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[新型コロナウイルス(COVID-19)関連]島津製作所、煩雑な手作業を省き検査時間を半分にした「新型コロナウイルス検出試薬キット」を発売

2020.04.11 10:53 更新

 島津製作所は、4月20日に「新型コロナウイルス検出試薬キット」を発売する。当面は国内のみの販売となるが、5月以降の海外輸出も視野に入れて準備を進めていく。

 現状の遺伝子増幅法(PCR法)による新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検出では、鼻咽頭拭い液などの試料(検体)からRNAを抽出して精製する煩雑な作業が必要だ。これが多数の試料を迅速に検査する際の妨げになってきた。同キットの使用によってRNAの抽出・精製工程が省けるため、検査に要する人手を大幅に削減でき、かつ2時間以上かかっていたPCR検査の全工程を従来の半分である約1時間に短縮できる。96検体用PCR装置を用いて、96検体を検査した場合でも1時間半以内で行える。また、手作業を行わずに済むため、人為的なミスの防止にもつながる。

 「新型コロナウイルス検出試薬キット」は、同社独自のAmpdirect技術をベースに国立感染症研究所のマニュアル(国立感染症研究所「病原体検出マニュアル 2019-nCoV」)に沿って開発した。同技術は「生体試料に含まれるたんぱく質や多糖類などのPCR阻害物質の作用を抑制できるため、DNAやRNAを抽出・精製することなく、生体試料をPCRの反応液に直接添加できる」というもの。島津製作所は、これまでにAmpdirect技術を用いて、腸管出血性大腸菌やサルモネラ属菌、赤痢菌、ノロウイルスなどの病原体検出試薬を開発・販売しており、ここで培った技術を応用して新型コロナウイルス検出試薬の開発を行った。

 キットには必要な試薬が全て含まれており、直ぐにPCR検査が実施できる。試薬および試料の調製、前処理(加熱)、反応、検出という全工程を約1時間で完了できる。煩雑なRNA抽出作業が不要で、試料は処理液と混合し加熱するだけのため、人手を低減でき、かつ人為的なミスが防止できる。96検体用PCR装置を使って、96検体を検査した場合でも1時間半以内(処理液の混合に15分、加熱処理に5分、PCRに65分で計85分)で行える。

 誤操作などによって、陽性にもかかわらず遺伝子増幅が起きなかった場合に誤って陰性と判断しないよう、同キットの反応液には、増幅工程が正しく進んだことを確認するための参照成分を添加している。これによって、偽陰性が生じる可能性を低減し、検査結果の精度向上が期待できる。

 なお、同キットは研究用試薬となる。医薬品医療機器法に基づく体外診断用医薬品としての承認・認証等を受けていない。ただし、国立感染症研究所が定めた評価方法で性能を検証し、保険適用の対象となる「臨床検体を用いた評価結果が取得された2019-nCoV遺伝子検査法について」(2020年4月9日版)に記載された。評価における陽性一致率・陰性一致率はいずれも100%とのこと。同キットの使用には、PCR装置や分注ピペット、恒温槽、小型遠心機をはじめとする機材や、試料・遺伝子の取り扱い技術を要するため、ドラッグストアなどの小売店や個人への販売は予定していない。

[小売価格]22万5000円(100検体分/キット、税別)
[発売日]4月20日(月)

島津製作所=https://www.shimadzu.co.jp/


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