美容・化粧品

資生堂、次の100年を支える研究開発理念「DYNAMIC HARMONY」を発表、紫外線を美肌光に変換する革新的な技術など最新の研究知見も紹介

2021.11.19 21:19 更新

 資生堂は、同社の次の100年を支える研究開発(以下、R&D)理念と最新の研究知見を発表する「資生堂R&D戦略発表会」を11月17日に開催した。発表会では、R&Dの強化を目的に、独自の研究開発理念として、新たに「DYNAMIC HARMONY」を制定したことを発表した。さらに、これまで肌に悪影響を及ぼすとされてきた紫外線を、肌に良い作用をもたらす可視光(美肌光)へと変換し、ただ逃れるだけではなく、環境と共生しながら美へ導く革新的な技術や、新たな皮膚解析技術「4Dデジタルスキン」の開発および、肌と一体化し凹凸を補正する人工皮膚を肌上に形成し、これまでの化粧品や美容整形などでは不可能であったシワやたるみを瞬時に隠すことを可能にした「セカンドスキン」技術について説明した。

 「現在、社会環境や消費者ニーズが多様化する中、企業が持続的に成長していくためには、革新的なイノベーションが必要不可欠となっている。当社はこの理念のもと、5つの研究アプローチを柱に据えることで、まず社内外に向けて資生堂R&Dの強みと独自性を可視化し、多様なバックグラウンドをもつ世界中の研究員が能力を最大限発揮することを狙う」と、資生堂 岡部義昭チーフブランドイノベーションオフィサーが挨拶。「また、これによってR&D部門のさらなる強化を目指し、イノベーション創出を加速させ、当社の企業使命である『BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(ビューティーイノベーションでよりよい世界を)』のもと、新たな製品やよりよいサービスの提供を行っていく」と意気込む。

 「当社の研究は、皮膚科学、マテリアルサイエンス、感性研究という分野をR&Dで創り出してきた。今後もさらに研究開発費を投じて、化粧品カテゴリでのポジションを盤石なものにしていくと共に、インナービューティカテゴリへの研究も推進していく」と、さらなる研究開発を行っていくことで、新たな価値を創造し、商品として消費者に届けるのだと訴える。「そして基礎研究をより強化するべく、『DYNAMIC HARMONY』を制定した。『DYNAMIC HARMONY』は、明治期に日本初の民間洋風調剤薬局として創業して以来取り組んできた、西洋の科学と東洋の叡智を融合した成り立ちに端を発するもの。一見相反する価値や両立が難しい価値を融合し、唯一無二の新たな価値を生み出すという独自のR&Dの考え方を当社の強みとして再定義し、明文化している」と、独自の研究開発理論を制定することで、イノベーションをさらに加速させるのだと力説する。

 「『DYNAMIC HARMONY』の制定にともない、慶應義塾大学の冨田勝教授とは、未来型のイノベーション領域で、脳科学者の中野信子先生とは、感性のイノベーション領域で、それぞれ共同研究を行っていく」とのこと。「また、オープンイノベーション分野も強化し、多様なバックグラウンドを持った人々を積極的に登用していく」と、社内外から様々な知見を得ながら、研究開発を推進していくと説明した。

 次に、同 みらい開発研究所の宮沢和之主幹研究員と同 ブランド価値開発研究所の渡辺百合香研究員が紫外線を肌に良い作用をもたらす光へと変換する革新技術について説明した。「これまで肌に悪影響を及ぼすとされてきた紫外線を、肌に良い作用をもたらす可視光(美肌光)へと変換し、ただ逃れるだけではなく、環境と共生しながら美へ導く革新的な技術を開発した」と、宮沢主幹研究員。

 「太陽光を恵みと捉える“光合成”に着想を得た当研究は、藻類由来のSpirulina(スピルリナ)エキスと天然鉱物由来の蛍光酸化亜鉛に、効率よく紫外線を可視光に変換する効果を見出し、紫外線による肌ダメージを回復させるとともにコラーゲンやヒアルロン酸の産生を高めることに成功した」と、紫外線と共生し、その恵みから美を生みだす新発想なのだと強調する。

 渡辺研究員は、「これまでの化粧品では実現できなかった、紫外線を美肌光へ変換する革新技術によって環境との共生を実現する。そして、新たな価値をもつ製品やサービスの提供を目指し研究を進めていく」と、消費者がより一層アクティブで自由に日々の生活を楽しむことができる未来を目指していくと意気込んだ。

 同 みらい開発研究所の江連智暢フェローは、動きまで再現した電子皮膚「4Dデジタルスキン」について紹介した。「皮膚は常に重力や表情で変形し、またこれに柔軟に抵抗する『動き』のある器官となっている。この動きのバランスが崩れると、シワやたるみにつながる。そのため、こうした美容上の問題を根源的に改善するには、皮膚の動きを解き明かすことが必要と考えた」と、研究アプローチについて解説する。「これまでの研究では、世界に先駆けて、『静止』した皮膚を、超高精細に3次元で解析する技術を開発してきた。その開発で集積した知見や技術を基に、今回さらに『動き』のある皮膚を解析する新技術の開発に挑んだ」という。「研究では、皮膚検体に様々な変形を加え(圧縮、屈曲、引張等)、X線-CTで3次元的に皮膚内部を観察した。次に、得られた膨大な画像データ上の様々な皮膚構造を、人工知能(AI)を用いて同定した。さらに、各構造が皮膚の変形にともない、どのように動いたかを追跡。そして、各構造の種類や動きに関する情報をデジタル的にコンピュータ上に再現し、この電子皮膚を『4Dデジタルスキン』と呼ぶことにした」と、革新的な皮膚解析技術「4Dデジタルスキン」の開発について語る。

 「この『4Dデジタルスキン』では、コンピュータ上で皮膚を動かし、その動きを超高精細にカラーで表示して視覚的に理解することが可能となる。また、デジタル的に創りだした皮膚のため、コンピュータ上で自在に切断すること(デジタル解剖)、特定の構造を分離すること(デジタルソーティング)も可能だ。さらに変形量を定量することや、変形の方向をベクトル表示して解析することも可能。このように『4Dデジタルスキン』は、複雑な皮膚の構造と、より難解なその動きを、コンピュータ上で容易に解析し、直観的に理解することを可能とした」と、難解な皮膚の動きを直観的に理解できるのだと力説する。「当技術によって皮膚の動きで発生するシワやたるみに関して、より根源的な要因を解明することが可能となった」と、これらの技術革新を基に、革新的な美の価値創出を加速していく考えを示した。

 同 みらい開発研究所の関根知子主任研究員は、同社が2018年に取得した米国ベンチャーOlivo Laboratories(オリボ ラボラトリーズ)の「セカンドスキン」技術について説明した。「2018年、当社は米国ベンチャーOlivo Laboratoriesから特許技術『セカンドスキン』を取得した。『セカンドスキン』技術は、肌と一体化し凹凸を補正する人工皮膚を肌上に形成し、これまでの化粧品や美容整形などでは不可能であったシワやたるみを瞬時に隠すことを可能にする」と、「セカンドスキン」技術について解説する。「当社はこの基本技術に、当社の強みである処方開発技術を組み合わせて、世界中の消費者に満足してもらえる、これまでにない価値の提供を目指した」と、消費者からのヒアリングを経て目袋を補正する商品を実現させたという。

 「そして今回、ほうれい線の補整も行える商品へと進化させた」と、顔の大部分を補正できるようになったとのこと。「さらに、顔のたるみを引き上げマリオネットラインも物理的に補正する」と、顔のたるみもカバーできると強調する。「今後は顔全体での使用や全身への応用を目指していく」と、身体全体を「セカンドスキン」でまとえるような製品へと昇華させていくと述べていた。

資生堂=https://www.shiseido.co.jp/


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