運動・トレーニング

アシックス、次世代高機能素材「セルロースナノファイバー」を活用したシューズを商品化

2018.06.01 15:55 更新

 アシックスは、次世代高機能素材として注目されているセルロースナノファイバー(以下、「CNF」)を活用したシューズを世界で初めて商品化した。今回のシューズは、同社を代表する高機能ランニングシューズ「GEL-KAYANO 25(ゲルカヤノ 25)」シリーズで、6月1日からグローバルで順次発売する。

 CNFは、鋼鉄の5分の1の軽さでありながら、その5倍以上の強度を有するとされるナノサイズ(1nmは1mmの100万分の1)の極細繊維となっている。植物由来であり、地球上にあるほとんどの木質資源を原料にできるため、資源的にも非常に豊富な素材だとか。そのため自動車、家電、塗料や繊維製品など、さまざまな分野で次世代の産業資材として注目されており、低炭素社会の実現にも貢献できる素材として、近年盛んに研究開発が行なわれている。

 今回商品化したシューズでは、靴底のミッドソール(甲被と靴底の間の中間クッション材)に新たに開発したアシックス独自のスポンジ材「FlyteFoam Lyte(フライトフォームライト)」を搭載しており、このスポンジ材の気泡を補強する素材としてCNFを採用している。その結果、軽量性と耐久性という相反する機能を高次元で両立させることに成功し、同社従来のミッドソール材「FlyteFoam(フライトフォーム)」(アシックスが2015年に独自開発したスポンジ材。同社従来のミッドソール素材「E.V.A.(イーブイエー)」に比べて約55%軽量で、素材に添加した繊維でアシストすることで優れたクッション性と耐久性を発揮する)に比べ、軽量性を維持したまま、強度を約20%、耐久性を約7%高めている。

 「FlyteFoam Lyte」の開発にあたっては、CNF研究の第一人者の一人である京都大学 生存圏研究所 矢野浩之教授が、京都市産業技術研究所らとともに開発した、“京都プロセス”(木材細胞(紙の原料、CNF集合体)を樹脂中で混練し、ナノファイバー化と樹脂中への均一分散をワンショットで行うコストパフォーマンスに優れた手法。正式名称はパルプ直接混練法)と呼ばれる革新的なCNF製造技術を応用している。今回、アシックスの強みである独自の材料設計や発泡成形技術を駆使することで、同プロセスを活用した世界初の実用化製品を生み出した。

 アシックス 執行役員兼アシックススポーツ工学研究所の原野健一所長は、「『GEL-KAYANO』シリーズは、ランナーが快適に長距離走行を実現できるよう設計されている。アシックスは、安定性やクッション性だけでなく、軽量性やフィット性などの機能を追求し、「GEL-KAYANO」シリーズを25年間進化させてきた。『GEL-KAYANO 25』の商品化は、その歩みをさらに進めることができただけでなく、次世代新規材料開発に寄与できたという点でも大変うれしく思う。今後は、本材料をベースにさまざまな高機能シューズを開発し、多くの人に喜んでもらえるよう努める」とコメントしている。

 京都大学 生存圏研究所 矢野浩之教授は、「豊富に存在する木材などの植物資源から作る軽量で高強度のセルロースナノファイバーは、持続型の脱炭素社会を支える大型産業資材として世界中で研究が進められている。今回、その特徴を活かしたCNF強化樹脂材料が世界で初めて商用化されたことは、CNF材料の開発、利用における大きな一歩といえる。これを契機に、今後、ますます様々な用途にCNF強化樹脂材料が使われていくことを期待している」とコメントしている。

アシックス=http://www.asics.co.jp


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