余暇・トラベル

埼玉県神川町の食・農・自然を「『オーガニックビレッジ』神川」としてブランド化、観光庁の官民協働した魅力ある観光地の再建・整備強化事業の一環としてモニターツアーを企画

2013.11.11 19:39 更新

 埼玉県の北西部に位置する神川町(埼玉県児玉郡)は、良質な水や豊かな自然に恵まれ、都心から身近に訪れることができる大自然の町だ。今年11月と12月に、神泉の郷 有機農業推進協議会は、観光庁の官民協働した魅力ある観光地の再建・整備強化事業の一環としてモニターツアーを企画。11月は、「食と農がつなぐ未来をめざして」と題した大収穫博覧会にあわせて実施した。ツアーでは、有機野菜の収穫体験や伝統食作りを通じて地元生産者との交流を行い、神川町ならではの食の魅力を体感できる他、秋から冬に咲く600本もの冬桜鑑賞など神川町の自然と触れ合う内容となっている。11月8日には、神川町の魅力を伝えるため、大収穫博覧会前夜祭を開催。オーガニックの世界において、米国で活躍する料理人をパネリストとして招聘したトークセッションなどを行い、地域一丸となって取り組む神川町ならではの食・農・自然を「『オーガニックビレッジ』神川」として、その魅力をPRした。

 「都心から80kmに位置する神川町は、食・農と共に豊かな自然と美しい水が特徴である。そこで、『オーガニックビレッジ』神川として多くの人に魅力を伝えるべく、今回観光庁の官民協働した魅力ある観光地の再建・整備強化事業の一環としてモニターツアーを企画した」と、神泉の郷 有機農業推進協議会 石井清充会長が挨拶。「30年前、神泉村の時代に観光を目指した村づくりをスタート。城峯公園などが整備され自然と観光を結ぶ施設ができ、情報発信もできるようになった」と、長期にわたる活動が実を結びつつあるという。「自然の力を信じて行ってきたことが、観光村として形作られたと自負している」と、神川町の豊かな自然を財産と位置づけたことが要因であると語っていた。「今回のモニターツアーを通じて、自然に恵まれた神川町の魅力を存分に紹介していきたい」と、神川町を積極的にアピールすると意気込んだ。

 次に生産者を代表して須賀農場の須賀利治氏が挨拶した。「食事で体を治すという取り組みの一環として、有機栽培に取り組んできた。今年6月に四條司家による田植え式を実施。そして、今回大収穫祭を行うことをうれしく思う」と、一大イベントとして大収穫祭を迎えることができたことを喜んでいる様子。「この地域は、夏は暑く、冬は雪を降らせる寒風が吹く。この寒暖に恵まれていることが奏功し、美味しく、さらには人々の健康に寄与する栄養たっぷりの農作物を収穫することができる」と、農業に適した地域であると強調する。「神川町の水と自然とオーガニック野菜は、今が買い時だと思っている。この魅力をぜひ内外に発信していきたい」と、語気を高めた。

 


 そして、“海外からも注目される神川町”と題したパネルディスカッションを開催。オーガニックの世界において、米国で活躍する料理人をパネリストとして招聘。コーディネーターには、英語と自然の環境の中で子どもを育てる教室「サニーサイドアップ!」を主宰し、ベストセラー「JAPANESE FARM FOOD」の著者でもあるナンシー八須氏が担当した。「神川町では小さな農家たちがJASマークを取得し、自然農法を地域に広めていった。そして、これらの農家たちが作る農作物には付加価値がつくようになった。こうした動きがコミュニティの構築につながり、若者の移住を後押ししていくものと考えている」と、ナンシー八須氏が神川町の特徴について紹介。米国とギリシャで地中海料理に関する本を出版するなど、料理指導者として活躍するアグレイア・クレメジィ氏は、「神川町を訪れるのは初めてだが、朝日と湖の美しさに感動するだけでなく、須田農場を見学した際に、農作物に気持ちを込めながら作業を行っている姿に深く感銘を受けた」と、神川町の素晴らしさを体感できたとのこと。地域の食材を活用したジャムやママレード作りで、無添加ジャムのカリスマと呼ばれているジューン・テイラー氏は、「神川町では、地域が一緒になって自然を大切にしている。また小さな家族で農園を経営している点に驚かされた」と、米国のような大規模な農家でなくても、しっかり農作物を収穫していることに胸を打たれたようだった。

 


 グッドテーブルズの山本謙治代表取締役は、「全国の郷土食などを紹介する仕事を行っているのだが、神川町は、日本に流通しているオーガニックはここから生まれているといっても過言ではないほど素晴らしい食材が豊富にある。それは、日本でも有数の清らかな水があるからだと思っている」と、美しい水が、素晴らしい食材作りを後押ししていると話していた。有機食材をふんだんに使った料理を提供するレストラン「Pizzaiolo」の創業者であるチャーリー・ハウエル氏は、「2年前にも神川町を訪れたが、この地域の人々は他人とのかかわり合いを非常に大切にしていると感じた。そして、土地を大切にし、そこで農作物を栽培しコミュニティに提供し、未来につながる子供たちに食べてもらうという好循環サイクルが、東京の隣で行われていることに深く感動している」と、理想的な地域社会が広がっているところだと述べていた。パネルディスカッションに参加した須賀氏は、「その土地に合った農作物を生産するようにする。すると、農薬を使わずに栽培することができる」と、その土地を熟知しているからこそ、有機栽培が可能になるのだと説明していた。

 これに対して、山本代表は「日本で流通している農作物のうちオーガニック的なものは8%程度、JAS有機の農作物は0.95%と1%にも満たない」と、日本にはオーガニックが全く浸透していないと警告する。一方、米国ではどうなのだろうか。テイラー氏は「私の顧客は、オーガニックだからという理由で購入してくれる人がほとんど。また、カルフォルニアでは生産者が誰なのかという点にこだわる消費者が増えてきている」と、食材に対する価値観に変化がみられるようになったとのこと。料理を提供する立場であるハウエル氏は、「オーガニックの方がおいしいので、それを純粋に提供しているだけ」と、大規模にすることによって利益は高まるかもしれないが、美味しいものは提供できなくなるという考えから、食材にこだわったメニューを提供し続けていると強調していた。

 


 では、オーガニックは日本でも浸透していくのだろうか。クレメジィ氏は、「日本食について、もっと日本がよく理解しなければならない」と、日本食がどのようにつくられているかを知ることが、さらに美味しいものを食べたいという欲求につながり、ひいてはオーガニックな食材を求める気運を高めていくと力説する。須賀氏も「日本食は、豪華さではなく、文化的な要素が世界で評価されていると思う。こうした和食の一翼をこれからも担っていきたい」と、日本食を支える食材作りに今後も邁進していく考えを示した。最後に八須氏は、「日本人は、海外から入ってくる料理や食材に興味をもつ一方、国内の素晴らしい食材にも目を向けるべきだ」と、日本人こそが日本の食材をもっと知るべきであると訴えた。

 


 前夜祭では、ヤマキ醸造で献上する御味噌・御醤油の収穫祭と櫂入れ式が、四條司家四十一代・當代 四條隆彦氏によって執り行われた。ヤマキ醸造の木谷富雄社長は、「当社は有機栽培を長年行ってきた。厳しい基準をクリアして作られた味噌や醤油を生産している。今回、献上御味噌・御醤油の収穫祭と櫂入れ式を行うことで、日本の食の伝統を守り伝えていく考えだ」と、長年にわたる古代米と大豆の収穫祭を、多くの人に知らしめることで、日本の食文化を伝えていく考えを示した。

 


 四條司家四十一代・當代 四條隆彦氏は、「四條司家は平安時代から続く、日本の調理界から崇められている存在でもある。日本料理は無形文化遺産として登録される予定とのことだが、食材が安全でなければ、日本料理そのものの存在価値も揺らいだものになってしまう。この大収穫祭を通じて、食材の大切さを多くの人に学んでもらえればと考えている」と挨拶した後、御味噌の櫂入れ式を行った。

 


 モニターツアーでは、大収穫博覧会の見学・参加、四條司家による大収穫祭の見学、地元農家で有機野菜の収穫、肥料からこだわった卵取り、地元小麦を使ったピザ作り、通常では見学できないマヨネーズ工場の見学、地元の人々と伝統食を作るワークショップ、首都圏の大切な水源を知る「下久保ダム」や御獄山がご神体となる珍しい「金鑽神社」見学、そして城峯公園にライトアップされた600本もの幻想的な冬桜鑑賞などが行われ、神川町の見どころを凝縮したプランとなっている。

神泉の郷 有機農業推進協議会=http://www.kamiizumi.com/
ヤマキ醸造=http://www.yamaki-co.com/


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