医療最前線

「世界乾癬デー」に向けたメディアイベントを開催、モデルの道端アンジェリカさんが乾癬患者によるファッションショーを演出

2018.10.26 13:13 更新

 日本乾癬患者連合会、日本乾癬学会と製薬企業9社(アッヴィ合同会社、エーザイ、協和発酵キリン、田辺三菱、鳥居薬品、日本イーライリリー、ノバルティスファーマ、マルホ、ヤンセンファーマ)は、「世界乾癬デー」(10月29日)に向けたメディアイベントを10月24日に開催した。今回のイベントでは、「乾癬患者への支援について」をテーマとしたパネルディスカッションを行った他、自らも乾癬患者であるモデルの道端アンジェリカさんをゲストに迎え、道端さんが演出を手掛けたファッションショーを実施。日本乾癬患者連合会の協力のもと、有志の乾癬患者がモデルとなってランウェイを披露した。

 乾癬は、慢性炎症性の非伝染性疾患で、国内の乾癬患者数は43万人と推計され、長引く症状や疾患・症状に対する周囲の誤解に悩まされている患者が少なくないという。また、症状による苦痛だけでなく、外見上の悩みなど精神的ストレスから、外出を控えたり、うつ症状や引きこもりへとつながってしまうケースも見られ、課題となっている。そこで、今年の「世界乾癬デー」メディアイベントでは、患者の精神的なストレスや悩みと周囲の支援の仕方などにフォーカスし、日本乾癬学会評議員で東京逓信病院皮膚科部長の江藤隆史先生と、自身も乾癬患者である日本乾癬患者連合会の柴崎弘之事務局長、日本乾癬患者連合会副会長で群馬乾癬友の会~からっ風の会~の角田洋子会長によるパネルディスカッションを行った。

 江藤先生は、日本における乾癬の認知状況について、「乾癬は、その病名から“感染する病気”であるという誤った認識をしている人が多く、患者との接触に心理的障害を感じている人も少なくない。実際に、乾癬患者が温泉に行ったときに、入浴を断られたというケースもある」と、病気への偏見や誤理解が患者の大きな精神的ストレスになっていると指摘する。「また、日本では患者自身も乾癬に対する理解度が低く、世界に比べて『クリアな肌を取り戻せる』と思っている患者が少ない。しかし現在は、治療の選択肢が広がっており、症状を抑えて『クリアな肌』にできる生物学的製剤も出てきている。医療側も、こうした情報をしっかり患者に伝えていく必要があると感じている」と、患者と医師とのコミュニケーションをさらに深めて、より早い段階で最適な治療へのアクセスを提供していくことが重要であると述べた。

 角田会長は、「私が乾癬と診断されたとき、医師から『一生治らない病気』だと聞かされ、そこで思考が停止してしまった。家族や友人にも相談できず、病気への正しい理解もないまま、いろいろな治療を行ったが、思うようにいかず、途中であきらめかけたこともあった」と、医師の一言が精神的ストレスとなり、その後の治療にも大きな影響を与えてしまったと語る。「症状が出ているときは、長袖、長ズボンで、帽子をかぶったりと、症状を隠すのに必死だった。周りでオシャレをしている人を見ると、すごくうらやましくて、オシャレができない自分を情けなく思うこともあった」と、病気の悩みを一人で抱えてしまったのだという。「そうした中で、『乾癬の症状はよくなる』と教えてくれた医師と出会い、患者会にも参加して、ようやく病気のことを正しく理解することができた。そして、適切な治療に取り組み、10年前に寛解まで至ることができた」と、患者自身が治療・情報・仲間の3つと積極的につながることで、乾癬とポジティブに向きあえるようになると訴えた。

 柴崎事務局長は、「患者会に駆け込んでくる患者の中には、医療機関での治療を受けずに、インターネットの情報をもとに民間療法などを試して、症状をさらに悪化させてしまったケースもある。現在、全国22ヵ所で患者会が活動しているので、乾癬について悩みを抱えている人は、勉強会や交流会に参加して、病気や治療法への理解を深めてほしい」と、患者会では、乾癬という病気を正しく理解し、治療に取り組むための支援を行っていると説明する。「乾癬は、まだまだ認知度が低く、感染する病気だと誤解されやすいのが実状だ。それだけに、周りの人に病気のことを言えず、精神的ストレスに苦しんでいる患者も多いと感じている。患者会では、情報提供だけでなく、患者の精神的な支えにもなっていくので、ぜひ多くの人に活用してほしい」と、乾癬患者の精神面もサポートしていると教えてくれた。

 江藤先生は、「患者会に参加するのは、患者にとってとても有効だと思っている。医師のいうことを聞いてくれない患者でも、交流会などで、同じ境遇にある患者から失敗談や成功事例を聞いたことをきっかけに、治療に取り組む姿勢が変わってくることもある」と、医療機関と患者会がチームワークを組んで患者をサポートしていく必要があると強調。「医療機関としては、患者と医師の面談時間は限られているので、患者と接する機会が多い看護師のスキルを高めていくことも重要だ。そして、看護師からの情報を生かすことで、患者一人ひとりに最適な治療方針を立てることができると考えている」と、医師と看護師の情報連携を強化していくことも大切であると話していた。

 パネルディスカッションの後には、昨年、乾癬患者であることを告白したモデルの道端アンジェリカさんが登壇。「乾癬を公表した反響がすごく大きくて驚いた。その中で、自分よりも苦しんでいる人や悩んでいる人がたくさんいることもわかったので、今は自分の経験を生かしてサポート側に回ろうと思っている」と、公表したことをきっかけに乾癬への向きあい方が変わったという。そんな道端さんには、今回、乾癬患者をモデルとしたファッションショーを演出してもらった。「乾癬の症状や悩みは人それぞれで、日によってコンディションも変わってくるので、コーディネートするのは難しかったが、シチュエーションを考えながらまとめるようにした。とくに、乾癬の症状が出やすい部分をさりげなく隠したり、症状がある部分に目線がいかないように工夫しながら、トレンドを取り入れたファッションにした」と、乾癬患者のファッションコーディネートのポイントを教えてくれた。

 そして、有志の乾癬患者モデルとして、山下織江さん、岩崎冬華さん、久慈唯華さんと、角田会長、柴崎事務局長の5名が颯爽とランウェイに登場。今までなかなか着る機会がなかったオシャレなファッションに身を包み、弾ける笑顔でモデルさながらのウォーキングを披露してくれた。

日本乾癬患者連合会=http://jpa1029.com/uts/index.html
日本乾癬学会=http://jspr.umin.jp/


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