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国境なき医師団と全国レガシーギフト協会、遺言による遺産の寄付「遺贈」への高まりを受け実行するための知識向上を目的とした共同セミナーを開催

2017.09.15 19:49 更新

 国境なき医師団は、“寄付”に関する意識が変化しつつある日本において、近年注目されている遺言による遺産の寄付「遺贈」に関する認知拡大や、より相談しやすい環境の整備を図るための取り組みとして、昨年発足した日本初の「遺贈」普及促進団体である全国レガシーギフト協会と共に、「遺贈」に関する最新動向を説明する勉強会を、9月15日に開催した。

 「高齢者のひとり・二人世帯の増加にともない、遺贈寄付を検討している人が増えつつある。しかし、認知が低く、具体的に遺贈を実行するための知識や相談窓口など、これから様々な整備が必要とされる中で、昨年、日本初の遺贈普及促進団体として当協会は発足した」と、全国レガシーギフト協会の鵜尾雅隆副理事長が挨拶。「遺贈寄付とは、遺言書による寄付と相続財産の寄付、信託による寄付の総称をいう」と、遺贈には3つの寄付形態があるのだという。「遺贈寄付を決めた人は、生涯独身であったが、遺言書がないと財産は国庫に帰属すると聞き、遺贈寄付をしようと考えた人や、社会への恩返しを目的に遺贈寄付をする人など、その想いは多岐にわたる」と、様々な感情から、遺贈寄付を検討し始める人が増えていると指摘する。「寄付白書2015によると、1年間に寄付をした人の数は、年齢を重ねるごとに増えていく傾向にある」と、高齢者ほど寄付への意識は高いのだと説明する。「しかし、実際に遺贈寄付を行った人は少ないことから、弁護士や司法書士、税理士などが集まり、遺贈に関する研究を行った。その結果、どうすればよいかわからないという人が圧倒的で、その他は遺言の書き方がわからないや寄付が何に使われるか不安などの点を考慮して、踏み込むことができない人が多い」と、遺贈に関する問題点や課題点が浮き彫りになったとのこと。

 「そこで、この現状を打開するべく、中立的に相談できる窓口として、全国レガシーギフト協会を立ち上げた」と、関心度が高まっている遺贈への不安を払拭するためには中立的な組織が必要になるという結論に達したとのこと。「当協会の活動としては、全国16ヵ所で無料で中立的な相談ができるようになっている」と、遺贈に対する相談窓口を設けていると教えてくれた。「また、ポータルサイトを立ち上げ、オンライン相談や事例集を用意し情報提供も行っている」と、WEBによる問い合わせなどにも対応しているとのこと。「さらに、遺贈寄付に関する研究や、NPO法人向けの情報提供も行っている」と、遺贈に関するスペシャリストの育成にも力を入れていると話していた。

 「最後に、遺言による寄付を行う場合の注意点としては、遺留分を侵害しないかたちで寄付することが大切となる。また、包括遺贈の場合は、債務についても継承してしまうので注意が必要だ。現物寄付においては、みなし譲渡課税になってしまう。キャピタルゲイン分の税金が遺贈寄付者の親族にかかってしまう場合もある。そして、遺言には、メッセージを添えることができるので、なぜ遺贈寄付を行うのかなどの理由を明記することを推奨している」と、遺贈寄付を実行に移す場合は、複雑な問題が露見してしまうだけに、注意しなければいけない点を教えてくれた。「今後については、遺贈寄付が適切に活かされている実態と成果を示していく必要があると考えている。さらには、人生の集大成としての社会貢献実現のための枠を超えた協力も必要になってくる。そして、遺贈寄付のストーリーの可視化を行うことも大切になると思われる」と、遺贈寄付が認知されるには、その成功体験が世に出ていく必要性があると述べていた。

 次に、特定非営利活動法人 国境なき医師団 遺贈専任担当の荻野一信氏が、遺贈に関する意識調査の結果や遺贈の普及浸透に向けた取り組みなどについて説明した。「2014年から遺贈に関するインターネット調査を実施し、経年で意識を探っている。その結果、遺贈を検討したいという人は、6割に達した。とくに10代男性の意識が高い。一方で、遺贈が社会現象化すると考えている人は2割程度で、実現すればよい社会になるという回答は6割を超えた」と、遺贈に関心を示す人はいるものの、実際に行動を起こす人は少数派になるのではないかと考えている人が多いと指摘する。「遺贈先の団体に求めるものについては、大きな団体だから良いという意見は少なく、営利目的でなく資金の使途が明確な点を重視していることがわかった」と、健全に使われているかどうかを基準に、遺贈先を選定したいという意見が多いようだ。「自分も遺言書の作成が必要だと思う人の割合は2割強にとどまり、2014年から横ばい傾向が続いている」と、遺書の作成意識の向上については今後の課題に挙げていた。

 「当団体では、遺贈寄付の取り組みとして、セミナーを開催したり、相談窓口を設置するなどして直接的な働きかけを行う一方、専門家とパートナー契約を結び、間接的な働きかけもしている。さらに、遺贈寄付の認知拡大のために、NPO間協力や意識調査の実施なども行っている」と、遺贈を知ってもらうと同時に、国境なき医師団が遺贈寄付を求めていることを訴求しているという。「こうした取り組みによって、遺産からの寄付額は年々増加。件数は4年で2倍になり、金額は4年で6倍になった」と、遺贈寄付の実績も拡大しているとのこと。「遺贈パンフレット請求も増えている」と、関心を示す人も増えていると話していた。「実際の流れについては、資料請求などを行った後、実際に面談し、専門家を紹介。遺言書を作成し、これを保管。遺言書を作成したことを当団体に連絡してもらう」と、コンタクトから一般的な流れについて説明してくれた。「近年の遺贈に関する問い合わせは、遺贈を考える本人から直接相談される機会が増加。内容としては、特定遺贈だけでなく、不動産を含む包括遺贈に関する問い合わせが増えている。遺贈寄付の形態の分散化もみられ、現金のみならず、不動産、株式、保険金なども増えている」と、遺贈関連の傾向について教えてくれた。

 「今度の取り組みとしては、遺贈や終活についてのイベントを計画。また、学べる終活テラスや社協共同のセミナーの開催も予定している。その他、遺贈に関するメッセージやコミュニケーションツールを作成し、遺贈についてもっと考えてもらえるように働きかけていきたい」と、遺贈寄付について、関心だけでなく実際にアクションを起こすまでのサポートについて積極的に行っていくと話していた。【PR】

国境なき医師団=http://www.msf.or.jp
全国レガシーギフト協会=https://izoukifu.jp



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