医療最前線

アンジェスと田辺三菱製薬、世界初のHGF遺伝子治療用製品「コラテジェン」を発売、外科的治療が難しい重症虚血肢の新たな治療選択肢に

2019.09.11 10:21 更新

 アンジェスと田辺三菱製薬は、重症虚血肢を対象としたHGF遺伝子治療用製品「コラテジェン筋注用4㎎」(一般名:ベペルミノゲン ペルプラスミド、以下「コラテジェン」)が9月4日に薬価基準収載されたことを受け、9月10日から新発売する。発売に先立ち、9月9日に行われた発表会では、「コラテジェン」の開発背景や製品概要、今後の取り組みについて説明した。

 「当社は、大阪大学発のバイオベンチャーであり、今回、自社開発製品の第1号として国産初の遺伝子治療用製品『コラテジェン』を発売する」と、アンジェスの山田英社長が挨拶。「『コラテジェン』は、日本で発見されたHGF(ヒト肝細胞増殖因子)を使用した世界初の遺伝子治療用製品であるとともに、HGFによる血管新生作用を持つ遺伝子治療用製品としても世界初となる」と、革新的な遺伝子治療用製品なのだと強調した。「近年、糖尿病の合併症として、重度の末梢性血管疾患である重症虚血肢を発症するケースが増えているが、カテーテルやバイパス手術など外科的治療が困難な患者に対しては有効な治療手段が確立されていなかった。『コラテジェン』は、血管新生作用により重症虚血肢の症状を改善できる治療薬として、非常に意義のある製品であると考えている」と、重症虚血肢における新たな治療選択肢になると訴えた。「今後は、国内だけでなく、市場規模の大きい米国、欧州、アジア地域での承認取得を目指して、さらに取り組みを進めていく」と、グローバル展開にも意欲を見せていた。

 続いて、HGF遺伝子治療法を発明した大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学 教授の森下竜一先生が、重症虚血肢の病態および「コラテジェン」の製品概要について説明した。「重症虚血肢は、閉塞性動脈硬化症やバージャー病などの慢性動脈閉塞症が重症化した疾患となる。下肢の動脈硬化によって血管が詰まると、冷感・しびれ、間欠性跛行と進行し、重症化すると安静時疼痛や潰瘍・壊死を引き起こし、下肢切断に至るケースもある」と、足の切断を余儀なくされる重篤な血管疾患なのだという。「重症虚血肢の治療は、カテーテルでバルーンを入れるPTA(経皮的血管形成術)やバイパス手術が基本となる。しかし、これらの外科的治療が適用できない患者も少なくなかった。そこで、着目したのがHGFを使った遺伝子治療である。血管が詰まっている部位周辺の骨格筋細胞にHGF遺伝子を導入することで、細胞内で転写・翻訳されてHGFが局所で産生・分泌する。このHGFの血管新生作用によって、虚血部位の血管数と局所血流量が増加し、虚血状態を改善することが可能になる」と、HGF遺伝子治療薬の作用機序について解説した。

 「アンジェスから新発売されるHGF遺伝子治療用製品『コラテジェン』は、通常、成人には、投与対象肢の虚血部位に対して1ヵ所あたり0.5㎎を8ヵ所に4週間間隔で2回筋肉内投与する。効果が出ない場合には、2回目投与の4週後に3回目の投与を行う。足に注射をするだけのシンプルな治療なので、外来でも行うことができ、従来の外科的治療が難しい高齢者にも対応することができる」と、「コラテジェン」の用法と用量について紹介。「今回、アンジェスでは、重症虚血肢を対象として製造販売承認を取得したが、今後は、慢性動脈閉塞症の安静時疼痛の改善についても適応拡大の臨床試験などを実施する計画であり、患者の治療メリットやQOLの向上が期待される」と、「コラテジェン」のさらなる適応拡大に期待を寄せた。

 田辺三菱製薬の三津家正之社長は、「コラテジェン」の条件および期限付製造販売承認に関して、今後の取り組みについて説明した。「『コラテジェン』は、慢性動脈閉塞症の潰瘍の改善を効能、効果または性能として、条件および期限付きで製造販売承認を取得した遺伝子治療用製品となる。製造販売後承認条件評価を期限の5年以内に実施し、本承認を取得することが課されている」とのこと。「当社では、本承認に向けて、アンジェスと共に、製造販売後承認条件評価として使用成績比較調査を実施していく。具体的には、今後5年間で、製品投与患者120例とプラセボ患者80例、計200例の比較調査試験を行う。まず3年間で対象となる患者を集め、製品投与後12週のデータを中心に比較調査していく予定だ。日本では、条件付製造販売承認から本承認を取得したケースはまだないが、『コラテジェン』をその第1号製品としたい」と、本承認取得に向けて200例の比較調査試験を実施する計画を発表した。

アンジェス=https://www.anges.co.jp/
田辺三菱製薬=https://www.mt-pharma.co.jp/


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