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富士経済、アルコール飲料・調理済食品市場の調査、2020年市場見込ではノンアルコールビールが前年比3.9%増726億円に

2021.01.18 12:20 更新

 総合マーケティングビジネスの富士経済は、2020年は外食需要の落ち込みによって縮小するとみられるアルコール飲料や調理済食品の市場を調査した。その結果を「2021年 食品マーケティング便覧 No.2」にまとめた。トピックスとして、ノンアルコールビールでは2020年市場見込(前年比)が726億円(3.9%増)となり、2021年市場予測(前年比)が775億円(6.7%増)に達する見通しだ。冷凍お好み焼きでは2020年市場見込(前年比)が177億円(7.3%増)となり、2021年市場予測(前年比)が186億円(5.1%増)に達すると見込まれる。

 この調査では、アルコール飲料33品目、冷凍調理済食品22品目、チルド調理済食品6品目、その他調理済食品5品目、計66品目の市場の現状を把握し、将来を予測した。

 注目市場として、ノンアルコールビール(アルコール飲料)は、酒税法で酒として扱われない、アルコール度数1%未満のビール風味の発泡飲料を対象とする。2009年に「キリンフリー」(キリンビール)が発売され、市場が一気に拡大した。市販用が中心で、特定保健用食品や機能性表示食品の発売など需要開拓が行われていたが、近年は需要に飽和感がみられていた。2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響で健康意識が高まる中で、免疫力を高めるべく家庭内での飲酒量を気にする消費者が増えたことや、コロナ太り対策として需要が活性化しており、市場が拡大するとみられる。

 ビール類、国産新ジャンルビール風味アルコール飲料(アルコール飲料)のうち、国産新ジャンルビール風味アルコール飲料は、ビール風味でありながら酒税法上、「リキュール(発泡性)(1)」「その他の醸造酒(発泡性)(1)」に分類される商品を対象とする。2014年から2017年にかけて市場は縮小が続いていたが、2018年は「本麒麟」(キリンビール)が発売され、コクや飲み応えがある本格感を訴求した商品として大ヒットし、市場が拡大した。2020年は巣ごもり需要に加えて前年の増税に伴う節約志向の高まりや、「本麒麟」に続いて本格感を訴求した新商品の投入が相次いでいることから、引き続き拡大が続くとみられる。

 一方、国産新ジャンルビール風味アルコール飲料を含むビール類は、アルコール飲料で最も市場規模が大きいが、ハイボールやチューハイといったRTDなどへ需要が流出し、縮小が続いている。2020年は、国産ビールが外出自粛や外食業態の休業の影響により業務用が苦戦し、ビール類は前年比二桁減が見込まれる。

 RTD(アルコール飲料)は、チューハイやハイボールなど、アルコール度数10%未満でそのまま割らずに飲用できるアルコール飲料を対象とし、このうちアルコール度数が7%以上のものを高アルコールタイプとする。アルコール度数やフレーバーの多様性が支持されているほか、ビール類からの需要シフトもあり高い伸びが続いている。近年は、高アルコールタイプがコストパフォーマンスの良さもあり、市場をけん引している。

 2020年は家飲み需要の増加により拡大しており、市場は前年比12.4%増が見込まれる。また、10月の酒税法改正によって値上げされた、競合の国産新ジャンルビール風味アルコール飲料からのシフトも予想され、今後さらなるユーザー獲得が期待される。なお、健康志向の高まりにより、ノンアルコール飲料(市場対象外)やスタンダードタイプを選択するケースもみられており、高アルコールタイプは今後ほかの品目との競合が増えていくとみられる。

 冷凍お好み焼き(冷凍調理済食品)は、調理後に冷凍されたお好み焼き、モダン焼き、チヂミ、ねぎ焼き、いか焼きを対象とする。単身世帯や共働き世帯の増加などによる個食化の進展もあり、市販用、業務用ともに拡大している。2020年は、業務用は量販店の惣菜を中心とした中食向けが主体なことから横ばいにとどまり、市販用は外出自粛による在宅時間の増加によって家庭内での昼食や間食需要が増加しており、市場は引き続き拡大するとみられる。今後市場は、業務用が人手不足に伴う簡便化ニーズの増加により、市販用が買い置きニーズの増加により拡大が続くとみられる。

 冷凍ギョーザ(冷凍調理済食品)は、形成後や調理後に冷凍したギョーザを対象とし、冷凍水ギョーザは含まない。市販用が中心であり、夕食のおかずとしての需要のほか、おつまみ需要など喫食シーンの広がりがみられたことや、水なし、油なし、ふたなしでもきれいに焼けるといった調理の簡便化と時短により、市場は市販用を中心に拡大を続けている。2020年は、外食向けの減少により業務用が大幅に縮小している。一方、市販用は家庭内で食事を作る機会が増えたことによる需要増加に加え、新規ユーザーの取り込みにより好調で、市場は引き続き拡大するとみられる。

 チルドハンバーグ(チルド調理済食品)は、冷蔵の畜肉系ハンバーグを対象とする。簡便性の高い電子レンジ調理対応商品や夕食のおかず向けの高付加価値商品の人気により拡大が続いている。元々家庭内での需要がメインであるが、2020年は巣ごもりによる買いだめ需要の獲得や、トライアルユーザーの増加により量販店を中心に好調であり、例年以上に伸びるとみられる。今後も積極的な新商品投入やフレーバー展開が行われることで、市場は拡大していくとみられる。

 2020年見込では、アルコール飲料は、外出自粛や外食業態の休業の影響を大きく受けており前年比7.3%減が見込まれる。これまで好調だったウイスキー、国産ワイン、クラフトビール、スピリッツなどが縮小に転じ、ビール類では国産ビールの前年比20%以上の減少により縮小が続くとみられる。一方、市販用比率の高いRTDは家飲み需要が増加したことで拡大が続いている。

 冷凍調理済食品は、巣ごもり需要により市販用が好調な一方、高いウェイトを占める業務用が外食向けを中心に苦戦しており、縮小するとみられる。これまで拡大をけん引してきた冷凍からあげのほか、冷凍カツなどが縮小し、冷凍ハンバーグは前年比二桁減が見込まれる。冷凍ギョーザは市販用がけん引しており、冷凍グラタン類や冷凍お好み焼きは市販用に加え、業務用でも中食惣菜向けが堅調なことから、伸長するとみられる。

 チルド調理済食品は、業務用が冷凍調理済食品へシフトしていることから、市販用が中心である。巣ごもり需要の恩恵を受け、拡大するとみられる。チルドハンバーグをはじめメインメニューとしての需要が好調、チルドギョーザとチルドシューマイは家飲み時のおつまみとしての需要も獲得しており、今後も伸びるが予想される。

 その他調理済食品は、業務用が中心であり、卵焼き類などの苦戦により縮小するとみられる。うなぎの蒲焼は低迷が続いているものの、外食店でのテイクアウトサービスの展開や市販用での巣ごもり時の“プチ贅沢需要”を獲得したことで、例年に比べて小幅な減少になるとみられる。

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]2020年8月~10月
[体裁]A4判 317頁
[小売価格]
書籍版:10万円
書籍/PDF+データ版セット:14万円
ネットワークパッケージ版:20万円
(すべて税別)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp/


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