医療最前線

医師と団塊シニアの会、爪水虫に関するメディアセミナーを開催、約10年ぶりに改訂された皮膚真菌症診療ガイドラインにおける爪水虫の適正治療について解説

2020.02.06 18:36 更新

 特定非営利活動法人医師と団塊シニアの会は、爪水虫(爪白癬)に関するメディアセミナーを2月5日に開催した。今回のセミナーでは、埼玉医科大学総合医療センター 皮膚科診療部長/教授の福田知雄先生を招き、「肌寒い季節でも油断禁物、身近な感染症“爪水虫”」と題し、約10年ぶりに改訂された皮膚真菌症診療ガイドラインから爪水虫(爪白癬)の適正治療について解説した。

 爪水虫は白癬菌を原因とする身近な感染症で、完全治癒に至らずに治療をやめてしまうと再燃・再発を起こし、再び感染を広げる恐れがある疾患。国内の有病者数は推定約1100万人、60歳以上では4人に1人が罹患しており、治療中の患者は約100万人いるといわれている。「爪水虫の感染経路としては、足水虫の白癬菌が爪の先端や側縁から爪の下に侵入し、増殖して起こるケースが多い。足水虫は市販の水虫薬を使って治すことができるが、爪水虫になると市販の水虫薬では治すことはできない」と、福田先生は、足水虫と爪水虫の違いを説明した。

 「爪水虫は、爪の中が白癬菌の蔵元になっており、放っておくと再び足に感染して足水虫を再発させる。また、足だけでなく体に感染したり、家族や他の人に感染を拡大するリスクもある。さらに、爪水虫の症状が悪化すると、QOLの低下や糖尿病性壊疽、高齢者の転倒などにつながる恐れもある」と、爪水虫を治療することの重要性を強調。「春や夏に比べて、空気が乾燥している冬は白癬菌の増殖が止まり、爪水虫の症状も治まってくる。しかし、角質や爪の硬いケラチンの下で白癬菌は残ったままになっている」と、症状が沈静化する冬場は治ったと勘違いして治療を中止してしまう人が多いという。「ここで治療を止めてしまうことが、何度も水虫を繰り返す一番の原因となっている。白癬菌が元気のない冬こそが、爪水虫の治療にベストなタイミングといえる」と、乾燥して寒い冬場も油断せずに、しっかり治療を続けてほしいと訴えた。

 「爪水虫の治療としては、爪表面から薬剤を浸透させて効果を発揮する外用薬と、口から服用して血流から爪の病変部に到達させる経口薬の2つがある。日本では現在、外用薬では『エフィナコナゾール』『ルリコナゾール』、経口薬では『テルビナフィン』『イトラコナゾール』『ホスラブコナゾール』が保険適用されている」と、世界的にも日本は爪水虫治療薬の選択肢が最も多い国なのだという。「そうした中で、昨年、皮膚真菌症診療ガイドラインが約10年ぶりに改訂された。新しいガイドラインでは、診断、治療の総説に加え、Clinical Question(CQ)が設定され、それぞれの質問に対してエビデンスレベルと推奨度が付与された。推奨度の分類は、『A:行うよう強く勧める』、『B:行うよう勧める』、『C1:行ってもよい』、『C2:行わないほうがよい』、『D:行うべきではない』となっている」と、新ガイドラインの改訂ポイントを解説してくれた。

 「爪水虫に関する治療の推奨度を見ると、外用薬は『エフィナコナゾール』『ルリコナゾール』ともに推奨度B、経口薬は『テルビナフィン』『イトラコナゾール』『ホスラブコナゾール』すべて推奨度Aであった」と、新ガイドラインにおける爪水虫のCQと推奨度について紹介。「爪水虫の治療は、爪甲混濁部が消失する臨床的治癒に加えて、直接鏡検で皮膚糸状菌が陰性になる真菌学的治癒を達成する完全治癒がゴールであると考えている。今回の新ガイドラインによって、この完全治癒を達成できる可能性が高いのが経口抗真菌薬であることが示唆された」と、ガイドラインの改訂を踏まえて、爪水虫の完全治癒には経口薬を使った適正治療が重要であるとの考えを示した。

特定非営利活動法人医師と団塊シニアの会=http://dankai-senior.tokyo/


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