その他ニュース

トヨタ、オープンイノベーションプログラム「TOYOTA NEXT」を始動、"人を中心とした"新たなモビリティサービスを共同開発するパートナーを募集

2016.12.08 10:13 更新

 トヨタは、少子化、高齢化、過疎化などの大きな社会課題や、IT・テクノロジーによって変化していく消費者ニーズの多様化など、日本の未来で今後起こりゆく様々な変化に対して、幅広くそして機敏に対応するために、12月7日からオープンイノベーションプログラム「TOYOTA NEXT」をスタートした。同日に行われた発表会では、今回のプログラム概要を説明するとともに、選考メンバーとして名を連ねる、オープンイノベーション分野のリーディングカンパニーであるデジタルガレージの佐々木智也執行役員SVPとイナモトアンドカンパニー共同設立者のレイ イナモト クリエイティブディレクターが参加した「オープンイノベーション」における企業の役割などについてトークを展開した。

 「当社は、創業以来の変革期を迎えていると考え、今チャレンジしなければ明るい未来はないと思っている」と、トヨタ自動車の村上秀一常務が挨拶。「1年前に『J-ReBORN』計画を発足し、原点は日本にあるということを大切に顧客第一主義でサービス向上に務めている」と、国内市場の発展に寄与するべく、様々な試みを行ってきたのだと胸を張る。「一方で、消費者のライフスタイルは多様に変化し、様々な行動や考え方が生まれる中、当社においてもこの流れに対応するべく、クルマの自動化、クルマの知能化、クルマの情報化について、研究開発に取り組んでいる」と、次の世代に向けた取り組みを積極的に展開しているのだと力説する。「クルマの自動化では、各部品の電動化を加速。クルマの知能化については、自動運転を実現するべく、運転のサポートのみならず、安心・安全で自由に移動できることを支援する技術の開発に努めている」とのこと。「クルマの情報化では、クルマにインターネットがつながる社会に向けて、ビッグデータを活用した顧客の利便性構築に努めている」と、情報を収集し、これを還元する仕組みなどについても注力しているのだと話していた。

 「これらの研究開発を加速させるべく、『One ID TOYOTA』を立ち上げ、ネット上の情報やリクエスト情報、クルマのメンテナンスや車検の情報など、すべてを集約する仕組みを構築している」と、クルマの情報を瞬時に把握できるようになる未来もすぐ目の前にあるのだと指摘する。「また、コネクティッド戦略では、新たなモビリティサービスの開発を進めていく」と、これまで自前主義であったものを、オープンイノベーションで外部パートナーと協業しながら新しいアイデアやソリューションを提案していきたいと意気込む。「この仕組みを『TOYOTA NEXT』と名付けた。当社の80年の歴史の中で、数多くのアセットをサービスで活用してほしいと思っている」と、同社が持つ様々な資産を活用した新たなサービスの開発に、手を挙げて参加してほしいと呼び掛けた。「『TOYOTA NEXT』の応募は、12月7日から開始。選考メンバーには、当社の役員の他、レイ イナモト氏やデジタルガレージにも参加してもらい、外部の意見も取り入れながら、このプロジェクトを進めていく」と、選考段階から外部と一緒にプロジェクトを推進していくと訴えた。

 次に、「TOYOTA NEXT」の概要について、トヨタ自動車 デジタルマーケティング部の金岡慶氏が説明した。「まず、全ての人の移動の不安を払拭する安心・安全サービスというテーマでは、交通事故ゼロを目指し、新しいサービスを提案してほしい。もっと快適で楽しい移動を提供するクルマの利用促進サービスというテーマでは、より多くの人にクルマを利用してもらう仕組みづくりについて提案してほしいい。オーナーのロイヤルティを高める愛車化サービスというテーマでは、クルマのファン拡大を目指してほしい。トヨタの保有するデータを活用したONE to ONEサービスというテーマでは、パーソナルサービスの構築を見出してほしい。そして、全国のトヨタ販売店を通じて提供するディーラーサービスというテーマでは、顧客との新たな絆を構築するサービスを提供してほしい」と、今回のプログラムに関する募集テーマについて紹介。「当社が保有するビッグデータの活用はもとより、情報を掛け合わせながら、ディーラーネットワークなどのタッチポイントといったアセットの活用も行ってほしい」と、同社が保有する資産を利用したサービスのアイデアも募りたいと話していた。「オウンドメディアにおいても、多くのデータを保有しているだけに、ネット上の顧客にもアプローチすることができる」と、クルマを保有する人だけでなく、クルマに乗らない人もターゲットにしているのだと力説していた。

 「また、スマートキーボックスの活用や、法人向けの課題を解決するトランスログの見える化も実施。i-Roadというバッテリーで動くモビリティでは、新たな募集サービスを掛け合わせることで、もっと移動を快適にできるのではないかと考える」と、法人分野のサービスやモビリティを掛け合わせたサービスの模索も視野に入れているのだと語っていた。「T-Connectでは、スピーディーにサービスを実現、TCスマホナビアプリといった最新サービスとの連携も考えている」と、同社のアセットと外部パートナーとのアイデアによって、新たなモビリティの創出が考えられるのではないかと話していた。

 そして、「オープンイノベーション」における企業の役割をテーマに、村上常務とトヨタ自動車 デジタルマーケティングの浦出高史部長、「TOYOTA NEXT」の選考メンバーでもあるイナモトアンドカンパニー共同設立者のレイ イナモト クリエイティブディレクター、デジタルガレージの佐々木智也執行役員SVPが、パネルディスカッションを行った。佐々木SVPは、「オープンイノベーションとしてわかりやすい関係性は、『ポケモンGO』であると思う。任天堂と米国企業が共同で新たな価値を創造した典型例といえる」と、オープンイノベーションについて具体的な実例を紹介。イナモトディレクターは、「21世紀になり、インターネットが活用できるようになって、個人でイノベーションができるようになった。企業と個人が組んでイノベーションを起こすことこそが、オープンイノベーションではないかと思っている」と、オープンイノベーションの考えについて持論を語ってくれた。

 村上常務は、「スマホやSNSの普及で、社会が激変している。こうした状況においても、消費者に選ばれる企業を目指し、昨年デジタルマーケティング部を立ち上げた。スピード感とイノベーションをキーワードに、リアルの世界を大切に顧客を笑顔にすることをモットーとしている」と、新たな部署を立ち上げて、移りゆく時代に対応しようと模索しているのだと強調する。そのデジタルマーケティング部の責任者である浦出部長は、「IDの統合や販売店同士の情報の相互連携などを行い、新しい情報サービスの開発にも着手していきたいと思っている」と、デジタルマーケティング部の役割について言及してくれた。

 プロジェクトの選定について、イナモトディレクターは、「マジックとロジックが大切といわれるが、ロジックよりもマジックの方が重要と考えている。人を動かすには、ロジックだけではだめで、時にはマジックのような魔法も必要となる。アイデアの選定においては、マジックがどこにあるのかを見てみたい」と、プロジェクトの選定に対する想いを語ってくれた。村上常務は、「当社が80年前にそうであったように、サービスにかける情熱や先人たちの想いと重ね合わせて、世の中を良くしたり、社会に貢献したいという意欲が感じられるアイデアを選考したい」と、「TOYOTA NEXT」に募集してきたアイデアの選考に関する重視点について説明。

 佐々木SVPは、「世の中にどれだけインパクトを与えるのか。さらに今後世界に羽ばたいていけるアイデアなのか、という点を見ていきたい」と、グローバル化を見据えたアイデアの応募に期待を寄せていた。浦出部長は、「ヒューマンセントリックに着目している。自前主義では、どうしても知らず知らずのうちに売り手目線で物事を考えてしまう。このプロジェクトでは、人を中心に、課題解消を考えたアイデアを評価したい」と、世の中の人のことを考えたアイデアが多く集まることに期待していた。

 「TOYOTA NEXT」は、従来の自前主義に囚われることなく、大小問わず様々な企業や研究機関などがもつアイデア、テクノロジー、ソリューションや、すでにサービスを開始している事業を活用して、新たなサービスを共同開発していくことを目的としているという。「全ての人の移動の不安を払拭する安全・安心サービス」「もっと快適で楽しい移動を提供するクルマの利用推進サービス」など、国内の消費者の生活においてこの先の未来、もっとワクワク、ドキドキする体験を提供できる「人を中心とした」様々なサービスを共同開発し、2017年以降に順次提供する予定だ。募集期間は12月7日から2017年2月20日となっている。

トヨタ自動車=http://toyota.jp/
「TOYOTA NEXT」オフィシャルサイト=https://toyotanext.jp


このページの先頭へ