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富士経済、市販用高齢者向け食品の国内市場調査、2030年には278億円と予測

2020.12.23 17:51 更新

 総合マーケティングビジネスの富士経済は、女性の社会進出や老々介護など介護の担い手の変化、政府による在宅介護の推進によって拡大が期待される市販用高齢者向け食品の国内市場を調査した。その結果を「市販用高齢者向け食品の現状と将来展望」にまとめた。トピックスとして、市販用高齢者向け食品市場は2030年に278億円に対すると予測する。

 この調査では、市販用の高齢者向け食品を飲料、主食、おかず、おやつ・デザートといったメニュー別、ドラッグストアや通販などチャネル別に分析した。

 市販用の高齢者向け食品市場は1990年代後半に形成されたが、自家調理との競合や出来合い品への抵抗感などによって、高齢化が進展する中でも小規模にとどまっていた。しかし、政府が施設介護から在宅介護へ本格的に舵を切っていることに加え、女性の社会進出や老々介護など介護の担い手の変化、訪問介護での人手不足などで調理の簡便化ニーズが高まり、市場は緩やかながらも拡大している。

 2020年は、新型コロナウイルス感染症の感染防止のためデイサービスなど介護施設の利用機会が減少したことで需要の高まりが期待されたが、介護者の在宅時間が伸び自家調理が増えたことから、大きな追い風にはならなかった。しかし、変わらず需要は堅調であり、市場は拡大するとみられる。

 近年ではサルコペニア・フレイル予防の浸透によって、たんぱく質などの栄養補給の重要性が認知され、日常的な栄養補給を訴求した「メイバランス」(明治)などの流動食が要介護者以外の高齢者の需要も取り込んでいる。高齢者人口の増加や調理の簡便化ニーズの高まり、要介護者に加え食が細くなった高齢者などユーザーのすそ野が広がることで市場は拡大していき、2030年には278億円が予測される。

 市場をけん引するのは自家調理と競合せず、サルコペニア・フレイル予防や熱中症予防のニーズを取り込む飲料であり、市場の6割を占める。主食は、米飯類が自家調理と競合しやすいため、他のメニューに比べユーザーや市場は限定的であるが、簡便性を求めるユーザーは日常的に使用するため、リピーターが多い。おかずは、各社が幅広いメニュー展開を行っている。自家調理と競合するものの、舌でつぶせたり、かまなくてもよいものは、調理に手間がかかることからニーズが大きく、商品数が増加している。介護者の時短ニーズの増加や、購入による手抜き感と抵抗感が軽減されることで需要は高まっていくとみられる。おやつ・デザートは、一般加工食品のヨーグルトやゼリーとの競合があるものの、少量でも栄養補給が可能な高たんぱくな商品などが好調である。

 チャネル別では5割近くをドラッグストアが占め、次に比率が高いのは通販である。ドラッグストアや量販店などは一般食品と比べ回転率の低い高齢者向け食品の棚が広がりにくく、メーカーはAmazonなどの総合通販や介護食専門通販の注力度を高めている。

 カタログ通販は、ECに不慣れな介護者による底堅い需要があり、病院や介護施設の関係者から介護者へカタログが紹介されることが多い。2020年は新型コロナウイルス感染症の流行による外出自粛により、病院や介護施設を経由した新規ユーザーの獲得が停滞したものの、まとめ買いのしやすさもあり、二桁近い拡大が見込まれる。ECは、費用対効果の面でコストや労力のかかる自社通販から撤退する企業が多く、店頭認知度が高い商品は総合通販への移行が進んでいる。介護食専門通販ではスマートフォンでの注文が増加しており、2020年は店舗購入からのシフトもみられる。

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]9月~10月
[小売価格]
PDF版:30万円
ネットワークパッケージ版:45万円
(すべて税別)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp/


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