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ファッション・ビジネスに特化した国際ファッション専門職大学が開学、元文部科学副大臣の鈴木寛氏とファッションデザイナーの山本寛斎氏がこれからの日本に求められる教育のあり方について語る

2019.01.23 19:00 更新

 国際ファッション専門職大学は、文部科学省から今年4月の設置認可がされたことを受け、1月22日に同学に関する説明会を開催した。説明会では、今年度に日本で初めてのファッション・ビジネスに特化した専門職大学「国際ファッション専門職大学」を開学するに至った経緯や教育方針、人材育成プロセスなどの説明を行った。また、元文部科学副大臣の鈴木寛氏とファッションデザイナーの山本寛斎氏をゲストに迎え、「これからの日本に求められる教育のあり方」について語ってもらった。

 学校法人 日本教育財団は、新設される専門職大学の趣旨に賛同し、今年度に日本で初めてのファッション・ビジネスに特化した専門職大学「国際ファッション専門職大学」を開学する。国際ファッション専門職大学の近藤誠一学長は、「グローバル化やテクノロジーの進歩などによって、私たちを取り巻く環境が変わり、ライフスタイルも多様化してきている。こうした中、明治開国から150年を昨年迎え、今年、年号が変わるなど時代の節目を迎える我が国において、どのように活動していけばよいのかという岐路に立たされているのではないかと感じている」と、日本がさらに発展していくための転換期を迎えているのだと説く。「とくに、ファッション業界は低迷。職人や匠の技が活かされていないという現状がある」と、日本独自の発展を遂げていないのがファッション業界なのではないかと疑問を呈する。「今こそ、日本の底力を表現するべく、社会に打って出る人材を育成していくことが急務であると考えた。とくにグローバルニーズに対応し、社会のライフデザインに昇華させることができる人材を育てる必要があると思われる」と、世界で活躍できる人材がファッション業界に求められているのだと強調する。「こうした世界で活躍できる人材を育てるべく開学するのが国際ファッション専門職大学である。4年後に卒業生を送り出すことを楽しみにしている」と、世界に挑戦できる人材を4年後には社会に送り出したいと意気込んだ。

 次に、国際ファッション専門職大学の概要について、大学設立準備室の後藤京子責任者が説明した。「日本は少子高齢化によって、ファッション業界の内需は減少。一方、海外ではアジアを中心に業界は大きな伸びを示している。世界に目を向けて活躍できる人材を育成するべく、当学を開学するとともに、ファッションのことについて様々な点を学んでもらいたいと考えている」と、同学の開学趣旨について語る。「当学では、東京、大阪、名古屋の3ヵ所に学部を開設。東京では、ファッションクリエイションとファッションビジネスをそれぞれ深く学んでもらうべく、2学科を開設する。大阪、名古屋に関しては、ファッションクリエイションとビジネスの両方のスキルを育てる学科を開設する」とのこと。「学びの特徴としては、115社以上の国内外のファッション企業およびブランドと提携。4年間で600時間の実務実習を必修としている。また、全員、海外へのインターンシップを行ってもらう」と、実務および海外経験を積ませるカリキュラムを組んでいくという。「教授陣については、4割以上が業界経験豊富な実務家教員となっている。そして、ファッション業界に特化した実践的な語学教育も行っていく」と、実務経験者が教壇に立つことで、業界の生きた知識を学生に植えつけていくだけでなく、グローバル社会に対応できるコミュニケーション能力も身につけさせたいと話していた。「就職についても、完全就職保証制度と15年間就職保証制度を設けることで、手厚いサポートを行っていく」と、卒業後の就職についてもサポートしていく考えを示した。

 「入試については、5教科中心のペーパーテストの一発勝負ではなく、学力3要素を見極めるために全試験で丁寧な面接試験を導入。受験者の個性や能力、将来の目標などから多面的に評価していく」と、ファッション業界で頑張りたいという人材を入試で見極めていきたいと話していた。「現在の出願状況については、今年卒業する高校生はもとより、服飾系の高校に通う学生や、専門学校を卒業する者、社会人、留学生など、多様な人々に入試を受けてもらう予定となっている」と、多様な人材が同学に集うことになるのではないかと話していた。

 そして、国際社会における日本の産業界の課題や専門職大学の意義、日本の教育における課題と将来の在り方について語ってもらうべく、元文部科学副大臣の鈴木寛氏とデザイナーでプロデューサーの山本寛斎氏をゲストに迎え、近藤学長がファシリテーターを務めるトークセッションが催された。まず、近藤学長は、「今、日本の人材育成は十分ではないといわれている。どこに問題があると思われるか」と、鈴木氏に問うと、「15歳までの教育は欧米諸国よりも優れたレベルにあると思われる。しかし、高校・大学は、一気にレベルが下がってしまっているといっても過言ではない。その背景には、少子化の影響で、教育を受ける子どもがいる家庭が全体の2割程度しかいなくなってしまっている。そのため、国の財源も抑えられており、思うような教育を進めることができない」と、欧米諸国に比べて、高校・大学に費やす予算が低く設定されている点を第一の問題点として挙げていた。「また、米国でいう学歴は、博士号なのか修士号なのか学位を取得したのかなどが問われる。しかし、日本の学歴はそうではない。つまり日本は世界的に見ると学歴の低い国という扱いになってしまっている」と、出身校を学歴と見なす日本の風潮に警鐘を鳴らす。「一方、アジアは教育産業が成長分野となっている。こうした競争力のあるアジアでファッション分野の教育を推進していくことが注目を集めている」と、世界に目を向けた教育が今の日本に求められていることなのだと述べていた。

 山本氏は、「日本には世界に名だたるデザイナーやクリエイターが多くいるが、クリエイトとビジネスのバランスがしっかりとれた人材がいるかというと、見当たらないのが現状だ。この理由として、クリエイションとビジネスの両輪について教育するということを日本では行ってこなかったことが挙げられる。ただし、私見として数字をしっかり押さえていくことと、とがったメッセージを世に伝えていくことは、とても難しいとも感じている」と、一人でクリエイティブなこともビジネス的なこともこなすことはとても難しいことではないかと述べていた。この点について、鈴木氏は、「各分野の専門知識を持つ人たちと一緒になってイノベーションを起こすことが重要になると考える。そのためには、クリエイティブにとがった人でも、ビジネス領域に関するある程度の知識を取得していることで、ビジネスにとがった人とのコミュニケーションが格段に前進すると思われる」と、専門外であっても、イノベーションを起こす上で重要な基礎スキルは身につけておくことが必要なのではないかと語っていた。

 山本氏は、「クリエイターはある意味わがままな点も校正として受け入れられている。それだけに、人と意見を合わせることを苦手としている。ファッションは流行という移ろいやすいものに、尖った目線を注ぐことを美学と考えている。そのため、数字で物事を判断するという考えを持ち合わせていないという問題もある」と、尖った感性がファッション業界で生き抜くための能力であると考える人たちが多いものの、つかみどころのない時代に突入した現代にとっては、これまでの価値観から変えていく必要もあるのではないかと語っていた。【PR】

国際ファッション専門職大学=https://www.piif.ac.jp/


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