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産学官による連携を目指すサイバーセキュリティ「Jupiterプロジェクト」、事業構想や今後の展開を説明、仮想通貨とそのセキュリティ上の問題点やプロジェクトの安全性についても言及

2018.04.12 20:58 更新

 昨今、企業や政府機関の情報漏えい問題が話題となっており、企業や政府機関はセキュリティに関して膨大なコストを支払っている。情報漏えいの90%近くがヒューマンエラーといわれており、ブロックチェーン技術を用い、あらゆる分野において情報漏えいを防ぐプロジェクトとして「Jupiterプロジェクト(以下、ジュピタープロジェクト)」が発足。ジュピタープロジェクトでは、独自の技術や防衛に対する独自の構想によって、世界のあらゆる分野を安全に保持できるようにサポートしていくのだという。このジュピタープロジェクトの事業構想や今後の展開について説明する発表会が4月12日に行われた。発表会では、仮想通貨流出事件の被害者も登壇し、仮想通貨とそのセキュリティ上の問題点、ジュピタープロジェクトの安全性をテーマにした議論も行われた。

 「近年では、サイバー戦争やハッキング、乗っ取りやデータ破壊など、コンピュータのセキュリティへの脅威に対する情報交換の世界大会も行われており、会場には世界から1万人が集う」と、ジュピタープロジェクトの松田学プロジェクトリーダーが、サイバーセキュリティの注目度の高さをまず指摘する。「IoT時代において、必要なのは、社会システムとしてサイバーセキュリティを捉える発想で、なりすましに対する法執行やZero day、多様化する脅威について官民が連携したり、教育など草の根的な動きも重要になってくる」と、サイバーセキュリティについて取り組むためには、これまでの既成概念を取り除き、社会全体で向き合う必要があるのだと説く。「たとえば、海外では日本では犯罪者としてとらえられているハッカーが集まり、様々な講演やハッカーコンテストなどのハッキング技能の競技、情報交換などを行う場も存在。世界中から4万人が集まってくる」と、サイバー攻撃の観点から防御を学んでいこうという発想から、ハッカーたちが集まる場が設けられているのだと紹介する。

 「世界最大のIT国家として知られるエストニア共和国では、国民のほぼすべての営みにIDカードが設けられ、確定申告などは5分で終了してしまう」と、手続きのほとんどが電子で行われている国であるとのこと。「ただし、2007年に大規模なサイバー攻撃を受けた。その経験を活かし、特定のソリューションに頼らないことをポイントにあげ、現在はNATOサイバーセンターが設置されるほど、サイバーセキュリティの脅威から守る仕組みが構築されている」と、攻撃を受けた経験が大切であり、加えて自ら攻撃する能力を身につけていくことで、サイバーセキュリティの脅威から守るという方法をとっているのだと説明する。

 「こうした事例から、サイバー空間における安全性の確保が課題となっている。それは、各種サイバー攻撃の増大と高度化によって、社会の混乱を招き、経済的利益の逸失や国家存立の危機も招く。我が国においては、サイバーセキュリティ基本法を策定し、2020年の東京五輪に向けてサイバーセキュリティ対策を強化しているほか、東京大学大学院情報学環・セキュア情報化社会寄与講座において、社会システムの視点からとらえたサイバーセキュリティの研究も行っている」と、世界中が注目するビッグイベントに向けて課題解決に向けた対策を施すべく、法の整備や研究部会などの発足を行っていると説く。「サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムによって、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会が叫ばれる中で、サイバー攻撃を受けた経験から攻撃は最大の防御として、官民が情報を共有しトップダウンできるかどうか、という点が真の課題となってくる」と、国家の役割としてサイバーセキュリティに取り組む必要があるのではないかと訴えた。

 「そこで、サイバーセキュリティにおいては、従来からの技術による対策の他、エンド・トゥ・エンドプロテクションや人的要因への対策が不可欠となる」と、新たな脅威に対して対策を施していくことが重要になると指摘する。「ジュピタープロジェクトでは、サイバーセキュリティの人的要因に対して、対策を施していくシステムを提供していく」と、ブロックチェーンやAIを駆使することで、人的要因によるサイバーセキュリティ問題を解決させていきたい考えを示していた。「また、仮想通貨においては、セキュリティの価値を高めていくことで、その通貨価値を高めていくことが大切だ。つまりサイバーセキュリティによる新しいバリューを生み出していくことが、このプロジェクトの意義になっていく」と、サイバーセキュリティに対してジュピタープロジェクトが果たす役割について言及してくれた。

 次に、ジュピタープロジェクトの伊藤秀俊エグゼクティブアドバイザーが登壇し、自身の役割などについて説明した。「各国の政府が承認した国家プロジェクトに対するインフラストラクチャーやサービス事業で、暗号通貨が使われている」とのこと。「たとえば、新興国では暗号通貨と親和性が高い金融サービスや高級ホテル事業、空港開設にともなう鉄道網や道路網のインフラ整備、不動産・観光リゾートといった新規事業によって、暗号通貨が使われてきた」と、諸外国のビジネスプラットフォームと業種別プロジェクトについて解説。「ジュピタープロジェクトにおいては、暗号通貨と法定通貨を活用した融資、決済、資産運用の事業優先順位と、各国の法的規制、金融サービス官庁の許認可を精査しながら実施可能性を検討していくことになる」と、金融サービスのフィージビリティ・スタディについて紹介してくれた。

 そして、松田プロジェクトリーダー、伊藤エグゼクティブアドバイザーの他に、仮想通貨取引被害者の暗号女子 嶋咲葉氏とコインオタクの伊藤健次CEOが登壇し、ジュピタープロジェクトの安全性などについて座談会を行った。実際に仮想通貨取引で被害にあったという嶋咲氏は、「仮想通貨を購入して、これから動かそうと思っていた矢先に流出被害に遭い、持っていた仮想通貨を売ることができなかった。現在は購入金額の半分程度の価値にまで暴落してしまった」と、仮想通貨の流出があったことで、取引がストップし、通貨価値がなくなってしまったと説明する。

 これについて松田プロジェクトリーダーは、「仮想通貨自体の信頼度の低下ではなく、それを扱う人々の信頼が低下してしまった事例であるといえる。仮想通貨を健全なものとして育てていくことが日本の戦略にも掲げられているだけに、今回の流出によって、ブロックチェーンがある部分においてはまだ安全ではないということが露見してしまった。この点をどのようにしていくかが課題となっていく」と、仮想通貨を取引していたヒューマンリソースに問題があった点が否めないだけでなく、ブロックチェーンだから安全というわけではないのだと説明する。

 伊藤エグゼクティブアドバイザーも、「海外と同じ仮想通貨を取り扱っているにも関わらず、海外と同様の取引形態をとっていなかった点も問題であった。ガイドラインがしっかりしていれば、これほどの問題になることはなかった」と、セキュリティを軽んじていた面も否めないと指摘する。コインオタクの伊藤CEOは、「ブロックチェーンがこの事件によってネガティブになってしまった。その点が残念でならない」と、ブロックチェーンという技術の普及や推進の足かせになってしまったことに懸念を示していた。

 ジュピタープロジェクトの取り組みについて、コインオタクの伊藤CEOは、「仮想通貨は、数千種類も存在する。ジュピタープロジェクトは、この仮想通貨の中に、もう一つの仮想通貨を作ろうということではなく、新たな技術を作って、さらに新しい市場を創出するというプロジェクトとして進行している点に注目している」とのこと。松田プロジェクトリーダーは、「サイバーセキュリティというものは、個別的な対応を超えたものにしていく必要がある。そして、情報空間に対する信頼性の確保を社会全体の中に組み込んでいく必要がある。それには政治も巻き込んで、ジュピタープロジェクトに関わってもらうことが大切だ」と、社会全体で取り組むべきことであるのだと強調する。コインオタクの伊藤CEOは、「ジュピタープロジェクトは、産官学がキーワードになっているが、これまでは民間の参加による仮想通貨がほとんどとなっている。また、仮想通貨の採用について、新興国は積極的であるものの、先進国はネガティブで二の足を踏んでいる状況だけに、ジュピタープロジェクトを通じて、日本が仮想通貨を武器にこの分野で世界に先んじてポジションを確立させていくことに期待している」と、日本が仮想通貨の分野でリードしていく存在になってもらうためにも、ジュピタープロジェクトの存在は大きなカギになるのではないかと語っていた。【PR】

Jupiterプロジェクト=http://jupiter-ico.com/


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