医療最前線

最強クラスの寒波到来で冷え込む日本列島、「温度落差」による急激な体の冷えに要注意、フリースなどを活用して常に暖かい服装を

2018.01.11 16:54 更新

 日本列島に過去最強クラスの寒波が到来し、全国的に厳しい寒さが続いている。冬本番を迎え、寒さが本格化する中で、日常生活で気をつけたいのが「気温落差」による急激な体の冷えだ。暖房が効いたオフィスや家からの外出時、運動の後など、環境温や発汗への衣服対応が難しく、体を冷やしてしまう場面が冬の日常には多いという。そこで今回、ユニクロでは、「温度落差」に関する実証実験を行い、急激に体を冷やすとどのようなリスクがあるのか、そのリスクから体を守るためにはどのような服装が最適なのかを、各専門家に聞いた。

 冷えの専門家として活躍している国際医療福祉大学大学院 リハビリテーション学分野 教授で医学博士の前田眞治先生は、「日常的に寒暖差を多く経験する冬場は危険な季節。環境温の変化による『温度落差』で血管が収縮し血圧が急激に上昇することで、さまざまな疾患を引き起こすリスクがある」と指摘する。ユニクロでは、この指摘を踏まえ、前田先生監修の「落差指数」をもとに、冬の日常に潜む血圧が急激に上昇する危ないシチュエーションについて実証実験を行ったという。

 実証実験では、冬の環境温に合わせた室温が異なる2部屋を用意。室内ではトレッドミルやエアロバイクなどを使用し、日常生活での運動も再現した。男女1名ずつの被験者計2名が、暖かい部屋を出る直前、寒い部屋に移動した直後、1分経過時点の計3回血圧を測定し、冬の日常に潜む危ないシチュエーションを調査した。この結果、「洗濯物干しや郵便受けの確認、ゴミ捨てなど、上着を着ず部屋着のまま外に出る」というシチュエーションが、最もリスクが高い「落差指数レベル3」であることが判明した。

 実際、この実験では血圧が15mmHg以上上昇し、この動作を繰り返すと、脳卒中や不整脈などを引き起こす可能性があるという結果となった。ほんの一瞬の温度変化により15mmHg以上も血圧が上昇する、というのは激しい運動をいきなり始めた最初の1分間と同等の血圧上昇になるとのこと。少しの間だから大丈夫という意識がリスクを招くことを念頭に入れ、適切な服装選びをすることが大切だとしている。

 「暖房の効いたオフィスでデスクワークをしていて、手洗いや屋外に近い建物内をそのままの服装で移動する」、「スウェットなどの部屋着のまま家の近所へ出かける」、「満員電車で上着を脱いでそのまま駅(屋外)のホームに降りる」といったシーンは、落差指数レベル2で、動悸や軽い頭痛を起こす可能性があることがわかった。

 また、暖房の効いた部屋で家事を行い、続けてトイレ掃除や風呂掃除をするシチュエーションでの実験では、寒い部屋への移動後もしばらく血圧が上昇し続けた。これは、移動の際の温度落差に加え、暖かい部屋での運動による発汗が継続的に汗冷えを引き起こし、血圧の上昇にさらに拍車をかけていると考えられる。冬だからと汗を気にせずにいると、さらに体を冷やしリスクが高まることが明らかになった。

 この実験結果を受け、前田先生は、「血圧変化は年配の人だけの問題ではなく、現代社会では、生活習慣の乱れによって年齢以上に血管が老化している若者も多く、老若男女を問わず注意が必要であるといえる。疾患のリスクを軽減し、温度落差から身を守るには保温効果のある服選びが重要だ。また、冬は屋内外ともに乾燥している場所ばかり。乾燥は汗冷えの要因のひとつなので、冷えによるリスクに拍車がかかっている環境であることも留意しておく必要がある。また、急激な温度変化に加え、汗冷えにより寒暖差を体感した数分後にも継続した血圧上昇の可能性があることがこの実験により判明した。今回の実験では、30代の健康な被験者で行った数値を使用しているが、年配の人や生活習慣病の患者は、さらに急激な血圧の上昇が予想される」と、老若男女を問わず、体を温かく保つ服選びを心がけてほしいとの考えを述べた。

 では、このような冬の日常に潜むリスクを軽減するためには、どのような服を着るとよいのだろうか。次にユニクロでは、繊維に詳しい日本女子大学 家政学部 被服学科 教授の多屋淑子先生監修のもと、秋や春にはアウター、冬にはミドラーとして活躍するフリース、ニット、スウェット、ジャケットのそれぞれで実証実験を行った。

 この実験では、25℃の環境から10℃の寒冷環境へ移動した時の身体冷却の程度を皮膚温の低下から観察した。寒冷環境下では実験のすべての服種において皮膚温が低下し、女性では目の粗いニット、男性ではジャケットが大きく低下。一方、フリースを着用した際の皮膚温低下は、他の衣服よりも小さいことが観察された。その結果、フリースは、無風時の寒冷環境下では、身体を暖かく保つことのできる保温効果の高い衣服であることがわかった。

 多屋先生は、「この実験で使用した衣服の中で、フリースは寒冷環境下での皮膚温の低下が小さく、高い保温効果が観察された。ポリエステル繊維を起毛処理して作られるフリース素材は、体熱で温められた空気を繊維と繊維の間に閉じ込めることのできる構造であることから、身体を暖かく保つ衣服素材として適している。さらに、速乾性に優れることから、発汗時には快適さを保つこともできる。触感も柔らかく、軽く、心地よく身体を優しく包むことができ、着心地の良い素材として有用といえる」と、フリースは、暖かい静止空気層を保ち、身体冷却を防いでくれる衣服であると解説。「また、フリースは、環境の変化に合わせて着用方法を工夫することにより、いろいろな季節に快適な衣服として着用することができる。たとえば、秋口や春先にはアウターとして活用し、冬には吸湿発熱や吸汗速乾機能のインナーと組み合わせてミドルレイヤーとして使用すると、より高い保温力を発揮することができる。日常生活における環境温の変化が大きい場合の衣服には、体温調節を補助する機能が求められ、そのような時にフリースは有用である」と、フリースの活用法を教えてくれた。

 気象庁の1か月予報(1月4日発表)では、全国の気温はほぼ平年並みとなっているものの、東京では昨年12月31日に初雪を観測。とくに1月は、月毎の平均気温が一番低くなり、体を冷やすリスクが非常に高くなるとされている。「温度落差」による疾患リスクから身を守るためには、フリースなどをうまく活用し、常に温かい服装を心がけることが大切といえそうだ。

ユニクロ=http://www.uniqlo.com/jp/


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