医療最前線

大阪大学発のバイオベンチャー「アンジェス」のHGF遺伝子治療薬、薬価収載を受けさらなる適応拡大に期待

2019.08.28 18:09 更新

 アンジェスは、重症虚血肢を対象としたHGF遺伝子治療用製品「コラテジェン筋注用4㎎」について、8月28日開催の中央社会保険医療協議会において薬価基準収載が了承されたと発表した。

 このHGF遺伝子治療用製品は、大阪大学の森下竜一教授らの研究チームが発明したHGF(肝細胞増殖因子)の遺伝子を投与することで血管を新しく増やす治療法をもとに開発が進められ、今年3月に、重症虚血肢を対象として国内で初めての製造販売承認を取得した遺伝子治療薬だ。

 重症虚血肢とは、安静時でも疼痛を感じる重度の末梢性血管疾患である。血管が閉塞することによって血流が止まり、下肢切断を余儀なくされることもある重篤な疾患となっている。これまで薬物療法が効かず、カテーテルや手術の適用が困難な患者については、有効な治療手段がなかったが、このHGF遺伝子治療薬を血管が詰まっている部位周辺に注射投与することによって、血管を新生できるという。

 アンジェスの山田英社長は、今回の薬価が収載されたことについて、「HGF遺伝子治療用製品は、当社が設立以来手がけてきた主力のプロジェクトで、かつ、既存の方法では治療が困難な患者に貢献するものであり、大変嬉しく思う。今後は、慢性動脈閉塞症の安静時疼痛の改善などについての適応拡大を目指し、臨床試験などを実施していきたい」と語った。また、海外においても「市場規模の大きい米国では、FDA(食品医薬品局)からファストトラック(優先承認審査制度)指定を受けており、できるだけ早期に患者に貢献していくことを目指したい」と抱負を述べた。

 また、HGF遺伝子治療法を発明した大阪大学の森下竜一教授は、「このHGF遺伝子治療用製品は、通常、成人には投与対象肢の虚血部位に対して、1ヵ所あたり0.5㎎を8ヵ所に4週間間隔で2回筋肉内投与を行う。また、臨床症状が残っている場合には、2回目投与の4週後に3回目の投与を行うこともできる」と、製品の用法について説明。「今回の薬価収載では、1回あたり60万360円の薬価で了承された。3回程度で180万としても、従来の血管内治療やバイパス手術、足の切断にかかる費用に比べて価格は安く、何より患者のQOLに大きく貢献できる治療法である」と語った。「研究レベルでは、慢性動脈閉塞症の潰瘍だけでなく、糖尿病性潰瘍や褥瘡、自己免疫疾患による潰瘍などの難治性潰瘍に対しても効果があることがわかっており、治療薬のさらなる適応拡大に期待している」と、HGF遺伝子治療用製品の適応範囲がさらに広がっていくことに期待を寄せた。

 重症虚血肢の潜在患者数は、米国だけで推定50万人。重症でない患者はさらに多いと推定される。日米での販売については、すでに田辺三菱製薬と独占的販売契約を締結しており、日本発の遺伝子治療薬の動向が注目される。

 なお、アンジェスは、この重症虚血肢を対象としたHGF遺伝子治療用製品のほか、椎間板性腰痛症を対象とした核酸医薬(NF-κB デコイオリゴ)、高血圧DNAワクチンの開発を進めており、これらの開発についても期待がかかる。

アンジェス=https://www.anges.co.jp/


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