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エイシング、クラウドを介さずリアルタイムに自律学習できる独自AIアルゴリズム搭載の「AiiRチップ」を発売、自動運転や工場の自動化など様々なシーンでニーズが高まると期待

2019.01.24 19:55 更新

 エイシングは、機械制御におけるリアルタイムな自律学習を可能にするAIチップ「AiiRチップ」を発売する。1月23日に行われた新製品および事業戦略発表会では、高速処理が可能な独自AIアルゴリズム「ディープ・バイナリー・ツリー(以下、DBT)」を搭載した「AiiRチップ」の概要やデモンストレーション、エッジAIの業界動向などについて説明した。

 「当社は2年前に創業したばかりのベンチャー企業で、“エッジAIで世界をスマートに”を合言葉にIndustry4.0の体現による高効率化社会の実現や社会集合知の構築を目指していく」と、エイシングの井澤純一CEOが挨拶。「昨今、少子高齢化の進展から人工知能やロボット(自動化技術)によって産業を維持する必要に迫られている。しかし、エッジデバイス実装時の既存のAI技術は、専門家によるパラメータ調整が必要で、その場で動的変化に対応することが困難であるとされている。また、学習コストが高く、エッジでの処理が難しいといわれている」と、エッジデバイスの課題を紹介。

 「こうした課題を解決するべく、エッジAIに対するニーズが高まっているのだが、既存のものでは、クラウド上にデータを伝送し、解析・予測したデータをハードウェアに再び実装し、補正していくという方法がとられている。しかし、通信を介しているため、タイムラグがどうしても発生してしまう」と、エッジAIに対するニーズは高いものの、デメリットも存在するのだと教えてくれた。「一方、当社のエッジAIは、ユーザー側で学習と予測を行う。つまり、軽量実装と少変量対応でリアルタイム性と逐次学習が可能な、機械制御用AIアルゴリズム(DBT)とランダムフォレスト強化版(SARF)の『AiiR』ソリューションを実現することで、これまで困難であったエッジ側でのリアルタイムな自律学習を可能にする」と、同社のエッジAIの特徴を説明してくれた。

 「また、当社独自のAIアルゴリズムDBTには、AIエンジニアが不要で、エッジComputingで高速学習が可能となっている。さらに、個体差に合わせた学習も可能だ」と、DBTの強みについても紹介。「ただし、DeepLearningに比べて、メンテナンスコストが低く、学習速度も速く、説明も可能であるものの、複数タスクへの対応は困難であるため、画像認識や処理、音声認識、自然言語処理には不向きとなっている」と、DBTは機械制御に適したAIアルゴリズムなのだと教えてくれた。「とくに、個体差補正については、高い優位性があると認識している」と、予測制御でのニーズは考えられるものの、個体差補正の分野であれば、DBTに代わるものが存在しないため、優位性が高いのだと語っていた。

 「そして今回、『AiiR』ソリューションを具現化した『AiiRチップ』をリリースすることにした。この『AiiRチップ』は、スタンドアローン環境でリアルタイム学習と予測が可能となっている」と、DBTを搭載した「AiiRチップ」について発表。「『AiiRチップ』をまず試験導入してもらい、その後、導入機器に合わせてシステムをチューニングするといった提供を目指している」と、「AiiRチップ」に対してライセンス契約を結んでもらうことで、利益の最適化を目指すビジネスモデルになっていると教えてくれた。「現在、オムロンと共同研究およびライセンス契約を締結し、制御機器用カスタマイズAIエンジンとして提供している」と、実際に進行中のプロジェクトも紹介。「将来的には、エッジ側で分散学習し、クラウド上で統合学習を行うことで、集合知モジュールを構築可能だと考えている」と、同社だけが実現できるソリューションについても言及してくれた。

 なお、発表会では、倒立振子の制御システムのデモンストレーションを実施。PID制御ではパラメータチューニングに要した時間は約30分で、倒立状態に戻る場合もあれば、戻らない場合もある。一方、DBTを用いた制御では、学習用データを1分間取得しただけで、倒立状態へ必ず戻った。しかし、収束間際に発振することから、学習用データを2分間追加取得させることで、発振も低減させることができた。つまり、機械自身が学習し賢くなっていくことを、デモンストレーションで示してくれた。

エイシング=https://aising.jp/


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