睡眠・リラクゼーション

スマート・ライフ・プロジェクト2019、健康増進普及月間に「睡眠啓発イベント」を開催、公式キャラクターの野村萬斎さんが昼寝や仮眠の重要性を訴える

2019.09.18 17:36 更新

 厚生労働省は、9月17日に生活習慣の改善や健康づくりに欠かせない要素でもある「睡眠・休養」をテーマとした「睡眠啓発イベント」を開催した。同イベントでは、仮眠や昼寝など睡眠に着目して積極的に社員の働き方改革や生産性の向上に取り組む企業を招き、その事例や施策、成果などを紹介してもらった他、太田睡眠科学センター所長の千葉伸太郎先生が、健康づくりに役立つ良質な昼寝や仮眠の重要性に関する講演を行った。また、「スマート・ライフ・プロジェクト2019」の公式キャラクターに就任した狂言師の野村萬斎さんが登壇し、睡眠にまつわるトークショーも実施した。

 「9月1日から30日までの1ヵ月間を『健康増進普及月間』と定め、生活習慣病の特性や睡眠・運動・食事・禁煙など個人が生活習慣を改善することの重要性について理解を深め、その健康づくりを実践するための普及促進の取り組みを行っている」と、厚生労働省の奈尾基弘大臣官房審議官が挨拶。「睡眠啓発イベントでは、トークショーも実施するなど、様々な角度から睡眠と健康を考える充実の内容になっている。今日を契機に一人ひとりが自身の体と向き合い、健康づくりに取り組んでもらえればと考えている」と、生活習慣改善の第一歩を踏み出すきっかけにしてほしいと訴えた。

 次に、東京慈恵会医科大学教授、太田睡眠科学センター所長の千葉伸太郎先生が、「あなたの睡眠は大丈夫?パワーナップの活用」と題した講演を行った。「睡眠不足では反応が遅くなり、ミスが多くなることはよく知られている」と、スマイリー島の原発事故やスペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故を例に睡眠不足は大事故につながるのだと警鐘を鳴らす。「昔は、四当五落で頑張り続けることがよいとされてきたが、現在はこうした生活を行っていると、自身の健康を阻害してしまう」と、不眠不休で頑張ることは、すべてにおいて悪とされているのだと語気を高める。「人は眠ると成長ホルモンが分泌され、しっかり眠ることで肌もキレイになっていく」と、よい睡眠は最高のアンチエイジングなのだと説く。

 「しかし、日本人の睡眠は改善されておらず、就寝する時間も時代と共に年々遅くなっている。しかも、諸外国の人々に比べて睡眠時間が極端に短くなっている」と、深夜まで起きていることで、睡眠時間が短くなってしまっているのだと分析していた。「よい睡眠に導くためには、午後の短い昼寝で眠気をやり過ごして、能力改善を図ってほしい」と、十分な睡眠時間が確保できなかった時は、午後に30分以内の昼寝を設けてほしいとのこと。「昼食後、15時までに30分未満の昼寝を行うことで、パフォーマンスがアップすることもわかっている」と、午後に訪れる眠気を我慢するのではなく、軽い睡眠をとることで、生産性も格段にアップするのだと解説する。「昼寝はサボる人間ではなく、デキる人間がすることである」と、昼寝に対する意識改革の重要性を説いていた。

 次に、CRAZYの松田悠介取締役は、同社で導入している睡眠報酬制度について紹介した。「睡眠不足は、疲労状態に陥り、生産性を低下し、自尊心も低下、不安感やストレスも増大する」と、睡眠不足は負のスパイラルに陥るのだと指摘する。「一方、十分な睡眠がとれていると、良好な状態で、生産性も上がり、自尊心も向上、モチベーションもアップしていく」と、しっかりとした睡眠を確保することで好循環サイクルを生み出すことができるのだと指摘する。「そこで、当社では、従業員に対しアプリを配布。寝る前にアプリからの質問に回答し、起床時間を設定し、枕元に置いて就寝することで、月ごとの睡眠時間の集計が閲覧できるようになる。睡眠時間から換算された報酬は、併設のカフェや、食堂での利用が可能。また不定期で表彰式も行っている」と、1日6時間以上の睡眠をとると100pt付与される制度を設けたとのこと。「これによって平均睡眠時間が30分以上も増加した」と、睡眠を計測することで、自分の適切な時間を知ることができたと好評だったという。「この制度がずっと続くようにブラッシュアップも図っていく」と、従業員のための制度としてさらに進化させていきたいと話していた。

 ヤフーの市川久浩グッドコンディション推進室長が、同社の睡眠・休息サポートについて紹介した。「グッドコンディションはオフィスコンセプトのひとつとなっており、当社では無償で朝食を約800食提供。昼は3000食のメニューも提供し、夜も食べることができるようになっている」と、従業員を食の観点からサポートしているとのこと。「また、雑魚寝スペースやマッサージチェアも設置し、リラックスできる空間も設けている」と、身体を休めるスペースも確保されていると教えてくれた。「当社では、睡眠は生産性に関わるとの認識から、週3日以上の睡眠6時間未満はNGとしている。さらに寝る時間の不規則や、午前1時以降の就寝も推奨していない」と、睡眠をしっかり確保してもらうべく、NG睡眠習慣を啓蒙しているとのこと。「よりよい睡眠と休息に必要なことは、個人のリテラシーと組織の風土が重要であると考えている。そこで、社内睡眠セミナーの実施やアプリによる睡眠向上を図るようにしている」と、従業員の睡眠を改善していくことで、生産性の向上に努めていきたい考えを示した。

 この後、千葉先生が再び登壇し、いびきを少なくするためのエクササイズを披露した。「舌を上あごの天井につけて、ぽんと音を立てて離すことを10回繰り返す。これを定期的に行うことでいびきが解消されたという人もいる」と、効果が高いエクササイズになっているとのこと。「また、スプーンにスーパーボールをのせて、それを唇でくわえて10秒間キープするといびき解消につながる」と、快適な眠りに導くためのエクササイズについて教えてくれた。

 そして、「スマート・ライフ・プロジェクト2019」の公式キャラクターに就任した狂言師の野村萬斎さんが登場し、自身の睡眠について語ってもらった。「よい睡眠を確保するために、寝る前にお風呂に入って、身体を温めてから寝るようにしている。また、仕事が終わらなかったときは、明日の朝に持ち越すようにしている」と、よい睡眠のために行っていることを教えてくれた。

 「狂言は、常に身体を使って声を発している。そのため、睡眠が十分に確保されていないと声が発しにくくなる」と、睡眠で身体を休ませてあげないと、声も出なくなってしまうのだという。「そのため、睡眠時間は6時間はとるようにしている。また、移動の車の中で仮眠をとるようにもしている」と、仮眠は脳をリセットさせる目的も兼ねていると話していた。最後に野村さんは、「人は寝ることが仕事といっても過言ではないと思う。そんな睡眠について、私自身もしっかり勉強していきたいと思っている」と、睡眠という意識のない状態で、意識するというのは難しいことではあるが、健康のためにもよい睡眠を心がけるようにしたいと語っていた。

スマート・ライフ・プロジェクト=https://www.smartlife.go.jp/


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