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FinTech企業領域を中心とした新規事業創出プログラム「TSUBASAアライアンス Finovation Challenge 2018-2019」のDemo Dayを開催、既存の銀行ビジネスの枠を超えたビジネスプランをプレゼンし最優秀賞が決定

2019.03.06 19:18 更新

 T&Iイノベーションセンターとサムライインキュベートは、「TSUBASAアライアンス」参加行と共に実施するFinTech領域を中心とした新規事業創出プログラム「TSUBASAアライアンス Finovation Challenge 2018-2019 ~銀行ビジネスのトランスフォーメーション~」のDemo Dayを3月5日に開催した。当日は、123件の応募から選考を通過した企業6社が、FinTechを中心とした革新的な取り組みの実現に向けたプレゼンテーションを行い、最優秀賞1社を決定した。既存の銀行ビジネスだけにとどまらない全く新しいビジネスプランが各社から紹介された。

 「『TSUBASAアライアンス』は、地域の持続的な成長や金融システムの高度化を目指す地方銀行の広域連携の枠組みとなっている」と、千葉銀行の佐久間英利取締役頭取が挨拶。現在、金融分野における先進的なIT技術とその活用について共同で調査・研究を行うなど、様々な分野で連携を行っている」と、千葉銀行、第四銀行、中国銀行、伊予銀行、東邦銀行、北洋銀行、北越銀行の7行が参加し、その規模はメガバンクをも凌ぐ預金高になるという。「昨年には、FinTech企業などの外部事業者が同一の仕様で残高照会や入金明細照会等に接続できるオープンAPIプラットフォーム『TSUBASA FinTech共通基盤』の提供もスタートした」と、参加行による連携強化が図られているのだという。「今回、地域が抱える様々な課題をFinTechの活用によって、解決につなげていくことをテーマにしたオープンイノベーションプログラムを推進。『TSUBASA FinTech共通基盤』や、顧客ネットワークなどの経営資源を最大限活用しながら、銀行ビジネスそのものを変革しうるアイデアやプランを、外部から募集することで、戦略的アライアンスを加速させて、金融サービスの高度化を目指していく」と、新規事業創出プログラムを実施する経緯についても説明した。

 次に、T&Iイノベーションセンターの森本昌雄会長が主催者を代表して挨拶した。「今回、地域が抱える様々な課題をFinTechの活用によって解決に結びつけることをテーマに企画。今回が2回目となる」と、同プログラムのテーマについて紹介。「地方銀行が保有しているビッグデータやシステムインフラなどの経営資源を最大限に活用しつつ、銀行ビジネスそのものを変革させてしまうようなアイデアやプランを広く募集した。また、書類選考とその後の面談選考を通過した応募者に対しては、アイデアブラッシュアップ期間を設置。当社や外部有識者が、事業実現性をより高めるためにフォローアップを実施した」と、コンテスト応募総数は123件で、昨年中に18件に絞り、6社がDemo Dayでプレゼンを行うという。「プレゼンテーションでは、各社の熱意が感じられるものと期待している」と、述べていた。

 同コンテストは、地域が抱える様々な課題を、FinTechを活用することで解決へと結びつけていくことをテーマとして企画したもので、一昨年に続き、今回が2回目となる。なお、同コンテストはTSUBASAアライアンス参加行に加えて、武蔵野銀行、滋賀銀行から特別協賛を得て、実施したという。今回は、地方銀行が持つビッグデータやシステムインフラ、顧客ネットワークなどの経営資源を最大限活用しながら、銀行ビジネスそのものを変革しうるようなアイデアやプランを広く募集。書類選考とその後の面談選考を通過した応募者については、アイデアブラッシュアップ期間を設け、主催者や外部有識者が事業実現性を高めるためのフォローアップを行った。個別テーマについては、「既存技術や顧客にとらわれない全く新しい価値の創造」「新テクノロジーによる地域課題の解決&地域資源の活用」「デジタル化によるお客さま向けサービスの利便性・安全性向上」「デジタル化による銀行内部業務効率化」となっており、アセットは、TSUBASA FinTech共通基盤や公開APIとなっている。

 そして、最終選考に残った6社がプレゼンテーションを行った。OLTAは澤岻優紀CEOが登壇し、ビジネスプランについて説明した。同社は、日本初のオンライン完結型ファクタリングを提供。20万社の法人ビッグデータに基づく独自の与信モデルと、24時間以内に審査結果を出すプロダクトを強みとしている。今回のプログラムを通じて、中小企業の短期・少額の運転資金需要に応える売掛債権買取サービスの共同開発を行い、地域金融機関のトップライン向上・収益性改善への貢献を目指していくと発表した。

 AIQは高島孝太郎CCOが登壇し発表した。同社は、人工知能によるプロファイリング技術を基に「企業と個人の新しい繋がりを創るプラットフォーム」を提供しているとのこと。今回の提案では、SNSユーザーの趣味嗜好を分析したデータと銀行の持っているデータを連動させることで「個」に沿ったライフプランサポートを実現し、ユーザーと地方銀行の関係性の強化を目指していきたいと発表した。

 べスプラは遠山陽介CEOが登壇し発表を行った。同社は、“イノベーションで世界を救う”という理念を持ち、「健康・消費・雇用」の3つの分野でサービスを展開している。今回、認知症の検査普及や予防を目的に、地方銀行が持つ地域基盤を活用した高齢者とその家族を支えるサービスを目指していくと発表した。

 ZAICOは田村壽英代表取締役が登壇し発表した。同社は、「モノの情報を集め、整え、提供することで社会の効率を良くする」というビジョンのもと、クラウド在庫管理ソフトZAICOを約8万ユーザーに対して提供しているという。このソフトが銀行と顧客のコミュニケーションツールになり、そこから得られる在庫やその流動性などのモノの情報を活かした顧客との関係作り・与信の実現に向けた協業を提案した。

 ユカイ工学は鈴木裕一郎COOが登壇し発表した。同社は「ロボティクスで世界をユカイに」というビジョンのもと、これまで多くのカワイイロボットを生み出してきた。世の中がアプリ決済やキャッシュレスに向かう中、スマホを持たず、外出も大変な高齢者にとって最適なサービスやインターフェイスの在り方として、ロボットを提供。ひとりで暮らす高齢者とその家族をつなぐ役割から、金融機関の情報ツールへとステップアップさせていくと紹介した。

 OsidOriは宮本敬史CEOが登壇し発表した。同社は、「誰もがお金に困らず、生きたい人生を歩める世界を作る」をビジョンに、夫婦向けPFMを提供している。今回のプログラムでは、銀行が抱える「顧客との関係性の希薄化」を解決する「家族ウォレットアプリ」を提案。顧客の利便性とエンゲージメントを高め、銀行のさらなる成長に寄与するサービスを開発していくと発表した。

 すべてのプレゼン後、審査員が別室で審査を行う中、ステージでは、iSGSインベストメントワークスの五嶋一人代表パートナー、CARTA HOLDINGSの宇佐美進典会長、マネーフォワードの執行役員 瀧俊雄FinTech研究所長、DCMベンチャーズの原健一郎プリンシパルが登壇し、サムライインキュベート Enterprise Groupの成瀬功一執行役員がモデレーターを務めるトークショーが行われた。

 オープンイノベーションについて五嶋代表パートナーは、「ベンチャーは金融機関に人材や仕事の紹介をしてくれないかと期待している。とくに、金融機関が持つネットワークへの期待は大きい」と、今回の地方銀行のネットワーク網と地域基盤に裏打ちされたサポート力に期待して参加している企業が多いのではないかと説明する。

 宇佐美会長は、「スタートアップがやってきたことと、金融機関がやってきたことの垣根がなくなってきているように思う。一方で、金融機関はリスクをとることに慣れていないため、もっと、リスクに対して寛容になることも必要だと思っている」と、リスクをある程度受け入れなければ、イノベーションの実現は難しいと述べていた。

 瀧FinTech研究所長は、「銀行には、出向者をたくさん出してほしいと思う。とくに若手社員を出向させることで、企業の中でどのようなことが行われているかを学ぶことができるので、銀行に戻った時に、どのように支援すればよいかといったノウハウも身につけられる」と、ベンチャーやスタートアップに銀行員が出向することも、イノベーションの実現になるのではないかと語っていた。

 原プリンシパルは、「米国では、デッドファイナンスで資金調達しているスタートアップが多い。日本の金融機関も支援環境を整えながらフレキシブルな対応を行っていくことも大切」と、人の問題やお金の問題について、新たな価値を導入していくことも重要だと述べていた。

 そして、コンテストの各賞が発表された。地方創生賞はZAICOが受賞した。受賞理由について、東邦銀行の佐藤稔専務は、「在庫管理は、今の顧客に有用性が高い情報だと認識している。これをスタートにさらなるビジネスの実現性に向けてサポートしていければと思う」と、述べていた。ZAICOの田村代表は、「銀行から多くのインサイトを得ることができた。協業に向けてこの関係を維持していければと思っている」と、コメントしていた。テクノロジー賞はOLTAが受賞した。受賞理由について、第四銀行の坂井克敏東京支店長は、「中小企業は短期間で資金調達を行いたいというニーズが高い。今回提案してもらった技術で、ぜひニーズを実現してもらいたい」と、述べていた。OLTAの澤岻優紀CEOは、「これからそれぞれの強みを活かし、サービスをどのように届けていくかを、さらに一緒に行えたらと思っている」と、コメントしていた。

 API賞はOsidOriが受賞した。受賞理由について、北洋銀行の長野実常務は、「APIを駆使した高いレベルのアプリであると思っている。社会の要請にかなったものであると認識していることから、事業化に向けて協力していければと思う」と、述べていた。OsidOriの宮本CEOは、「アイデアブラッシュアップ期間でディスカッションさせていただいたおかげで、当社のサービスもさらに進歩できたと思っている。これから協業に向けて末永く支援してもらいたい」と、コメントした。チャレンジ賞はユカイ工学が受賞した。受賞理由について、伊予銀行の竹内哲夫常務は、「地方にとって一人暮らしの高齢者と都会に暮らす子ども家族をつなぐことはとても重要になってくる。今回のプランがそのきっかけになるのではないかと期待している」と、述べていた。ユカイ工学の鈴木COOは、「この受賞は始まりだと感じている。具体化に向けてもっと議論させていただきたいと思っている」と、コメントした。イノベーティブ賞はAIQが受賞した。受賞理由について、中国銀行の福田正彦常務は、「審査項目の革新性ではトップであった。プランをさらにブラッシュアップして実装できればと思う」と、述べていた。AIQの高島CCOは、「今回応募したことで、いろんなことが勉強できた。実装に向けて尽力していきたい」と、コメントした。

 最優秀賞はベスパラが受賞した。受賞理由について、千葉銀行の篠崎忠義常務は、「地方の課題だけでなく、日本すべてで認知症は大きな課題となっている。審査では事業化という目線で議論した。一緒に実現化に向けて進めていければと思う」と、述べていた。べスプラの遠山CEOは、「アイデアブラッシュアップ期間で、様々なことを勉強することができた。7年前では認知症について見向きもしてくれないところばかりだった。それでも愚直に認知症と向き合ってきた結果であると思っている」と、コメントした。

 T&Iイノベーションセンターの森本会長が講評を行った。「今日は6社に最高のプレゼンをしてもらった。当社としても、今回すごくチャレンジングなことだったと思っている。今日はあくまで中間点で、ここからがスタートになる。各銀行との協業につなげてもらえればと思っている」と、述べていた。

 最後に、T&Iイノベーションセンターの藤木和彦社長は、「このビジネスコンテストは、今回が2回目となる。前回は手探り状態で行ったが、今回はサムライインキュベートに支援してもらい成功裏に終えることができた。今後、いかに各社と銀行がビジネスプランの具現化に向けて進めていくか、さらなる議論が必要になると思っている。銀行のビジネスにとって、トランスミッションをどう行うかが重要になってくる。当社も微力ながらサポートさせてもらいたいと考えている」と、閉会の挨拶を述べた。

T&Iイノベーションセンター=https://www.tandiic.co.jp/
TSUBASAアライアンス Finovation Challenge 2018-2019=https://compe.japandesign.ne.jp/tandiic-finovation-challenge-2018/


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