医療最前線

タカラバイオ、唾液を検体として迅速・簡便に新型コロナウイルスのPCR検査が行えることを確認

2020.06.02 15:51 更新

 タカラバイオは、5月1日に発売した「SARS-CoV-2 Direct Detection RT-qPCR Kit」(以下、同キット)を用いて、唾液を検体として迅速・簡便に新型コロナウイルスのPCR検査が行えることを確認した。

 新型コロナウイルスのPCR検査には、被験者の鼻や喉の奥から検体を採取する方法が行われているが、被験者に身体的な負荷がかかるうえ、採取時のくしゃみや咳によって、採取する医療従事者への感染のリスクが高まるといわれており、被験者負担と感染リスクのより低い方法として、唾液を検体とする方法が求められていた。

 6月2日付で公開された、新型コロナウイルスのPCR検査に関する国立感染症研究所(以下、感染研)の「2019-nCoV(新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル~2020/06/02更新版~」(以下、感染研検体採取・輸送マニュアル)に、唾液検体の取扱いについて掲載されたので、唾液を検体とする同キットによる検査は、行政検査に使用できるだけでなく、公的医療保険の適用対象ともなる。

 同キットは、新型コロナウイルスに特異的な遺伝子配列を認識するように設計されており、唾液を検体とした場合でもPCR反応は阻害を受けず、「病原体検出マニュアル 2019-nCoV Ver.2.9.1」に掲載されている、RNA抽出工程を必要とする従来の方法と比較して、同等の精度と感度を持つことが確認された。

 同キットは、唾液を検体とした場合でも、安定供給に不安のある、従来のRNA抽出キットを用いる煩雑なRNA抽出工程(約1時間)は不要とのこと。検体に同キットに付属している簡易抽出試薬を混合し、その後95℃で5分間熱処理するだけで、そのままPCR反応に用いることができるため、操作の簡便性が大幅に向上している。

 同キットは、同社の高速PCR技術の採用によって、唾液を検体とした場合でも、PCR反応は約50分で行うことができるため、前処理時間を含むトータルの検査時間が、大幅に短縮できる。すなわち、感染研検体採取・輸送マニュアルに掲載された採取方法と同キットを用いれば、医療現場での唾液検体採取から最速1時間あまりで、検査結果を出すことが可能となる。

 同キットは、同社のリアルタイムPCR装置(Thermal Cycler Dice Real Time Systemシリーズ)のみならず、各社のリアルタイムPCR装置への適合性を確認している。同キットの簡易抽出試薬との加熱による前処理によって、ウイルスが不活化されるため、検査現場の負担も軽減され安定した結果を得ることが期待できる。

 同キットには、唾液や鼻咽頭ぬぐい液などの検体採取キットを除く、PCR反応に必要な調製済みのすべての試薬が含まれており、反応用のプラスティック消耗品以外はRNA抽出試薬の追加購入も必要ないとのこと。さらに、大量製造体制の確立によって、1反応あたりのコストを大幅に低減することができた。

 同キットを、月産2万キット(200万反応分)を安定的に供給できる製造体制をすでに整えており、世界的な新型コロナウイルスのPCR検査需要に応えていく考え。

 また、検査センターなどの、多数の検査を実施される施設向けに、あらたに同キットの大容量バージョンも発売した。大容量バージョンは、同キット10キット分(1000反応分)が1キットとなっており、多検体処理に適したプロトコールにあわせ、簡易抽出試薬を増量しています。これにより、多数の検体の反応液調製を一度に処理することができ、検査の時間と労力のさらなる節減が期待される。

 今後とも、同社技術の実用化を通じて、新型コロナウイルスの感染症対策に貢献していく考え。

タカラバイオ=http://www.takara-bio.co.jp/


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