医療最前線

米国KCI社とAcelity社、腹部開放創用ドレッシングキット「ABTHERAドレッシングキット」を日本で販売開始、デメトリオス・デメトリアデス先生に製品の特長や治療メリットを聞く

2019.02.25 19:18 更新

 米国KCI社とAcelity社は、2月1日から、日本において腹部開放創用ドレッシングキット「ABTHERAドレッシングキット」の販売を開始したことを発表した。「ABTHERAドレッシングキット」は、一時的な閉腹システムで、一次閉鎖が不可能な場合や、腹腔内へ繰り返しの介入が必要とされる場合に、患部を一時的に閉鎖し、次の開腹術を安全な状態で行うことが可能になるという。今回、同製品の特長やメリット、日本での期待について、米国南カリフォルニア大学(USC)ケック医学校教授(外科手術)および同校の外傷・外科集中治療の責任者であるデメトリオス・デメトリアデス先生に聞いた。

 「『ABTHERAドレッシングキット』は、腹部を一時的に閉鎖する際に、優れた陰圧が適用できる治療システムとなっている。主に、外傷による腹部出血や腹部コンパートメント症候群、重篤な腹膜炎など、複雑な腹部病変の患部に用いられる」と、デメトリアデス先生が「ABTHERAドレッシングキット」の概要について説明。「従来まで、一時的な閉腹を行う際は、手術室にある器具を使ってホームメイドで行うのが一般的だった。これに対して『ABTHERAドレッシングキット』は、一時的閉腹のために開発された専用の治療システムであり、内部における張力を高めることで、筋膜の陥没や術部の破損を防ぐことができる。また、分泌物を除去して浮腫の発生を抑制する他、腹部の内臓を外部から保護することが可能だ。さらに、腹部の内臓を保護しながら、腹壁および内臓を分離。患部を縫合せずに、再挿入が素早く行えるようになる」と、安全かつ迅速に一時的な閉腹を実現する様々な機能を備えていると教えてくれた。

 「ABTHERAドレッシングキット」は、米国では約10年前からすでに治療に使われており、数多くの臨床結果によってその機能の優位性が裏付けられているという。例えば、Barker式Vacuum pack法(以下、BVPT)との比較では、患者の生存率の向上、一次筋膜閉鎖の改善、集中治療室での治療の減少につながることが示唆された。また、168名(ABTHERA療法が111名、BVPTは57名)の患者に対して実施された非盲検観察研究の結果によると、BVPTと比較して、「ABTHERAドレッシングキット」を使用したより多くの患者が一次筋膜閉鎖を受けることができており、あらゆる原因による30日以内の死亡が減少したことも確認されているとのこと。

 「私は、『ABTHERAドレッシングキット』が開発された当初から、その洗練されたソリューションに注目していたが、まだ確かなエビデンスがない状態だった。そこで、多くの大学病院が参加した米国の大規模治験において責任者を務め、『ABTHERAドレッシングキット』を使った治療を実践してきた」と、早い段階から「ABTHERAドレッシングキット」の臨床試験に携わってきたというデメトリアデス先生。「様々な治験を通じて、『ABTHERAドレッシングキット』を使用することで、患者の生存率や腹部の閉鎖率、合併症の発現率が統計学上の優位さをもって改善されることが示された。例えば、米国の治験では、従来の治療法に比べて、患者の生存率が4倍に高まった。また、カナダの治験では、従来の治療法では約50%であった死亡率が、『ABTHERAドレッシングキット』では約21%に抑えることができた」と、「ABTHERAドレッシングキット」による治療メリットを訴えた。

 今回、日本での販売が開始されることについて、デメトリアデス先生は、「講演などを通じて、日本の外科医に向けて『ABTHERAドレッシングキット』を紹介しているが、多くの医師が高い関心を示している。とくに、一度でも『ABTHERAドレッシングキット』での治療を経験した医師は、その優れた機能性に感銘を受けて、すぐにでも導入したいという声も上がってきている。また、欧米人に比べて、日本人は体格が小さいので、日本の医師にとって『ABTHERAドレッシングキット』はさらに扱いやすいものになると考えている。近い将来、日本でも多くの病院に導入が拡大していくと確信している」と、複雑な腹部病変の治療に革命を起こした「ABTHERAドレッシングキット」の日本での普及に期待を寄せていた。

ケーシーアイ=https://www.kcij.com/


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