医療最前線

グラクソ・スミスクライン、COPD領域におけるデータ・ICT利活用に関するメディアセミナーを開催、地域医療連携とオンライン診療を活用した疾患管理の取り組みについて紹介

2019.10.03 15:54 更新

 グラクソ・スミスクラインは、COPD(慢性閉塞性肺疾患)領域におけるデータ・ICT利活用に関するメディアセミナーを9月30日に開催した。セミナーでは、沖縄県医師会・那覇市医師会理事で那覇西クリニック診療部長の玉城研太朗先生を招き、沖縄でのCOPD早期診断サポートに関する地域医療連携の取り組みと進捗について講演を行った。また、オンライン診療システムを展開しているインテグリティ・ヘルスケアの武藤真祐会長が、「COPD ePRO(患者アウトカム報告)プラットフォーム」の活用と今後の展望について語った。

 セミナーの開催にあたり、グラクソ・スミスクライン ガバメント・アフェアーズ&マーケット・アクセス部門の張家銘氏が挨拶。「COPDは、長年の喫煙習慣が主な原因で、肺に炎症が起こり、息が吐き出しにくくなる生活習慣病である。せき・たん・息切れなどが主な症状で、肺がんや肺炎、動脈硬化、心・血管疾患、糖尿病など合併症・併存症の頻度が高いため、早期診断と適正治療がとくに重要とされている」と、COPDとはどのような病気なのかを説明した。「当社は、日本での喘息やCOPDの治療に40年以上にわたり貢献しており、呼吸器領域における革新的な医薬品を提供してきた。近年では、適切な医薬品を、適切な患者に、適切なタイミングで届けるべく、ICTの活用と産官学の連携を通じたイノベーションの推進に取り組んでいる。具体的には、地域医療連携ネットワークによる早期診断の支援や、遠隔診療による疾患管理の支援などを行い、製品を超えた新たな価値の提供を目指している」と、COPD治療でのイノベーション創出に力を注いでいると訴えた。

 続いて、沖縄県医師会・那覇市医師会理事で那覇西クリニック診療部長の玉城研太朗先生が、「沖縄県における地域医療連携の取り組みとその進捗」と題した講演を行った。「沖縄県は長寿というイメージが強いが、35歳から65歳までの男性の死亡率はすべての年齢でワースト3位以内に入っているのが実状だ。とくに、沖縄県は喫煙率が高く、COPDによる死亡率は全国ワーストとなっている」と、COPDは沖縄県にとって大きな健康課題になっているという。「そこで、COPDの診断率向上を目指して、那覇市医師会とグラクソ・スミスクラインによる共同研究『OCEANE study』をスタートした。具体的には、定期健康診断を受ける40歳以上の被験者を対象に、COPDをスクリーニングする『COPD-Q』および『CAPTURE』質問票への記入と呼吸機能検査を実施。現在、目標症例2500例の組み入れが完了し、解析を行っている」と、COPDに対する地域医療連携の取り組みについて説明した。

 「『OCEANE study』の中間解析結果によると、呼吸機能に関しては、気流閉塞が認められた人(COPDの疑い)は約3%、PRISm(気流閉塞は認められないが、%FEV1が80%未満の人)は約18%であった。質問票との関連性については、気流閉塞・PRISmの割合は、『CAPTURE』質問票高得点群、『COPD-Q』質問票高得点群で高い傾向にあることが示唆された」と、共同研究の進捗状況を発表。「『OCEANE study』を通じて、気流閉塞・PRISmの保有割合を推定し、若年層を含めてCOPDの疾患啓発を支援する。また、保有者の特徴を記述し、呼吸器症状や喫煙歴との関連を探る。そして、簡便な質問票について、COPDのスクリーニング能力を評価し、日常臨床での質問票の活用をサポートしていく」と、「OCEANE study」の結果を踏まえて、地域連携システムを用いたCOPDの二次検診促進および患者への早期介入を目指していく考えを示した。

 次に、インテグリティ・ヘルスケアの武藤真祐会長が、COPD ePROプラットフォームを活用して新たに開始する臨床研究について紹介した。「医療現場では、慢性疾患の自宅での投薬状況の把握が難しいことや、物理的・時間的な通院困難者の増加、医師の偏在・高齢化といった課題を抱えている。当社では、ICTを活用することで、こうした課題を解決するべく、2015年からオンライン疾患管理システム『YaDoc』の開発・普及に取り組んでいる」と、医療現場の課題解決のためにICT活用を推進しているという。「『YaDoc』は、診療に必要な患者情報をアプリ上で集積し、医師・看護師・薬剤師に提供することで、個々の患者により適した治療をオンラインでサポートするシステム。『モニタリング』『生活記録』『問診』『診察』の4つの機能を備えており、患者自身が症状を記録することで、疾患を早期に発見し、重症化の予防につなげることができる。現在、全国で約2000の医療機関に導入され、登録患者数は8万人弱となっている」と、「YaDoc」の導入施設は着実に広がりつつあると話していた。

 「また、『YaDoc』をCOPDのePROプラットフォームとして応用する取り組みも進めており、COPD患者にCAT(オンライン問診)を提供し、自宅や待合室で短時間で状態を確認できるシステムを呼吸器内科医に導入推進している。そして、このePROプラットフォームのさらなる活用促進を目指し、グラクソ・スミスクラインと共同で、COPD患者100例を対象とした新たな臨床研究を開始する」と、「YaDoc」を応用したCOPD ePROプラットフォームによる臨床研究に着手するとのこと。「臨床研究では、オンライン診療も含めた日常診断において1年間観察し、『高齢の患者であってもデータを適切かつ継続的に入力できるか』、『医師と患者が、臨床現場におけるコミュニケーションツールとして効果的であると判断したか』、『症状のモニタリングが適切な治療介入に結び付いたか』を明らかにする」と、臨床研究の目的について言及。「今回の臨床研究を通じて、オンライン診療のエビデンスを確立すると共に、蓄積された医療データを基にした新たな価値創出を目指していく。今後、オンライン診療の普及によって疾患管理が広く浸透することで、医学的解明が進み、将来的には、患者個人に適した医療を選択できる社会になると期待している」と、データ・ICT利活用による医療のさらなる発展に期待を寄せた。

グラクソ・スミスクライン=https://jp.gsk.com/


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