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東京都、産業交流展2018「世界発信コンペティション」でクロストークを開催、評論家の山田五郎氏やキャスターの吉川美代子氏が中小企業の製品・サービス・人材育成や管理などを紹介

2018.11.14 20:00 更新

 東京都が主催する「世界発信コンペティション」では、産業交流展2018内の1つのゾーンとして、審査を通過した製品・サービス30点を展示する。この「世界発信コンペティション」ゾーンの特別コンテンツとして、11月14日にクロストークを開催した。ゲストには、評論家・編集者の山田五郎氏とキャスターで京都産業大学客員教授の吉川美代子氏が登場し、それぞれ「東京都ベンチャー技術大賞」と「女性活躍推進知事特別賞」を受賞した企業について、製品やサービス、女性登用に関する課題や問題点などについてわかりやすく説明した。

 東京都が主催する「世界発信コンペティション」は、都内中小企業がその技術力を生かして開発した革新的で将来性のある製品・技術、サービスを表彰することによって、新製品、新サービスの開発を促進するとともに、販路開拓につなげることを目的としている。その一環として産業交流展2018に出展し、プレゼンテーション審査を通過した製品・サービスを紹介する。そして、通過企業の中から、大賞をはじめとした各賞を表彰した。この受賞企業を招いた「世界発信コンペティション」クロストークを開催。第一部では、「東京都ベンチャー技術大賞」のH2Lと「東京都革新的サービス大賞」のフーモアが“受賞企業の秘密を紐解く!私たちが社長になった訳~東京発中小企業の今までとこれから~”をテーマに、山田五郎氏とクロストークを展開した。

 モデレーターを担当した山田氏は、「革新的な技術があっても、そのアイデアを生かすことができない企業が多い中、大賞を受賞した企業は、アイデアを具現化した若くて頼もしい企業である」と、H2Lとフーモアを紹介。H2Lの岩崎健一郎社長は、「AIで筋肉の動きを学習する技術を使い、目で見るだけでなく、手の動きを入力することができるVRを開発した」と、H2Lの革新的な新製品について紹介。

 「光で筋肉を読み取ることができるので、脂肪があっても、汗をかいていても筋肉の動きを読み取ることができる」と、身体の影響を受けない画期的なセンサーなのだと説明してくれた。「また、触感型のゲームコントローラも開発。実際に触ったものの感覚も感じることができる」と、視覚のヴァーチャルリアリティだけでなく、触覚のバーチャルリアリティも可能にしたデバイスを今回、世界発信コンペティションで紹介したのだと語っていた。

 一方、フーモアの芝辻幹也社長は、「企業の社内マニュアルや製品説明書などを漫画にして提供するサービスを展開している。社内マニュアルはとても大事なことなので、しっかり覚えてもらう必要があるのだが、文章だけではなかなか頭に入らないという現状もある。そこで、当社では、企業が漫画にしたいという題材を実際にマンガ本にして提供している」と、ある特定の人が利用する本や説明書などを漫画にするサービスを提供しているのだという。「ビジネス本を漫画にしたものは、これまでにも数多く出版されてきた。しかし、当社の独自性としては、漫画家が企業のビジネスや製品、サービスを一から理解するのではなく、分業制にすることで、漫画家への負担を軽減し、より品質の高いマンガ本として企業に届けることができる点が強みとなっている」と、イラストレーター、ストーリー立案者、インタビュアーなど分業化し、効率性を高めることで、質の高いコンテンツに仕上げることができるのだと説明してくれた。

 では、こうした企業をどうして起業しようと思ったのか、山田氏が問うと、岩崎社長は、「最初は一般企業に就職したのだが、自分が研究したものを世に送り出すためには起業しかないと思っていた」と、自分の研究成果を具現化するには、起業しかないと感じたという。芝辻社長は、「もともと漫画家を目指していたのだが、クリエイターを支援するために、漫画家をあきらめ起業することにした」と、漫画家の夢は挫折したのだが、その夢に関連するビジネスを起業することにしたのだと教えてくれた。一方で山田氏は、「今の若者は起業したがらない」と、サラリーマンを志す人が大部分の現状を嘆く。この理由について、岩崎社長は、「大学の教育は同一のレールに乗らせるようにしており、これに乗っていないと孤立感を味わうような環境がある」と、オンリーワン的な人材教育が行われていない現状があるのだと指摘する。芝辻社長は、「両親の教育もあると思う。実際に起業すると両親に相談した時は、なんで起業するのかといわれた」と、両親も安定した職業を希望する傾向が強く、子どももそうした親の期待に応えたいという気持ちが、サラリーマンを志望する要因になっていると述べていた。

 起業してみて実際はどうだったかを山田氏が問うと、岩崎社長は、「自分で決められる幅が広がった」と、何事も自分で決定しなければ前に進まないという。芝辻社長は、「起業してみると、思っていた以上に、しんどい部分も多い。たとえば、起業当初は、仕事を受注して、商品を納入し、請求書を発送し、料金を振り込んでもらうという一連の仕組みもわかっていなかった」と、起業した当初は、ビジネスの基本もわかっていなかったという。岩崎社長も「仕事を外注すればよいという発想がなかった」と、すべてを自分で抱え込んでしまい、それが商品の品質を下げる原因になっていたこともあるという。こうした紆余曲折も含めて、起業することの醍醐味を語ってくれた。

 最後に岩崎社長は、「東京からエンターテインメントを発信したいと思っている。こうした意見を持つ仲間たちとコラボレーションして東京発の新たな価値を世界に提供していきたいと思う」と、世界に向けて発信したいという人々とうまく関わり合いながら、東京発の技術を届けていきたいと述べていた。芝辻社長は、「今回、大賞を受賞できたことで、よい出逢いが生まれた。こうした横のつながりができたことに感謝している」と、世界発信コンペティションを契機に、様々な企業とのアライアンスなども模索していきたい考えを示した。山田氏は、「今回のプレゼン審査通過企業は、とても素晴らしい企業ばかりとなっている。東京都はこうした企業発掘などを行い、一堂に介する場を提供することによって、企業間同士の交流が活発になると期待される。東京には、多くの企業が集積しているだけに、直にコミュニケーションがとりやすいということにもつながる。こうした企業同士の交流によって、もっと新たな技術やサービスが生まれるものと期待している」と、東京に集う企業同士の交流がもっと盛んになるように、東京都には世界発信コンペティションのような場を数多く設けてほしいと促していた。

 次に、「女性活躍推進知事特別賞」を受賞した、ナリシゲライフメッドとグリーン・シップ、押入れ産業の3社と吉川美代子氏が、“女性活躍新時代のこれから~女性管理職の立場から見る女性が活躍できる社会とは?~”をテーマにクロストークを行った。

 モデレーターを務めた吉川氏は、「女性の活躍を推進した企業を表彰するというのではなく、性別に関係なく優秀な企業を表彰するという世の中に早くなってくれることを期待する」と、女性だけの賞を特別に設けている現状に苦言を呈する。

 押入れ産業 営業本部の木戸博美主任は、「当社は、3:2の割合で男性が多く、大切な決め事にはなかなか女性が入っていけない現状がある。しかし、社会により良いものを届けるという信念をもって仕事に取り組んでおり、今回このような形でその思いが評価されたことを誇りに思う」と、社内ではまだまだ女性社員にスポットライトが浴びる機会が少ないという中、世界発信コンペティションで賞を受賞できたことは、今後のモチベーションアップにつながると訴える。

 一方、グリーン・シップの田中明子社長は、「叩き上げで社長を務めることになったのだが、当初は先任の後を引き継ぐことに不安があった。しかし、実際に社長に就任してからは、改めて顧客と向き合える機会が数多くあることに気づき、もっと早く社長に就任するべきであったと思うようにもなっている」と、女性は社内評価よりも顧客にどれだけ評価されているかが伝わるとモチベーションアップになるという。これをより実感できるのが社長なのだと改めて感じたのだと教えてくれた。

 ナリシゲライフメッドの成茂光子社長は、「先代の後を継いだ2代目社長として就任したのだが、若いころから父の手伝いをしていたこともあり、スムーズに社長に就任することができた」と、先代社長である父親の横で、会社の教育を受けてきただけに、どの社員よりも仕事を熟知していたのだと話していた。

 仕事には責任がともない、過酷な状況にもチャレンジしなければならないが、それでも頑張っていられる原動力について、吉川氏が問うと、木戸主任は、「仕事が好きという部分が大きいが、社会の中で必ず自分が役に立つ場所があると思い続けて仕事をしてきた。その成果が、今回の賞につながったのだと感じている」と、世界発信コンペティションのような場があったことで、苦労が報われたと胸をなでおろしていた。田中社長は、「ある年齢にならないと経営者は務まらないということではなく、よいタイミングで襷を渡せるのであれば、しっかり渡すことも大切であると思っている。その一方で、私自身が高い山となることで、その山の頂上を目指そうと、社員を奮起させることも大切なのではないかと思っている」と、妥協することなく、常にチャレンジすることが企業価値を高めるだけでなく、自身のやる気を後押しすることになると語っていた。成茂社長は、「従業員80名の企業ではあるが、各部門ごとに、その部門を見る人材はいるものの、それを束ねる人材育成も必要だと思っている」と、後継者を育成していくという部分がチャレンジにつながると述べていた。

 最後に、成茂社長は、「今回の受賞によって、新たな仲間の輪を構築することができた。このネットワークをさらに広げていきたい」と、企業間交流をさらに活発化させていきたいと述べていた。田中社長は、「地方にも女性が活躍する企業がたくさんある。東京都が音頭をとって、こうした地方に埋もれている女性が活躍する企業にもスポットを当ててもらえるようになったらと思う」と、世界発信コンペティションが、東京都だけでなく、全国に広がるような仕組みづくりも必要であると話していた。木戸主任は、「会社では、時々一人を感じることがある。しかし、こんなにも頑張っている女性がたくさんいることを、今回知ることができた」と、世界発信コンペティションは、今後のやる気につながると述べていた。吉川氏は、「経営者として優秀な人に性別は関係ないと思っている。女性のための賞ということではなく、すべて対象にした賞で、この3社に大賞を受賞してもらいたいと思っている」と、女性という枠組みをなくすことが、女性の活躍をさらに推進させていくのだと訴えた。

世界発信コンペティション=http://www.tokyo-kosha.or.jp/sekai2020/compe/


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