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京急電鉄、オープンイノベーションによる新規事業創出を目指す「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM」の第2期を展開、ベンチャーキャピタルのサムライインキュベートと協力し資本共創の実現も

2018.11.21 19:50 更新

 京浜急行電鉄(以下、京急電鉄)とサムライインキュベートは、ベンチャー・スタートアップ企業とのオープンイノベーションによって、新規事業の創出を目指す「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM(京急アクセラレータープログラム)」の第2期を11月21日から開始する。同日に行われた説明会では、京急電鉄とサムライインキュベートから、同プログラムにおける目的や内容、第1期実績や進捗を説明した他、京急電鉄のイノベーション戦略についても紹介した。

 「生産年齢人口の減少や高齢化の進行、労働力不足の深刻化が顕在化し、既存のビジネスモデルは分岐点を迎えている。一方で、AIやIoTなどの第四次産業革命によるデジタル化が進み、業種の枠を超えるイノベーションの進展もみられるようになった。このように外部環境が複雑化し、変化への柔軟な対応が不可欠であることから、付加価値を向上して生産性を高めていく必要がある他、自前主義を脱却し、外部企業との連携強化が必要と考える」と、京急電鉄 新規事業企画室の沼田英治部長が挨拶。「当社では、沿線の社会課題を好機と捉え、当社グループの持続的発展に資する事業開発を様々なプレイヤーとの連携によって進めていく」と、同社施設や沿線地域における実証実験の実施などを推進しているのだという。「その中で当社では、既存のビジネスモデルをアップデートし、沿線を中心とする都市生活に新しい顧客体験を提供することを目指す『KEIKYU3.0』を掲げている」と、改革を方向性を指し示しているのだと強調する。

 「『KEIKYU3.0』では、モビリティを軸とした豊かなライフスタイルを創出し、テクノロジーとリアルの融合による地域連携型MaaSの実現を図る」と、人々の暮らしをより豊かにするためにテクノロジーを活用していくのだと説明する。「地域連携型MaaSの実現を図るべく、オープンイノベーション戦略を立案。成長初期と創業期のビジネス・テクノロジーの双方を取り入れる枠組みを実現するべく、アクセラレータープログラムを実施。シードベンチャーキャピタルファンドへの戦略的出資も図っていく」と、オープンイノベーション戦略の方針を語る。「具体的な施策については、サムライインキュベートとのパートナーシップによって戦略の実効性を引き上げる」とのこと。「アクセラレータープログラムについては、第1期を昨年10月から今年7月まで行い、第2期を今年11月から来年8月まで行う。シードベンチャーキャピタルファンドへの戦略的出資については、Samurai Incubate Fund 6号に数億円規模の出資を行う」と、施策の内容について紹介した。「そして、当社のイノベーション体制としては、『アクセラレータープログラム』と『VCファンドへの出資』をシームレスに連携し、日本初の新たなオープンイノベーションの枠組みを実行する」と、“志で未来をつくろう”をスローガンに、新しい未来と共に形作れる仲間を増やしていきながら、事業価値をさらに向上させていくと意気込んだ。

 次に、サムライインキュベートの榊原健太郎社長が挨拶した。「当社は、150社に出資するベンチャーキャピタルとして事業を展開。特徴としては、シード期からスタートアップを扱う数少ないVCであり、大手企業向けサービスを行う唯一のVCであると自負している」と、事業概要について紹介。「日本のスタートアップ・大企業に対し、圧倒的なインキュベーション力を軸に事業を展開している」と、そのインキュベーション力を生かして将来性の高いビジネスをゼロから生み出しているのだと強調する。「日本から世界に誇れる価値を創出するには、大企業のイノベーションへの参画・促進が不可欠と認識している」と、ベンチャーキャピタル投資額は、米国に比べて極端に少ないと訴える。「もう一度、日本から世界を席巻するイノベーションを起こすべく、大企業と連携するオープンイノベーションファンドを設立した」と、Samurai Incubate Fund 6号の狙いについて言及。「グローバルでのスタートアップ投資・育成と共に、大企業のオープンイノベーションを積極的に推進していく」と、京急電鉄の力を借りて、日本から世界を変えていきたいと訴えた。「『京急アクセラレータープログラム』第2期の協力によって、日本のアセットを有する京急電鉄と新たなライフスタイルを生み出せるものと期待している」と、この新しい取り組みが日本の大企業とスタートアップのスタンダードになればと語っていた。

 「京急アクセラレータープログラム」第2期の詳細について、京急電鉄の橋本氏が紹介した。「スケジュールに関しては、11月21日からエントリーを開始し、説明会、選考を経て、事業審査を行う。この事業審査は5社程度を予定しており、これらにはテストマーケティングを行ってもらい成果発表会を経て、プログラム終了後、事業共創の実現を図っていく」と、第2期の流れについて解説。「募集テーマは、駅を拠点とする移動体験の向上や『暮らす』『働く』を豊かにする“まち”の創出、地域とのつながり、人に寄り添う買い物体験の提供、訪れる人の非日常を彩る体験価値の創出、各テーマおよび地域をつなげるテクノロジーの活用・新サービスの創出という、移動、くらし・働き方、買い物、観光・レジャー、テクノロジーの活用の5つから選択してもらう」とのこと。「プログラム体制については、当社とサムライインキュベートによる本気の事業創造を図るべく、京急アセットを活用したテストマーケティングの他、Samurai Fundを通じた投資検討、社内外のエキスパートの伴走支援を行うだけでなく、地域自治体にも協力してもらう予定だ」と、地域・沿線パートナーによるサポートも充実させたいと述べていた。

 では、第1期ではどのような成果が得られたのだろうか。「昨年10月から募集を開始し、187件の応募の中から7社を採択。現在までに4件の実証実験や事業連携を実現している」とのこと。「エンジョイワークスは、クラウドファウンディングを活用した空き家再生を実現。葉山の空き蔵を宿泊施設にリノベーションするプロジェクトを共催し、クラウドファウンディングを通じて資金調達を実施した。女性をターゲットに、同社の企画乗車券『葉山女子旅きっぷ』とのタイアップを行い、わずか1日で目標金額を達成した」と、第1期の事例を紹介してくれた。「この他、チャプターエイトによるビジネスホテルにおける民泊のチェックイン代行事業や、日本美食によるQRコード決済の導入と外国人の回遊性向上。ヤマップによる三浦半島の新たな観光資源の掘り起こし『MIURA ALPS PROJECT』も実施した」と、その他の事例についても具体的な内容について発表した。

 「京急アクセラレータープログラム」第2期では、サムライインキュベートが運営するベンチャーキャピタルファンドへ事業シナジーを目的とする戦略的出資も実行することから、採択企業へのファンドを通じた出資など、プログラムと同ファンドとの連携も積極的に行うという。それだけに、プログラム終了後には、採択企業とのテストマーケティングなどの検討結果を踏まえ、京急電鉄との資本業務提携を視野に入れた事業共創を図っていくことで、沿線を中心とする都市生活に新しい顧客体験を生み出すことを目指すのだと意気込んでいた。

京浜急行電鉄=http://www.keikyu.co.jp/
サムライインキュベート=https://www.samurai-incubate.asia/


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