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次世代の「新たな住み方」を提案する「LOCAL REPUBLIC AWARD 2019」を開催、真鶴の魅力を出版と町歩きで伝える"泊まれる出版社"が最優秀賞に

2019.07.29 19:15 更新

 「LOCAL REPUBLIC AWARD」は、住民の生活と経済が融合した地域コミュニティの構築を応援するべく、横須賀美術館や埼玉県立大学などを手がける建築家の山本理顕氏らの働きかけによって昨年創設された。第二回目となる今回、住民の生活と経済が融合した地域コミュニティー構築のあり方を競う「LOCAL REPUBLIC AWARD 2019 最終公開審査会」を7月27日に開催。最優秀賞には、“泊まれる出版社”の活動を紹介した真鶴出版が受賞した。

 2040年には、世帯の単身化と高齢化が進み、65歳以上の「高齢世帯」のうち40%が一人暮らしになると予測、高齢者の孤立化が問題視されている。また、近年、中高年層の「大人のひきこもり」が増加傾向となり、社会問題化している。このような背景から「1住宅=1家族」という孤立を生みやすい住み方を見直し、互いに助け合うことで複数の住民による地域コミュニティーの構築を目指す、次世代の「新たな住み方」の先導役として活動しているプロジェクトを応援するために「LOCAL REPUBLIC AWARD」を発足したとのこと。「LOCAL REPUBLIC AWARD 2019」の審査の対象は住宅、商業建築、商店街、街全体など対象物を問わず、実際に活動しているもののみとしており、イメージ、アイデア段階のものは対象外となっている。 また、「自治的な活動が行われているか」、「経済的な活動が行われているか」、「活動自体に持続性があるか」、「その活動が魅力的な建築空間として表現されているか」を基に評価が行われた。

 まず、建築家・名古屋造形大学学長の山本理顕審査委員長が、「今年は応募総数40作品となり、そのすべての作品レベルが非常に高かった。当初9作品に絞り込む予定だったが、13作品まで間口を広げ、実際に話を聞くことにした」と挨拶。そして、 最終審査に残った13作品によるプレゼンテーションが開始された。

 「furusatto(フルサット)」は、北陸新幹線の上越妙高駅前の更地にコンテナを設置して形成されていく商店街を紹介。コンテナ商店街の誕生によって新しいプラットフォームを目指していく考えを発表した。

 「文化を紡ぐまちのみそ屋-変わらないこと、変わること、つなぐこと」では、150年続くみそ蔵を経営する五味醤油の敷地に人が集う食の公民館となっていく様子を紹介。発酵文化の継承活動と蔵の一角の共創を行う取り組みを発表した。

 「じぶんたちでつくるまち『常滑』をみんなでつくるために」では、焼き物の街である常滑地区における設計事務所の活動と、地域の資源を活かしたカフェやタイル、製陶園を紹介した。

 「やどまち~宿を通じた京町家の社会的な課題への取り組み~」では、1日2件の京町家が解体されている現状を打破するべく、町屋を部分的に宿泊施設とすることで、住民が住み続けられる仕組みを紹介した。

 「@カマタ:地域資源を繋ぎ合わせ、ものづくりと生活が一体化したまちへ」では、京急線の高架下を蒲田のものづくり拠点の場に利用している取り組みを紹介。住まいと仕事場が一体となった街づくりを目指している点などを発表した。

 「西葛西APARTMENTS-2~芽吹きつつあるローカリティの土壌として」では、ベーカリーやコミュニティスペース、コワーキングオフィスを併設した集合住宅で形成されるコミュニティの醸成について紹介した。

 「『欅の音terrace』“ナリワイ×暮らし”がつくりだす現代版町家型賃貸アパート」では、集合住宅をリノベーションし、入居者に暮らしながら生業を行ってもらうことで、商店街のようなコミュニティが生まれたことを紹介。今後はシェアキッチンを建設することで地域一体にまでコミュニティを拡大していきたい考えを示した。

 「URBAN OFFSET」は、高度経済成長期に誕生した吉野台団地が現在過疎化している状況を打破するべく、空き家と空き地の利活用などによって、新たな価値を与えていく取り組みを紹介。都会で働く人たちのベッドタウンが抱える問題解決の一つの手段を示した。

 「大山初里 origin villa」は、中国・大山村の限界集落を滞在型宿泊施設によって再生させるプロジェクトを紹介。元の土壁の閉鎖的な壁を開き、コミュニティスペースなどを設けることで、住民と宿泊者との交流が自然と行える空間を目指した点を発表した。

 「家劇場-足立区千住、築80年の平屋で営むわたしプロジェクト」では、自分の夢を実現させるべく、暮らしながらパフォーマンスやイベントを行うことで、地域に家が開かれていく様子を発表した。

 「“泊まれる出版社”真鶴出版-町歩き、暮らしを育む。小さな半島の『リローカル・メディア』実践-」では、宿泊者と共に町を歩き、町を取材することで、真鶴に暮らす人々との関係を構築。宿泊者が移住者となり、過疎化を食い止める活動も発表した。また、真鶴の背戸道に面したブロック塀を取り除き、オープンな家づくりなども行っていた。

 「梶賀のあぶり場」では、水揚げされて売り物にならない小魚などを保存食として加工していた郷土食「あぶり」を全国に紹介するべく、加工場をつくり地域住民が名産品として売り込むまでの活動を紹介した。

 「動く学生街-拠点を中心に様々な“小さな起業”が生む大きな循環」では、近畿大学のある大阪府大阪市長瀬に長屋をリノベーションした地域サロンで、起業したいが足踏みしている人々をサポートする小さな起業によって、循環サイクルを生み出し大きな起業へと昇華させていく活動を紹介した。

 すべての発表が終了し、最優秀賞、優秀賞、審査員特別賞を決めるべく公開審査が行われた。山本審査員長は、「13作品どれも素晴らしいものばかりだった」と、各作品を総括。

 建築家・法政大学教授・横浜国立大学名誉教授の北山恒審査員は、「審査基準である、時事的な活動であるか、経済的な活動であるか、活動に持続性はあるか、建築物が独創的であるか--という点にフォーカスして審査したい」と、審査基準により合致した作品を選びたいと語る。

 京都大学こころの未来研究センター教授の広井良典審査員は、「すべての作品に希望が感じられ、新しい風が吹き始めていることを実感した。とくに地域全体への広がりや地域を意識した活動に可能性を感じた」と、感想を語っていた。

 建築史家・法政大学特任教授・アマルフィ名誉市民の陣内秀信審査員は、「日本の様々な場所で、いろいろな活動が行われていることに改めて感動した。また、日本をどのように変えていくかという意気込みも感じられた」と、強い意志をもって取り組んでいることが感じられたと語っていた。

 一般社団法人SEEDS OF LIFE代表・元パタゴニア日本支社長のジョン・ムーア審査員は、「次のカタチと未来について深く考えている点に感心した」と、これまでではなくこれからについてもアピールされていた点を評価した。

 そして議論の結果、最優秀賞には「“泊まれる出版社”真鶴出版-町歩き、暮らしを育む。小さな半島の『リローカル・メディア』実践-」が選ばれた。山本審査委員長は、「難しい地形ではあるが、素晴らしい景観にうまく着目しており、新しい観光地または人が住む場所になっていく非常に素晴らしい例となっている。今後は、坂道など高齢者にとって難しい地形をどう考えていくかという点を考えてほしい」と、選定の理由と新たな着目点などをアドバイスした。また、優秀賞には「『欅の音terrace』“ナリワイ×暮らし”がつくりだす現代版町家型賃貸アパート」と「@カマタ:地域資源を繋ぎ合わせ、ものづくりと生活が一体化したまちへ」の2作品が選ばれ、その他6作品には審査員特別賞が授与された。「LOCAL REPUBLIC AWARD」は、今後も「1住宅=1家族」に代わる新たな住み方の先導役として活動しているプロジェクトを応援していくという。

LOCAL REPUBLIC AWARD 2019=https://localrepublic.jp/


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