイ事業者、リターナブル事業者ともにラストワンマイル配送体制の安定化などが、事業継続の鍵となってくる。加えて、類似サービスである水道直結型ウォーターサーバー(POU:Point of Use)市場と、水道水を補充する給水型ウォーターサーバー市場が伸長しており、宅配水の競合となる可能性もある。

 また、1件当りの新規顧客獲得単価が高くなっていることで収益確保に苦慮するようになっていることや、競争環境が激化したこと、コストアップ要因も重なっていることから、事業譲渡や市場から撤退する動きも見られるようになっている。今後はリターナブル方式とワンウェイ方式の上位企業、または法人向けに特化した企業など、ある程度の数に集約されていく可能性が高い。

[調査要綱]
調査期間:2020年11月~2021年1月
調査対象:宅配水製造企業等
調査方法:同社専門研究員による直接面談、電話によるヒアリング、ならびにアンケート調査、文献調査併用
[体裁]A4 386ページ
[小売価格]12万円(税別)

矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp


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