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文京学院大学、超高齢社会におけるソーシャルワーカーの役割についてセミナーを開催、地域包括ケアシステムの構築を進めながら組織的にアウトリーチを駆使した働きかけを

2018.11.07 18:54 更新

 文京学院大学は、11月6日に、「超高齢社会におけるソーシャルワーカーの役割とは」と題したセミナーを開催した。同セミナーでは、高齢者福祉、ソーシャルワーク、ケアマネジメントを専門分野とする、同学人間学部人間福祉学科長で教授の鳥羽美香先生が、超高齢社会における福祉サービス活用方法や、ソーシャルワーカーの役割について解説した。

 「今年9月現在、65歳以上の高齢者が総人口に占める割合は28.1%の3557万人で過去最高を更新した。日本の総人口に占める70歳以上の割合は、前年よりも0.8ポイント高い20.7%、人数は100万人増の2618万人となり、初めて2割を超えた」と、1947年から1949年の団塊の世代が昨年から70歳代になったことが影響していると鳥羽先生が解説。「こうした超高齢社会において、高齢者の暮らしは、単独世帯の増加や社会的孤立と孤独死の問題、要介護高齢者の介護問題、生活困窮高齢者問題など、問題が山積している」と、高齢者の暮らしには多くの問題があるのだと指摘する。「とくに、要介護をめぐる介護問題においては、老々介護、認々介護、多重介護、シングル介護といった問題が多数存在する」と、高齢者が高齢者を介護する場合や、認知症の高齢者が認知症の高齢者を介護したり、夫婦、親子など複数の要介護者を介護したり、独身の子どもが親を介護するケースなどがあるという。「介護保険制度における要介護または要介護の認定者数は増えている」と、介護保険制度の適用申請を行う人は多いのだと説明する。「そして、介護保険制度の介護サービスは、介護給付と予防給付を行うサービスに分けられ、都道府県・政令市・中核都市が指定・監督を行うサービスと市区町村が指定・監督を行うサービスがある」と、介護サービスも様々な種類が存在するのだと教えてくれた。

 「介護サービスを活用する場合に大きな存在となり得るのは、市区町村が設置した高齢者やその家族のための総合窓口である地域包括センターとなる。地域包括センターでは、社会福祉士・保健師等、主任ケアマネージャーの3つの保健・医療・福祉の専門職が、高齢者が住み慣れた地域で生活できるように介護予防、介護保険サービス、その他の保健福祉サービスなどの相談に応じている」とのこと。「この3つの専門職の連携・協働が支援のカギとなる」と、地域包括支援センターの活用が重要になってくると述べていた。「一方、介護保険制度や生活保護制度は、原則本人からの申請に基づく制度となっている」と、本人が必要ないと思っていたり、制度が利用できるのに気づかないケースも多いという。「つまり、ニーズの掘り起こし・第三者が本人の代弁をすることも必要になる」と、地域包括支援センターなどの専門職の必要性が出てくると語っていた。

 「専門職として重要な担い手になるのが、社会福祉士(ソーシャルワーカー)となる。国家資格である社会福祉士は、専門知識および技術をもって、身体上・精神上の障害、環境上の理由によって日常生活を営むのに支障があるものの福祉に関する相談に応じる仕事となっている」と、高齢者・障害者・児童などすべての領域を対象とした相談援助の福祉専門職なのだと説明する。「社会福祉士は、登録者数が21万3358人(今年2月末)となっており、試験の合格率は30.2%と資格取得の難易度は高い」と、合格率が低いことが影響し、社会福祉士として活躍する人は少数なのだと教えてくれた。「社会福祉士は、行政機関や医療機関、社会福祉協議会、地域包括支援センター、各種福祉施設、独立型の社会福祉事務所が主な勤務場所となっている」と、社会福祉士が活躍する現場を紹介。「ケアマネージャーとの違いは、介護保険制度の枠組みにとらわれず、潜在的ニーズの掘り起こしから、ネットワーク作り、社会資源の開発までを視野に入れた役割で支援活動をする点にある」と、介護保険制度の枠組みでサービス調整を行うケアマネージャーとの違いについて言及してくれた。

 「超高齢社会でのソーシャルワーカーの役割として、認知症・一人暮らしの人でアプローチが難しい人に対する支援が重要となるが、一方で、ソーシャルワーカーの機能が周知されていない事実もある。そのため、複合的課題を抱える事例に対して、分野横断的に支援を必要とする人々を取り巻く環境や地域社会に働きかけ、多様な社会資源を活用・開発していくソーシャルワークの機能がますます必要となってきている。災害発生時には、段階に応じて生活ニーズが変化していく。きめ細やかな復興を支援していくためには、ソーシャルワークの機能がよりいっそう求められる。そして、権利擁護・代弁・エンパワメント、支持・援助、仲介・調整・組織化、組織マネジメント・人材育成・社会開発・社会資源開発、福祉課題の普遍化が、ソーシャルワークの機能といえるのではないか」と、今後のソーシャルワーカーについて期待されることを列挙してくれた。「超高齢社会、人口減少、多様な価値観が出現する中、社会福祉の制度・サービスや専門職は21世紀において必要不可欠になっており、その中でとくにソーシャルワーカーの役割は大きいといえる」と、ソーシャルワーカーは必要不可欠の存在なのだとまとめていた。

文京学院大学=https://www.u-bunkyo.ac.jp/


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