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富士経済、除菌・消毒ケア・ヘルスケア関連用品の市場調査、2020年市場では手洗い推奨で需要が急増したハンドソープが328億円と前年比88.5%増へ

2020.12.17 11:43 更新

 総合マーケティングビジネスの富士経済は、新型コロナウイルス感染症流行によって家庭用マスクやハンドソープといった除菌・消毒ケア品目では需要の急増がみられる一方、外出自粛の影響により制汗剤や洗顔料・クレンジングといったコスメタリー・パーソナルケア品目では需要の減少がみられるなど、カテゴリーによって明暗が分かれる生活用品(トイレタリーグッヅ)の国内市場を調査した。その結果を「トイレタリーグッヅマーケティング要覧 2020 No.2」にまとめた。トピックスとしては、手洗い推奨で需要が急増。生活習慣として手洗いが定着し、今後も需要増が見込めれるハンドソープが、2020年国内市場において328億円(前年比:88.5%増)を見込む。

 この調査は、生活用品の市場調査シリーズ第2弾で、今回は除菌・消毒ケア用品7品目、コスメタリー・パーソナルケア12品目、ベビーケア用品3品目、フェミニンケア用品2品目、ヘルスケア用品5品目の市場を調査・分析した。

 ハンドソープは、家庭での手洗いを主目的とする洗浄料を対象とした。市場は消費者の衛生意識の高まりとともに年々拡大してきた。2020年はウイルス感染予防の基本として手洗いが推奨されていることから需要が急増し、前年比88.5%増が見込まれる。上位メーカーは原材料・容器をいち早く確保し、生産体制を強化して急増する需要を取り込んでいるものの、それ以外のメーカーでは生産が間に合わず取りこぼしも見られる。今後も“ウィズコロナ”の生活習慣として手洗いが定着し、需要増が期待される。

 商品別に見ると、市場の7割以上を詰め替え用が占めている。2019年は大容量タイプの展開が強化され単価がアップした。一方本体は、詰め替え用へのシフトが続いているものの、家庭での設置場所が増えているほか、詰め替え用とのセット販売も多く行われている。

 種類別に見ると、液体はプレフォームへのシフトにより需要が減少していたが、キッチンでの使用を提案した商品が発売され、2017年以降その減少分をカバーしている。プレフォームは泡立てが不要で簡便性が高いことから需要を獲得している。市場の7割以上を占める主力剤型であることから、上位を中心に各メーカーが注力している。電子式は需要が一定層にとどまっていたが、2020年は容器に触れないで使用できる点が差別化となりユーザー層を広げている。春から夏にかけて欠品が見られたが、秋季以降供給体制が改善したことから、大幅に伸びるとみられる。

 大人用紙おむつは、ドラッグストアなどの一般ルートで販売されている、介護を必要とする層の排泄ケア商品を対象とした。なお、介護の必要がない層が使用する商品は「3.軽失禁ライナー・パッド」にまとめた。

 市場は高齢化の進展とともに拡大している。軽・中度の要介護者向け商品では、薄型のパンツタイプが需要を取り込んでいるほか、中・重度向け商品では機能性を向上させた様々な高付加価値商品が登場していることからシーンによる使い分けが進んでいる。2019年も薄型のパンツタイプが需要を取り込んだほか、パッドタイプ未使用者の開拓も進み市場は拡大した。2020年は外出自粛に伴って使用シーンが減少しているため市場の伸び幅は前年に比べて小幅となるとみられる。2021年は各メーカーともユーザー開拓施策を強化するとみられ、市場の伸びは回復に向かうと予想される。

 軽失禁ライナー・パッドは、介護を必要とせず自身で使用する排泄ケア商品を対象とした。おりものケア付き尿漏れ用商品、軽度の便漏れ用商品も含める。市場は商品別にライナーとパッド、パンツタイプに分け算出している。なお、介護を必要とする層が使用する商品は「2.大人用紙おむつ」にまとめた。

 市場は使用対象人口の増加と認知度向上、参入メーカーによる使用啓発によって拡大している。近年は吸収量別のラインアップが拡充されており、普段は少量失禁対応を使用し、外出時には吸収量が多いパッドやパンツを使用するなど、シーンや目的に応じた使い分けが進んでいる。2019年は各メーカーが注力するライナーとパッドでオーガニックコットンを使用して肌へのやさしさを訴求した商品の投入や、吸収量別の商品が新たな需要を掘り起こした。また、10月にはP&Gジャパンが新規に参入したことから、市場は活性化し拡大した。2020年は外出自粛に伴って使用シーンが減少しているものの、上位メーカーが吸収量の向上、擦れやムレの軽減、手に取ってもらいやすいパッケージデザインのリニューアルなど、引き続きてこ入れを進めているほか、P&Gジャパンの実績が通年となることから、市場は拡大するとみられる。高齢化の進展とともに使用対象人口は年々増加することなどから、2021年以降も拡大が続くと予想される。

 パンティライナーは、おりものの吸収を主訴求とする商品を対象とした。なお、おりものケア付き尿漏れ用商品は「3.軽失禁ライナー・パッド」にまとめた。

 市場は衛生意識の高まりや女性の社会進出の進展で使用する層が増加しており、堅調に推移している。近年はおしゃれなパッケージデザインを採用した商品のほか、シートの形状や大きさ、肌触りにこだわった高付加価値商品が拡大をけん引している。2019年はおりものと尿もれをケアできる「ソフィ Kiyora 贅沢吸収」(ユニ・チャーム)が発売され、軽失禁ライナー・パッドを使用することに抵抗感をもつ層の需要を取り込んだほか、加齢に伴う体型の変化に対応した「サラサーティ コットン100 ワイド&ロング」(小林製薬)が発売され、年齢を重ねた女性の支持を得たことから市場が拡大した。2020年は生活様式が大きく変わったが、パンティライナーを使用する機会に与える影響は小さく、また、各メーカーが引き続き若年から年齢を重ねた女性まで、幅広い層に対して使用啓発を図っていることから、市場は堅調に拡大するとみられる。

 カテゴリー別市場として、除菌・消毒ケアでは、2020年は前半から家庭用マスクの需要が爆発的に増加した。一時は入手困難な状況であったが、夏以降は供給が回復に向かっている。また、ウイルスの除去や通気性、冷感といった機能面だけでなく、豊富なカラーバリエーションや素材による差別化が進みファッションアイテムとして装着するユーザーも増えている。好調な需要は当面続くが、輸入品は徐々に淘汰が進むとみられる。ウイルスブロックスプレーや除菌剤は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により認知が進み需要が急増した。今後も認知度の向上や使用の習慣化が期待されることから、中長期的に伸長するとみられる。ハンドソープは手洗い回数が増加したことにより伸びている。手洗いが習慣化することで、今後は緩やかに伸長すると予想される。手指消毒剤は輸入品が急増したが、従来から参入していたメーカーの供給体制強化により、徐々に淘汰が進むとみられる。

 コスメタリー・パーソナルケアでは、2020年はスキンケア関連商品がインバウンド需要の減少や外出自粛によるメイク頻度の低下によりクレンジングを中心に縮小するとみられる。今後は“マスク荒れ”など、新たな国内需要に対応した商品投入が実績復調のポイントとなる。一方で新型コロナウイルス感染症流行の影響による所得の減少と消費マインドの低下に回復の兆しが見られないことから、需要は低価格品へのシフトがしばらく続くとみられる。ヘアケア関連商品は所得減少や消費マインドの低下により、需要が低価格品にシフトするとみられる。

 ボディシャンプーはプレフォームタイプの強化など、単価アップによる伸長が期待される。ボディクリーム(含ハンドクリーム)は、手洗い・消毒回数の増加による手荒れに悩む層が急増していることから、対応商品の投入が求められている。浴用剤は在宅時間が増加したことで入浴時間も増え、炭酸タイプなどの体の疲労を和らげることを訴求した商品が好調である。汗拭きシートや制汗剤は足用など、新たな用途の提案による需要獲得が進むとみられる。

 ベビーケアでは、インバウンド需要の減少に加え、国内需要についても出生率の低下による縮小が避けられないものの、乳幼児一人当たりの使用量が増加しており、高付加価値商品が好調である。

 フェミニンケアでは、ナプキンの市場拡大には使用シーンや使用時の悩みに応じた商品投入による使い分け提案で購入単価アップが必要となっている。

 ヘルスケアでは、2020年は大人用紙おむつの伸びが鈍化するとみられる。軽失禁ライナー・パッドは上位メーカーのてこ入れなどから伸長するとみられる。使い捨てカイロは前半の暖冬と、外出自粛に伴う使用シーン減少の影響を受けマイナスが予想される。温熱シート・パッドは運動不足や動画視聴の増加による肩こりや目元の疲れから需要が増えている。冷却関連用品は在宅時間の増加による節電意識の高まりに加え、8月以降に天候が好転したことから伸長するとみられる。

 20歳から69歳の1000名を対象に、新型コロナウイルス感染症流行後の生活や意識、生活用品の使用頻度、購買行動などの変化、今後の生活用品の使用意向などについて、インターネットサーベイを実施した。

 生活用品13品目に対する新型コロナウイルス感染症流行後の使用頻度の変化(回答数、N=1000/SA)で、「増加(やや増加)」の回答が多かったのが「家庭用マスク」と「手指消毒剤」「ウェットティシュ」であった。それら以外の品目では「変わらない」の回答率が最も高かった。

 家庭用マスク購入時の選択要因(回答数。N=992/SA)について、「増加(やや増加)」の回答数が最も多かったのは「価格」であり、次いで「通気性、呼吸が楽」「蒸れにくい」「ウイルスブロック能力」「耳が痛くない」の順であった。いずれの項目も、女性の回答率が高かった。特に「通気性、呼吸が楽」「耳が痛くない」「蒸れにくい」では男女間で回答率の差が大きかった。

 ハンドソープ購入時の選択要因(回答数。N=950/SA)について、「増加(やや増加)」の回答数が最も多かったのは「洗浄力」であり、次いで「価格」「除菌力」「使用感」「肌荒れしにくさ」の順であった。いずれの項目も、女性の回答率が高かった。特に「除菌力」「使用感」「肌荒れしにくさ」では男女間で回答率の差が大きかった。

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]7月~9月
[アンケート調査]
調査対象:20歳から69歳の1000名(性別・年齢層別に100サンプル×10セル)
調査方法:インターネットサーベイ
調査期間:7月31日~8月1日
[小売価格]
書籍版:15万円
書籍/PDF+データ版セット:18万円
ネットワークパッケージ版:30万円
(すべて税別)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp/


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