医療最前線

日本産科婦人科学会とリクルートマーケティングパートナーズ、アプリ版「Baby+」を開発、「妊娠出産に関する情報の意識調査」の結果から情報過多や情報の質に関する課題を指摘

2018.02.13 19:43 更新

 日本産科婦人科学会とリクルートマーケティングパートナーズは2月12日、妊産婦に寄り添い、安心安全な出産・育児ができる社会を目指すためのアプリ「Baby+」を開発、4月から本格展開することを発表した。また、日本産科婦人科学会協力のもと、リクルートマーケティングパートナーズが実施した「妊娠出産に関する情報の意識調査」では、情報過多や情報の質に関する課題を指摘した。同日に行われた発表会では、調査の結果報告や日々多くの妊産婦と接している産科医およびゼクシィBaby編集長を招いたパネルディスカッションを通じて、現代における妊産婦を取り巻く“情報環境”に対する課題を説明した。

 「日本は世界で最も安全にお産が可能な国として知られている。しかし、我が国の晩婚化にともない、高齢出産の割合も増えてきた。高齢出産によってリスクは高まるだけに、妊婦はその心配を払拭するべく、様々な情報を入手しようとする。ただし、情報量が多すぎて、的確な情報を取捨選択できなくなっている」と、日本産科婦人科学会 理事長の藤井知行先生が挨拶。「こうした課題を改善するべく、当学会では、リクルートマーケティングパートナーズの協力のもと、妊婦のための情報冊子『Baby+』を作成し、医院などで配布している」と、正確で役に立つ情報をまとめた冊子を製作したのだという。「さらに『Baby+』を多くの人に活用してもらうべく、新たにアプリ版を開発する。ぜひ期待してほしい」と、妊娠・出産についての情報をまとめた「Baby+」の新たなツールについてアピールした。

 次に、産科医・妊産婦の「妊娠出産に関する情報」の意識調査結果をリクルートマーケティングパートナーズ ゼクシィBaby 妊婦のための本 尾花晶編集長が発表した。「今回の調査結果では、産科医、現在妊娠中の女性、産後半年以内の女性を調査対象とした。有効回答数は、産科医が128名、妊産婦は600名で、うち妊娠中は300名、産後半年以内は300名だった。調査は、産科医が2017年12月9日~12月29日で、妊産婦が2017年12月15日~12月17日の期間に行った」と、調査の概要を紹介。

 


 「その結果、産科医、妊産婦共に、妊娠・出産に関する情報に課題は多く、その原因は情報過多、もしくは情報の質(信憑性)であることがわかった」と、情報について課題があることが明らかとなった。「妊婦に必要とする知識、妊婦が知りたい知識は異なっており、産科医師は必要とする知識として“母体”に関するものをあげ、妊産婦は知りたい正しい知識として“制度”や“子ども”に関するものが多かった。日々の生活、薬の服用、病気については、医師の意識が妊産婦のそれを大きく上回った」と、知りたい知識と妊婦の働き方や薬の服用については、産科医師と妊産婦との間に認識の差があることがわかった。

 


 「産科医師、妊産婦共に『産後』に関する情報は課題を感じている」と、妊産婦の産後うつなどのメンタルヘルス、検診補助などの公的制度、産後リスクについて、課題があると回答していた。「一方、出産準備や、子どもに関する情報は、医師から見ると相対的に課題がある情報は少ないが、不安を感じている妊婦が多い」という。「産前産後のメンタルヘルスの維持は、パートナー・家族、および本人の知識習得が必要」と、正しい情報を収集し、知識として習得していく必要性があるという見解では、産科医師、妊産婦双方に共通していた。

 この調査結果を受けて、日本赤十字社医療センター第三産婦人科 部長の笠井靖代先生と東京医科歯科大学医学部付属病院精神科の竹内崇先生、尾花編集長によるパネルディスカッションが行われた。尾花編集長は、「妊娠中の心の不調は、約6割が経験ありと回答。症状としては、いきなり悲しくなったり、何をしてよいかわからなくなったりといったものを挙げている」と、ゼクシィBabyの読者から寄せられる声を紹介。笠井先生も「晩婚化によって、不妊治療を行う人が増えている。こうした人は妊娠することがゴールとなってしまっている。だが、実際は妊娠後に不安や心配で悩まされる妊婦は多い」と、晩婚化によって、心の不調を訴える妊婦が増えているのだと指摘する。竹内先生は「臨床の現場で多く寄せられる声は、精神科の薬を飲んでいるだけで、妊娠をあきらめてしまう人が少なくない。現在は、薬を服用しながらも妊娠が可能なものもあるので、自分自身で判断せず、相談してほしい」と、妊婦が不安や心配を抱え込まないためにも、医師など周りに相談することが大切だと述べていた。

 笠井先生の意見に同調するように、尾花編集長も「自分のことは自分で解決する必要があると思い込んでいる妊婦は多い」と指摘する。笠井先生は「周りに助けを求める妊婦は少ない。元気に育児をしていくためには、産後だけでなく産前においても、周りのサポートを受ける必要がある。不安や心配事を感じたら、メモに書きだすなどして、整理するすると具体的な相談事として声を上げやすくなる」と、周りにどうやって助けを求めればよいかというアドバイスもしてくれた。竹内先生は「妊娠は喜ばしいことなのだが、ホルモンバランスの影響で、自分の感情をコントロールできなくなる。しかし、周りは妊娠を喜んでいるので、なかなか相談できないという妊婦も多い。周りの人たちが、もっと妊娠によって起こりえることについて学ぶ必要性がある」と、周りの人たちが妊婦に理解を示すには、知識の習得が不可欠であると話していた。

 笠井先生は「パートナーは立ち合い出産などで、妊婦に対する知識を習得しようと努力する傾向にある。一方、祖母は、自分の時代に得た出産に対する知識を伝える傾向にある。しかし、祖母の時代と現代とでは、妊娠出産について異なる部分があるということを知ることも大切になる」と、昔と今とでは違う部分があるのだということを、共に学ぶ必要性を訴えた。竹内先生は「ネットに情報が集まっているが、しっかりとしたものが少なく、それに振り回される人が少なくない。医師が発信しているものか、あるいは学会などバックグラウンドがしっかりしているものであれば安心できると思う」と、情報発信元を必ずチェックしてほしいとのこと。尾花編集長も「誰が発信し監修しているのかということを確認せずに、情報をうのみにしてしまう。もう少しこうした点を意識して、情報の取捨選択をしてほしい」と、正しい情報の判断材料として、発信元のチェックは必要不可欠であると警告していた。

 最後に、慶應義塾大学医学部産婦人科学教室 婦人科診療副部長の阪埜浩司先生が「Baby+」の役割とアプリの説明を行った。「『Baby+』は、すべての記事が産婦人科医の執筆、もしくは産婦人科医の監修のもと掲載している、妊婦向けの情報サービスとなっている。冊子は“Baby+ お医者さんがつくった妊娠・出産の本”として配布。WEBは“Baby+ お医者さんがつくった妊娠・出産の情報サイト”として配信している」と、「Baby+」について紹介。「そして、昨年9月に『Baby+』をスマートフォン向けにアプリ化。より多くの妊婦に情報を正しく提供することを目的としている」と、情報端末としてスマホの普及にともない、アプリ化に踏み切ったとのこと。「『Baby+』をアプリにしたことで、タイムリーに情報を配信することが可能になった。また、いつでもどこでも情報を受け取ることができる」と、妊婦に寄り添う情報提供と双方向コミュニケーションが可能になったという。

 「昨年9月に愛知県内でテストマーケティングを開始。ダウンロード数は6000に達した。また、昨年12月には月間22万PVを記録。毎日情報を閲覧してもらっていることが確認できた」と、アプリ化によって「Baby+」を頻繁に見てもらえていることがわかったと説明する。「この結果を受けて、今年4月から全国での告知を展開する」と、本格展開を実施するのだと意気込む。「全国での告知に合わせて、新機能を追加。赤ちゃんの成長を記録できるアルバム機能や産院からのお知らせをプッシュ通知してくれる産院別お知らせ機能を実装している」と、新たな機能を盛り込み、より使い勝手を向上させて本格展開するとのこと。「産科医が監修・執筆した情報を、場所・時間にかかわらず利用できるスマートフォンアプリを通じて届けることで、1人でも多くの妊婦の不安を解消する」と、妊産婦が安心安全に出産・育児ができる社会の実現に向けて、正確な情報を手軽に得られるように努力していくと語っていた。【PR】

日本産科婦人科学会=http://www.jsog.or.jp
リクルートマーケティングパートナーズ=http://www.recruit-mp.co.jp

 


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