医療最前線

[新型コロナウイルス(COVID-19)関連]ジョンソン・エンド・ジョンソン、BARDAが共同で10億ドル超を新型コロナウイルスワクチンの研究開発に投入、遅くとも9月までにワクチン候補の第I相臨床試験を開始

2020.04.01 12:06 更新

 ジョンソン・エンド・ジョンソンは3月31日、1月以降取り組んでいる構成体からCOVID-19ワクチンの主要候補を選択したことを発表した。また、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセン ファーマシューティカル カンパニーズ(以下、ヤンセン)と米国生物医学先端研究開発局(Biomedical Advanced Research and Development Authority:BARDA)との既存の提携を大幅に拡大し、10億回分を超えるワクチンを世界規模で供給することを目指して既存の製造能力を急速に拡大している。ジョンソン・エンド・ジョンソンは、9月までに自社のリードワクチン候補の第I相臨床試験の開始を予定しており、規制当局への承認申請後、ワクチンの最初のバッチは2021年初頭に緊急用に利用可能になることを見込んでいる。これは、通常のワクチン開発プロセスと比較して大幅に期間が短縮されている。

 画期的な新規提携を通じて、米国保健社会福祉省の事前準備・対応担当次官補局(ASPR)の一部であるBARDAとジョンソン・エンド・ジョンソンは、共同で10億ドルを超える投資を行い、ワクチンの研究、開発、臨床試験に共同出資した。ジョンソン・エンド・ジョンソンは、検証済みのワクチンプラットフォームを使用し、これらに重点的に取り組むために、必要に応じて人員やインフラなどのリソースを世界中に割り当てている。また、これとは別に、BARDAとジョンソン・エンド・ジョンソンは、新型コロナウイルスに対する有望な抗ウイルス治療薬を同定するため、進行中の取り組みを拡大できるよう追加の資金を提供した。

 ジョンソン・エンド・ジョンソンは、その取り組みの一環として、米国の製造拠点の新たな設立や米国外での生産能力の拡大など、自社の世界的な製造能力を拡大している。生産能力を拡大することで、ワクチンの迅速な生産が可能になり、10億回分を超える安全かつ効果的なワクチンを世界中で供給できるようになるとのこと。ジョンソン・エンド・ジョンソンは切迫した状況の中、生産を開始することを計画し、緊急パンデミック用に非営利目的で手の届く価格のワクチンを一般に提供すべく尽力していく考え。

 ジョンソン・エンド・ジョンソンの会長兼最高経営責任者であるアレックス・ゴースキーは、「世界は公衆衛生上の緊急事態に直面しており、COVID-19のワクチンをできるだけ早く、手頃な価格で、世界中で入手できるようにするという役割に全力で取り組んでいる。世界最大のヘルスケア企業として、当社は、世界中の人々の日々の健康を向上させるという大きな責任を感じている。当社は、科学的専門性、事業規模、財務力を組み合わせることで、このパンデミックと闘う時間を短縮するために外部関係者の人々と協力して当社のリソースを提供する体制が整っている」とコメントしている。

 ジョンソン・エンド・ジョンソンの執行委員会副議長兼最高科学責任者であるポール・ストッフェルズ医学博士は、「当社の研究開発の取り組みに対する米国政府の信頼と支援に大きな価値を感じている。当社の世界的な専門家チームは研究開発プロセスをかつてないレベルにまで引き上げており、当社チームはBARDA、提携している科学者のパートナー、世界中の保健当局とともに精力的に取り組んでいる。1月から取り組んできた構成体からリードワクチン候補を同定できたことを大変嬉しく思っている。遅くとも9月までにヒトを対象とした第I相臨床試験を開始すべく、この試験と並行して拡大しているグローバルな生産能力によって、ワクチンは来年初頭に緊急用に入手できるようになると考えている」と述べている。

 ジョンソン・エンド・ジョンソンは2020年1月、新型コロナウイルス(COVID-19)の配列を入手するとすぐに、有望なワクチン候補を調査する取り組みを開始した。ヤンセンの研究チームは、ハーバード大学医学部附属病院ベス・イスラエル・ディーコネス・メディカルセンター(BIDMC)と共同で、ヤンセンのAdVac(技術を使用して複数のワクチン候補を作製し、テストした。その後、複数の学術機関の科学者と共同でワクチンの構成体をテストし、前臨床試験で免疫応答を生み出すのに最も有望な構成体を同定したという。

 この研究に基づき、ジョンソン・エンド・ジョンソンは、最初の製造ステップに進む、COVID-19のリードワクチン候補(2つの予備候補あり)を同定した。これを受け、9月に第I相臨床試験を開始することを目指しており、安全性と有効性に関する臨床データは年末までに入手可能になる見込みだという。これによって、緊急用ワクチンは来年初頭に利用できるようになる見込みとのこと。

 参考までに、通常のワクチン開発プロセスには、候補の承認プロセスの開始前にも、5年から7年にわたるさまざまな研究段階があるという。ジョンソン・エンド・ジョンソンは20年以上にわたり、抗ウイルス薬とワクチンの製造設備に数十億ドルを投資してきた。COVID-19ワクチンプログラムは、新規ワクチン候補の迅速な開発と最適なワクチン候補の大量生産を可能にするヤンセンの実証されたAdVacおよびPER.C6技術を活用している。同技術を使用して、自社のエボラワクチンを開発・製造し、第II相または第III相の臨床開発段階にあるジカ、RSV、およびHIVワクチン候補を作製した。

 ワクチン開発の取り組みに加えて、BARDAとジョンソン・エンド・ジョンソンは提携拡大も行い、他の製薬会社の化合物を含む化合物ライブラリのスクリーニングにおいて、ヤンセンにおける進行中の取り組みを加速させた。これは、新型コロナウイルスに対する有望な治療薬を同定することを目的としている。ジョンソン・エンド・ジョンソンとBARDAは共に、この提携の一環として資金提供を行っている。これらの抗ウイルススクリーニングの取り組みは、ベルギーのレガ医学研究所(ルーヴェン・カトリック大学/ルーベン大学)と共同で実施している。

 2月の発表の通り、ジョンソン・エンド・ジョンソンとBARDAはグローバルパートナーと緊密に連携し、ヤンセンの抗ウイルス分子ライブラリをスクリーニングし、有望なCOVID-19治療薬の発見を加速させている。COVID-19は、呼吸器系を攻撃するコロナウイルスと呼ばれるウイルス群に属している。現在、COVID-19に対する承認済みのワクチンおよび治療薬はない。

ジョンソン・エンド・ジョンソン=https://www.jnj.co.jp/
ヤンセンファーマ=https://www.janssen.com/japan/


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