医療最前線

マイランEPD、入園・入学をテーマにしたアナフィラキシー啓発メディアセミナーを開催、食物アレルギーを持つ子どもの母である長谷川理恵さんが入園・入学時のエピソードなど語る

2020.02.25 12:15 更新

 アナフィラキシー補助治療剤の製造販売元であるマイランEPDは、食物アレルギーを持つ子どもとその保護者が安心して入園・入学を迎えるために、入園・入学をテーマにしたアナフィラキシー啓発メディアセミナーを2月21日に開催した。セミナーでは、国立病院機構相模原病院 病態総合研究部病因病態研究室長の佐藤さくら先生が、子どもの入園・入学時の適切な対応について解説した他、調布市教育委員会教育部の廣瀬郷学務課長補佐が教育現場における取り組みを紹介した。また、食物アレルギーを持つ子どもの母であるモデルの長谷川理恵さんをゲストに迎えたトークセッションが行われ、入園・入学に際するエピソードや食物アレルギーの子どもが注意すべき点などについて語ってくれた。

 「近年、食物アレルギーを持つ子どもが増加している。食物アレルギーとは、食物によって免疫が過剰に働き、体に不都合な症状が出ることで、その原因としては、鶏卵、牛乳、小麦、木の実類、果物類、魚卵類、甲殻類、そばなどが挙げられる」と、食物アレルギーの基本概念について、国立病院機構相模原病院 病態総合研究部病因病態研究室長の佐藤さくら先生が説明。「アレルギーによって皮膚・粘膜・消化器・呼吸器などの複数の臓器に症状がみられ、症状が急速に進行してくる状態をアナフィラキシーといい、血圧低下や意識障害などショック症状をともなうアナフィラキシーショックを引き起こすリスクもある。アナフィラキシーの主な原因には食物、昆虫刺傷、医薬品があるが、小児では食物でアナフィラキシーになるケースが多い」と、食物アレルギーを持つ子どもはアナフィラキシーに注意する必要があると指摘した。

 「特に、保育所・園・学校で食物アレルギー・アナフィラキシーになる児童・生徒が増えており、2012年12月には、調布市の小学校で学校給食による食物アレルギー児の死亡事故が発生した。そして、これを機に食物アレルギー対応の見直し・改善が行われてきた」と、悲しい事故をきっかけに教育機関での食物アレルギー対応の取り組みが大きく改善されたという。「現在、教育機関では、『正しい理解と正確な情報の把握』、『日常の取り組みと事故予防』、『緊急時の対応』の3つの柱で子どもの食物アレルギーに対応している。この取り組みで重要になるのが『アレルギー疾患生活管理指導表』で、給食提供にともなう場合、食物・食材を扱う授業活動がある場合、宿泊をともなう活動がある場合には必ず提出してもらうようにしている」と、学校生活における「アレルギー疾患生活管理指導表」の重要性を訴えた。

 「これから入園・入学シーズンを迎えるが、食物アレルギーを持つ子どもの場合は、入園・入学前に、除去が必要な食物を主治医にしっかり確認することが大切になる。また、過去の症状の重症度を踏まえて、給食の提供が可能なのかなど学校生活で配慮すべきことも確認すること。そして、緊急時の対応として、薬の使用法や病院受診のタイミング、『エピペン』(アドレナリン自己注射薬)の使い方などを再確認しておいてほしい」と、入園・入学前に主治医に確認すべきポイントについて解説。「2月17日には、食物・蜂毒アレルギーの患者やその家族、医療関係者などすべての人を支えるスマートフォンアプリ『マイエピ』が、マイランEPDから提供開始された。このアプリは、私が監修を手掛けたもので、アレルギーやアナフィラキシーに関する医学的に正しい情報を提供する他、『エピペン』の適正使用をサポートする機能を備えている。入園・入学に向けて、ぜひ家族で活用してほしい」と、佐藤先生が監修したアプリ「マイエピ」についても紹介してくれた。

 続いて、調布市教育委員会教育部の廣瀬郷学務課長補佐が、入園・入学時における教育現場の取り組みについて説明した。「学校における食物アレルギー対応は、『事故防止』と『緊急対応』を2本柱とし、安全性を最優先に対策を推進している。その中で、食物アレルギーを持つ子どもの入園・入学時には、保護者から『施設での対応希望』、『症状の程度』、『家庭での対応』の3つのポイントを教職員がヒアリングするようにしている」と、食物アレルギーについて保護者との情報共有を徹底しているという。「調布市では、各学校に教育委員会による共通の食物アレルギー対応マニュアルを配布している。マニュアルでは、職層や担当者ごとに、毎月・毎日の対応手順を時系列のフロー図で明示しており、新しく配属された教職員が見てもわかりやすいようにまとめている」と、調布市の教育現場で運用している食物アレルギー対応マニュアルについて言及した。「今後の取り組みとしては、調布市で起こった事故を風化させないことと危機意識のさらなる向上が最重要課題であると考えている。そのために、教育現場での万が一に備えた対策として、各児童ごとに『緊急時個別対応カード』を作成し、緊急対応ファイルにまとめて教室に保管している」と、万が一の緊急時にも迅速に対応できる体制を整備していると強調していた。

 ここで、食物アレルギーを持つ子どもの母であるモデルの長谷川理恵さんをゲストに迎え、佐藤先生と廣瀬学務課長補佐とのトークセッションが行われた。「私の息子は、卵と乳製品のアレルギーを持っているのだが、1歳の頃にヨーグルトを一口食べたところ、咳が出て、顔がパンパンに腫れてしまった。また、卵については、友だちが食べている卵かけご飯をもらって食べた時に、ヨーグルトと同じ症状が出てしまった」と、子どもが食物アレルギーであることに気づいたきっかけを語る。入園・入学時のエピソードを聞くと、「入園の時は、昼食がお弁当だったので、園内でのアレルギーの心配はなかった。放課後に出てくるおやつについても、家から持っていった物を食べられるよう対応してもらった」と、入園はスムーズに行えたとのこと。「小学校では、週3日、学校のお弁当を食べるので、メニュー表を見ながら、卵と乳製品を含まないお弁当を注文するようにしている。入学する際にアレルギー調査票を学校に提出したのだが、幸い症状は軽いほうなので、学校のお弁当を食べることを選択した」と、食物アレルギーであることを学校に伝え、子どもの症状を踏まえて昼食の対応を検討したと話していた。

 「給食が出る学校に通う場合には、アレルギー調査票を提出するだけでは安心できないと思う。担任の先生がしっかり把握しているのか、また、生徒が給食を配る際に万が一のことが起こらないかと心配になる」と、給食での食物アレルギー対応について不安を感じているという長谷川さん。これに対して、廣瀬学務課長補佐は、「学校給食では、除去食提供が基本となっているが、除去しきれないものもあるので、一部はお弁当の持参も取り入れながら対応している。また、給食を提供する際には、アレルギーを持つ児童には最初に配膳したり、トレーや食器の色を変えるなどして、誤食や誤配のないよう工夫している」と、学校給食で行われている具体的な取り組み事例を紹介してくれた。

 万が一、アナフィラキシー症状が出てしまった時に使用する「エピペン」について、佐藤先生は、「適切な医療機関を受診している児童は、『エピペン』の使い方を理解していると思うが、まだすべての児童に行き届いているわけではない。また、ある程度の症状が出ているにもかかわらず、『エピペン』が処方されていない児童も少なくない」と、子どもに対する「エピペン」の啓蒙活動が足りていないと指摘する。すると長谷川さんは、「実は私も、最初は『エピペン』を知らなかった。息子が3歳の頃に、豪州の保育園でヨーグルトを口にしてアレルギー症状が出てしまった。そこで保育園の先生に指摘されて、初めて『エピペン』の存在を知った」と、「エピペン」のことを知るまでにかなりの時間を要してしまったと明かしていた。

 マイランEPDが提供開始したスマートフォンアプリ「マイエピ」を使ってみた感想を聞いてみると、長谷川さんは、「もっと早く『マイエピ』のようなアプリがあればよかったと感じた。食物アレルギーやアナフィラキシーへの対処法について、専門の先生による正しい情報を得ることができる。また、食物アレルギーの子どものためのレシピ集をアプリから見られるのも画期的だと思う」と、実用的なアプリになっていると教えてくれた。廣瀬学務課長補佐は、「食物アレルギーやアナフィラキシー、エピペンに関する情報が網羅されていることに加えて、Q&Aのコンテンツもあるので、教職員にとっても正しい知識を効率的に学ぶことができるツールだと考えている」と、アプリを高く評価していた。アプリを監修した佐藤先生は、「食物アレルギーを持っている人は、『マイエピ』のノート機能を活用してほしい。この機能では、いつ、どんな症状が出たのかなどを写真と一緒に記録できるので、必要な情報を正確に主治医の先生と共有することができる。また、『エピペン』の携帯忘れ防止アラームや『エピペン』の使い方をナビゲーションしてくれる機能も備えている」と、食物アレルギーを持つ人だけでなく、その家族や主治医、教育関係者などまわりの人にも役立つアプリになっているとアピールした。

 最後に長谷川さんは、「私の周りには食物アレルギーを持っている友人やママが多く、アレルギー対応をしてくれるお店の情報や学校での対応、アレルギー症状が出た際の対応について情報交換ができたのでとても心強かった。園や学校全体でも、食物アレルギーへの理解がさらに深まることを願っている」と、食物アレルギーを持つ子どもが安心して学べるようしっかりサポートしていってほしいと訴えた。

マイランEPD=https://www.mylan.co.jp/


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