医療最前線

転移性脳腫瘍に対するガンマナイフ治療の有用性とは、患者の治療負荷を軽減しQOLの改善も

2018.03.30 12:00 更新

 がん患者の10人に1人が発病するといわれている転移性脳腫瘍。進行すると、命に重大な危険が生じるだけでなく、神経症状や痙攣発作などにより患者のQOLに大きな影響を及ぼすこととなる。患者の生命予後とQOLの改善のためにも、転移性脳腫瘍の治療は必要不可欠であり、その効果的な治療法として注目されているのが、定位放射線治療機器の「ガンマナイフ」だ。そこで今回、NTT東日本関東病院 ガンマナイフセンター センター長で、日本ガンマナイフ学会副理事である赤羽敦也先生に、ガンマナイフ治療の概要や転移性脳腫瘍に対するガンマナイフ治療の有用性について解説してもらった。

 転移性脳腫瘍は、がんに罹患した患者の約10%に生じると言われている。赤羽先生によると、「とくに、肺がんの患者は脳転移をきたしやすい。転移性脳腫瘍の神経症状は、転移の大きさや局在によって様々で、脳幹や錐体路近傍では、たとえ小さな脳転移であっても重篤な神経症状が現れることがある。転移性脳腫瘍が大きくなると、周囲に脳のむくみが生じ、頭蓋内の圧力が高くなり、痙攣発作を起こすなどして生命予後に直結してくる。生命予後の改善のためには、転移性脳腫瘍の治療が必要となる。また、治療によって転移性脳腫瘍に起因する神経症状を改善・予防することは、患者の残された人生のQOLを維持することにもつながる」と、転移性脳腫瘍を治療する重要性を述べた。

 現在、転移性脳腫瘍に対する治療の選択肢としては、開頭手術、放射線治療、化学療法があり、放射線治療には全脳照射と定位照射がある。その中で、「ガンマナイフは、定位放射線治療を行うための機器で、病巣部に集中的に照射することで、他の治療装置に比べて病巣周囲の正常脳組織への照射量が非常に少なくてすむというメリットがある」と、ガンマナイフは、転移性脳腫瘍をピンポイントで治療することができ、患者への負担が少ない治療法であることを紹介。さらに、ガンマナイフによるメリットとして、「全脳照射と比較して短期間での治療が可能で、通常は2泊3日で行われる。再発した場合にも、複数回照射することができる」ことを挙げた。

 また、赤羽先生が所属するNTT東日本関東病院では、症候性脳転移の患者に対しては、状況が許す限り神経症状を改善させた状態まで戻すことを基本コンセプトにしており、ガンマナイフ治療だけでなく、リハビリテーションにも力を入れているという。「患者のパフォーマンスステータスが改善することで、全身化学療法などの積極的治療も可能となる。そして、患者自身のモチベーション向上にもつながる」と、治療後のフォローの重要性を説いた。

 NTT東日本関東病院では、今後の計画として、今年5月から、ガンマナイフの最新機種「ICON」を稼働する予定だ。「現在のガンマナイフでは、治療の際に金属フレームとピンにより頭部を固定する必要がある。『ICON』では、ガンマナイフの優れた線量特性はそのままに、マスクシステムを導入することで、頭部をフレームで固定する必要がなくなった。これによって、1回照射だけでなく分割照射による治療も簡単に行えるようになる」と、最新のガンマナイフを導入することで、患者の状態に合わせたより柔軟な治療が可能になると期待を寄せた。

NTT東日本関東病院=https://www.ntt-east.co.jp/kmc/


このページの先頭へ