医療最前線

ブレス・ハザードプロジェクト、「口臭白書2019」において中高年男性よりも若年女性の方が口臭が強いことが明らかに、歯科医・歯科衛生士のプロケアの定期受診で病的口臭を予防

2019.05.31 19:21 更新

 ブレス・ハザードプロジェクト、総合歯科医療商社であるモリタ、生体ガス測定システムのパイオニア企業タイヨウは、口腔トラブルの中でも大きなイシューの一つである「口臭ケア」啓発の一環として、全国47都道府県・4700名を対象とした実態調査を行い、日本人の口臭の実態、各都道府県別の傾向などをまとめた「口臭白書2019」を編纂した。5月29日には、歯と口の健康習慣(6月4日~10日)を前にセミナーを開催。口臭実態調査の結果解説を行った他、日本歯周病学会 理事・専門医・指導医の若林健史先生が予防歯科受診の意義について説明した。

 「ブレス・ハザードプロジェクトは、口腔ケアの中でもとくに大きなイシューの一つである口臭について、歯科医・歯科衛生士、および歯科業界各社が連携し、様々な情報を発信するプロジェクトとして発足。定期的な歯科受診と専門家のカウンセリングに基づく適切な口腔ケアを推奨している」と、同プロジェクトについて若林先生が紹介。「人々を悩ませる口臭、そしてその原因となる口腔内の疾患リスクなどを、“ブレス・ハザード”と銘打ち、そのケアに関する正しい知識の啓発を通じて、国民一人ひとりの健康でさわやかな口腔環境に貢献することを目指す」と、同プロジェクトが取り組んでいく内容について説明した。

 そして、モリタの道廣香奈歯科衛生士が、「口臭白書2019」調査結果について発表した。「人々の口臭に対するケアの意識や口臭レベルの実態について体系的に調査・整理することで、日本人の口臭ケアにおける現状や課題を明らかにするべく調査を行った」と、調査の意義について解説。「生活者の意識を知る調査においては、9割が口臭を気にしているものの、口臭は自分でケアするものと考えており。歯科医や歯科衛生士の診断や指導を得る意識は低いことが明らかとなった」と、口臭に悩みながらもプロケアを受診する意識は低いとのこと。「また、7割が口臭に悩まされながら働いており、女性の半数がパートナーの口臭に悩んでいることもわかった」と、会議とデートの場面で口臭に悩まされていることが浮き彫りとなった。

 「これに対し、生活者の実態を知る調査では、タイヨウの口臭測定器『B/Bチェッカー mBA-22』を用いて調査を行った。この機器は、ガス検出プローブを口腔内に直接挿入し、呼気ガスとは区別し口腔内ガスのみを抽出、臭いレベルを100段階で測定した」と、人々の口臭を測定器を用いて調査したのだという。「その結果、基準値をオーバーした人数は女性が2倍以上で、とくに40代以上の中高齢層は4人に1人が基準値をオーバーしていた」と、口臭レベルが深刻なのは男性よりも女性であることがわかったとのこと。「周囲に臭いを発し始める30以上も含めると、女性の約6割は口臭予備軍である」と、女性の口臭レベルは非常に深刻であることが裏付けられた。「また、歯磨き回数が多い人の方が口臭測定平均値は高く、セルフケアの頻度を上げるだけでは口臭改善に寄与しないこともわかった」と、歯磨きを何度もしているからといって口臭レベルが安全とは限らないと指摘する。「口臭は、パートナーとの良好な関係づくりにも寄与している可能性が高い」と、口臭ケアをおろそかにすると、夫婦・恋人との関係が悪化してしまう可能性も示唆していた。

 では、口臭を改善するにはどのようにすればよいのだろうか。若林先生が、「口臭の原因と効果的な対策」について解説した。「口臭は、気にする人が多い一方、順応反応が起こりやすいため、無自覚な人も多い」と、人々に不安を与える一方で、強い口臭を持つ人を無自覚にしてしまうのが順応反応なのだと説明する。「口臭の種類は、生理的口臭、病的口臭、外因的口臭、心因的口臭に分けられる。とくに、病的口臭に気を付ける必要があり、主な原因は、虫歯や歯周病、歯垢、歯石、舌苔とされている」と、口腔内トラブルによる口臭が厄介なのだと力説する。「口の中にいる嫌気性菌が食べかす、粘膜細胞などのたんぱく質を分解することで、揮発性硫黄化合物が発生する」と、口の中の臭いの元について言及。「舌苔は揮発性硫黄化合物の硫化水素を作るため、舌の表面に付着した汚れを清掃する必要がある」と、正常な舌に戻すためには、表面の汚れをこそぎ落とす必要があるのだと述べていた。

 「歯周病は、歯垢や歯石が原因で歯肉に炎症を起こし、歯槽骨を溶かす病気。ほとんど痛みがないまま進行し、揮発性硫黄化合物のメチルメルカプタンが発生し、これが臭いの元となっている」と、歯周病による口臭のメカニズムについて解説。「歯を失う原因の41.8%は歯周病とされていることから、ケアすることが口の健康につながる」と、歯周病から歯を守る必要があるのだと力説していた。「また、女性には歯周病リスクが3度訪れるといわれている。まず思春期は、ホルモンバランスが変化しやすい時期で、月経のたびに歯茎が腫れやすくなる。続いて、妊娠・出産期は、女性ホルモンが細菌の一種の発育を促進し、出血を起こしやすくする。そして、更年期は、症状の一つとしてホルモンのバランスが崩れ、歯周組織が変化し、歯周病症状が悪化する恐れがある」と、思春期、妊娠・出産期、更年期は歯周病リスクが高まると教えてくれた。

 「対策としては、食べかすや歯垢などの汚れをしっかり落とすことが大切となる。そのためには、歯ブラシの他、歯間ブラシやデンタルフロスの活用も行ってほしい」とのこと。「舌を清掃して舌苔を除去することも口臭対策になる」と、舌もしっかりケアすることが大切だと語っていた。「デンタルリンス、マウスウォッシュで口臭原因を洗浄・除去するほか、3ヵ月に1回程度を目標にして歯科医院へ通院し、歯のメンテナンスやカウンセリング、ケア方法の指導を受けることが最も重要だ」と、プロケアによる口臭対策を実践してほしいという。「欧米諸国に比べて、日本のプロケアに関する意識は低く、57.5%が直近1年間では検診を受けていないと回答した」と、健康保険制度で安価な費用で歯科治療を受けられることから、予防意識が低いのだと指摘していた。「歯周病は、口臭だけでなく、全身疾患との関わりも深いとされている。また、歯周病の治療は血管を若返らせるともいわれている。それだけに、歯周病の改善を図る意味でも、歯科医の受診をお勧めしている」と、口臭の原因である歯周病を根絶するためにも、プロケアが非常に大切なのだと教えてくれた。「もちろん、プロケアだけ行うのではなく、セルフケアとの両輪で、対策を講じることが重要だ」と、口臭予防をきっかけに、歯科医院に定期的に通院し、口腔の健康を獲得・維持し健康寿命を延ばしてほしいと語っていた。

ブレス・ハザードプロジェクト=https://www.gogohaisha.com/breathhazard/


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