医療最前線

グラクソ・スミスクライン、保健医療分野におけるデジタル活用に関するメディアセミナーを開催、データ駆動型社会に向けて次世代のヘルスケア・システムが必要に

2018.09.27 19:21 更新

 グラクソ・スミスクライン(以下、GSK)は、医療におけるデジタル活用に関するメディアセミナーを9月26日に開催した。今回のセミナーでは、慶應義塾大学医学部 医療政策・管理学教室教授の宮田裕章先生を招き、日本の医療課題に対するデータ・ICT利活用の展望について、今年6月に閣議決定された「未来投資戦略2018」にある「データ駆動型社会」を見据えて講演してもらった。また、2020年には世界の死亡原因の3位になるといわれているCOPD(慢性閉塞性肺疾患)領域におけるGSKの取り組みについて紹介した。

 「現在、日本の医療環境は、超高齢化、経済成長の鈍化に加え、人口減少という課題に直面し、非常に厳しい状況にある。一方で、超高齢社会の初期段階は、公的私的に多くの資源が医療福祉分野に投入されることから、新たな成長に向かうチャンスでもあると考えている。しかし、この成長のためには、数十年先の社会と経済の変化を見据えた保健医療のパラダイムシフトが必要であり、そのカギを握っているのがICTの利活用になる」と、宮田先生は、日本の医療課題の解決にICTが重要な役割を担うと指摘する。「今年6月に閣議決定された『未来投資戦略2018』では、『Society 5.0』『データ駆動型社会』への変革がテーマに掲げられ、その中で、変革をけん引するフラッグシッププロジェクトとして、『次世代ヘルスケア・システムの構築プロジェクト』が挙げられている」と、政府が提唱するデータ駆動型社会の実現に向けて、新たなヘルスケア・システムが求められていると訴えた。

 「日本が目指すデータ駆動型社会におけるヘルスケア・システムは、『Value co-creation』の考え方が重要であり、あらゆる立場の人々が、誰も取り残されず、その人らしく生きられる社会を実現するものでなくてはならない。そのための新たな情報基盤として、人々を軸にあらゆる医療情報をオープンに活用する『PeOPLe(Person centered Open PLatform for wellbeing)』の構築が検討されている」と、保健医療分野における次世代ICT基盤について紹介。「とくに、これからのヘルスケア・システムには、病気になる手前から人々をサポートしていく仕組みが必要になる。例えば、AIやIoTなどを活用した新しい測定器機やスマホとの連携によって病気の兆候を発見し、サポートする。また、その人の趣味やライフスタイルと連動させながら、身体活動の継続や社会とつながりを持つことをサポートする。こうした『Value co-creation』の取り組みを通じて、ヘルスケアに新しい価値をもたらすことができると考えている」と、産官学が連携することで、予防医療につながる新時代のヘルスケア・システムを共創していくことができると話していた。

 続いて、GSK 開発本部の張家銘氏が、COPD領域におけるデータおよびデジタル活用の事例について紹介した。「COPDは、長年の喫煙習慣が原因で、肺に炎症が起こり、息が吐き出しにくくなる肺疾患。せき・たん・息切れなどが主な症状で、進行するにつれて、日常生活が困難になって社会生活が制限される。そのため、早期診断と適正治療が重要とされている」と、COPDとはどのような病気なのかを解説。「しかし、9割以上のCOPD患者は適切な診断・治療を行っていないのが実状だ。そこで、当社では、COPDスクリーニング票と地域医療連携ネットワークを活用した『COPD早期診断支援システム』の確立に向けて取り組んでいる」と、より効果的・効率的にCOPDを早期診断できるシステムの構築を目指しているという。「また、COPD患者の約8割は、増悪や症状の変化を正しく医師に伝えられていない現実もある。この課題に対しては、COPDアセスメントテストとオンライン問診を活用した『COPD管理支援システム』の構築を進めている。これによって、医師が遠隔から患者の状態と変化を把握し、それぞれの症状やリスクに合わせて、適正な治療を行うことが可能になる」と、COPD患者が病院に行かなくても、オンラインで適正治療が受けられるようにしていくと話していた。

グラクソ・スミスクライン=https://jp.gsk.com/


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