医療最前線

[新型コロナウイルス(COVID‐19)関連]アンジェス、大阪大学と共同で新型コロナウイルスに対する予防用DNAワクチンの開発に着手、タカラバイオがワクチンの製造に協力

2020.03.05 19:15 更新

 アンジェスは3月5日、HGF(ヒト肝細胞増殖因子)治療用製品においてDNAプラスミド製品を上市した実績をもとに、大阪大学と共同で新型コロナウイルス対策のための予防用DNAワクチンの開発を行うことを決定したと発表した。今回の開発は、同社の創業者で、大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学 教授の森下竜一先生からの提案によるもの。製造に関しては、プラスミドDNA(環状DNA)の製造技術の実績と製造設備を有するタカラバイオが協力する。同日に行われた記者発表会では、大阪大学の森下先生が、新型コロナウイルスの予防用DNAワクチンの開発概要について説明した。

 「DNAワクチンは、危険な病原体を一切使用せず、安全かつ短期間で製造できるという特徴を持っている。当社では、大阪大学と協力し、DNAワクチンのコンセプトや製造プロセスを確立してきた」と、アンジェスの山田英社長が挨拶。「今回、新型コロナウイルスへの対策が喫緊の課題となっていることを受け、DNAプラスミド製品の開発実績を生かし、新型コロナウイルスの予防用DNAワクチンを共同開発することを決定した。また、ワクチンの製造については、タカラバイオの協力を得ることができた。今後、当社と大阪大学、タカラバイオのオールジャパン体制で早期実用化を目指していく」と、新型コロナウイルスに対するDNAワクチンの開発に着手する経緯を述べた。

 続いて、大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学 教授の森下竜一先生が、新型コロナウイルスの予防用DNAワクチンの開発プロセスおよび製造期間などについて説明した。「DNAワクチンは、対象とする病原体のたんぱく質をコードするプラスミドDNAを接種することで、病原体たんぱく質を体内で生産し、病原体に対する免疫を付与する。従来の弱毒化ワクチンとは異なり、病原性を全く持たないため、安全に使うことができる。また、DNAプラスミド製品の製造方法は確立されており、製造工程でも病原体を一切使用しないため、危険性の高い病原体であっても安全かつ短期間にワクチンを大量製造できる」と、DNAワクチンの特徴について解説。「今回の新型コロナウイルスに対しては、ウイルス表面に発現するスパイク蛋白質遺伝子をコードしたDNAワクチンを開発する。このワクチンを投与すると、体内でDNAからスパイク状蛋白質が発現。被接種者の免疫が、スパイク蛋白質を抗原として認識し、スパイク蛋白質に対する液性免疫や細胞性免疫が誘導されることで、新型コロナウイルスの感染予防や重症化を抑制する効果が期待できる」と、新型コロナウイルスに対するDNAワクチンの作用機序を教えてくれた。

 「すでに新型コロナウイルスの予防用DNAワクチンのデザインは終了しており、現在、製造に着手している。今後、製造されたDNAワクチンをラットやサルを感染モデルに薬効薬理試験を行い、薬効の確認後、安全性試験を経て、ヒトでの臨床試験を実施する。DNAワクチンは、10年以上前から臨床試験で計1400人以上の健常人に投与されているが、安全性に対する懸念は一度もなかった」と、開発にあたっての安全性の高さを強調した。「また、新型コロナウイルスの国内蔓延を阻止する緊急対策として、DNAワクチンに加えて抗血清製剤の開発も進めていく。抗血清製剤は、病原体の増殖を阻止する抗体を接種することで、免疫を持たない患者の病態の重篤化を阻止するもの。今回、新型コロナウイルスのDNAワクチンをウマに接種する製造法を採用し、短期間での製造・提供を目指す」と、DNAワクチンと同時に抗血清製剤も製造し、新型コロナウイルスの蔓延阻止に貢献していく考えを示した。

 「新型コロナウイルスに対する予防用DNAワクチンの製造期間としては、DNAプラスミドの製造までに約2週間、薬効薬理試験および安全性試験で約1か月、トータルで6~8週で製造することが可能だ。現在は、DNAプラスミドの製造段階であり、検証試験などを経て、早くて6ヵ月後を目安に臨床試験を行い、できるだけ早く新型コロナウイルスの予防用DNAワクチンを供給していきたいと考えている」と、新型コロナウイルス対策として、早期にDNAワクチンを供給できるよう全力で開発に取り組んでいくと意欲を見せた。

アンジェス=http://www.anges.co.jp/
大阪大学=https://www.osaka-u.ac.jp/ja
タカラバイオ=http://www.takara-bio.co.jp/


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