医療最前線

佐藤製薬、小児医療における注射針穿刺の疼痛緩和に関するメディアセミナーを開催、外用局所麻酔薬の使用で小児患者の注射の痛みを予防

2017.12.08 15:07 更新

 佐藤製薬は、12月13日に発売を予定している外用局所麻酔薬リドカイン・プロピトカイン配合貼付剤(製品名:エムラパッチ)の紹介を兼ね、小児医療における注射針穿刺の疼痛緩和に関するメディアセミナーを12月5日に開催した。セミナーでは、この領域を長年研究している日本大学麻酔科教授の加藤実先生が基調講演を行った他、国立成育医療研究センター 小児がんセンターの富澤大輔先生と聖路加国際病院小児総合医療センター小児看護専門看護師の平田美佳先生を招き、加藤先生を加えた3名によるトークセッションが行われた。

 「当社は、外用局所麻酔剤として『エムラクリーム』を先行販売しており、透析の患者を中心に順調に利用が広がっている。患者や医療従事者からは、『エムラクリーム』のおかげで透析が楽になったという声が寄せられている」と、佐藤製薬の佐藤誠一社長が挨拶。「今回発売する『エムラパッチ』は、『エムラクリーム』の効果はそのままに、貼るだけで処方できる簡便な局所麻酔剤となっている。とくに、小児医療において注射針穿刺時の痛みや恐怖感の緩和に貢献できると考えている。また、一型糖尿病や血友病の患者が『エムラパッチ』によって毎日の注射の痛みを軽減し、生活の質向上につながることを願っている」と、「エムラパッチ」を発売する意義を述べた。

 次に、佐藤製薬 医薬マーケティング部の白崎進吾氏が、「エムラパッチ」の商品概要について説明した。「『エムラパッチ』は、注射針・静脈留置針穿刺時の疼痛緩和、および皮膚レーザー照射療法時の疼痛緩和を効能・効果とする外用局所麻酔薬となる。注射予定部位や皮膚レーザー照射予定部位に塗布することで、麻酔効果が得られ、治療の痛みをやわらげることができる」と、注射やレーザー治療の痛みを軽減できる薬剤であるとのこと。「従来の『エムラクリーム』は、密封法による塗布が必要だったが、新製品の『エムラパッチ』は貼るだけで密封できるため、非常に使いやすくなっている。小児医療を中心に、痛みの少ない治療に役立ててもらえるよう展開していく」と、小児患者の治療の痛みをケアしていきたいと話していた。

 そして、日本大学麻酔科教授の加藤実先生が登壇し、「その『医療の痛み』は本当に必要ですか?~痛みが無くなっても痛みの影響は終わらない~」と題した講演を行った。「『痛み』は、本人しかわからない主観的な体験であり、以前には、新生児は痛みを感じにくいと思われていた時代もあった。しかし、新生児も痛みを感じており、現在では、成人と同様に局所麻酔薬や全身麻酔薬が使われるようになっている」と、痛みの体験は第三者からはわかりにくい感覚であると指摘。「痛みを強く感じると、痛みが引いた後も中枢神経の興奮は継続し、受容野が拡大して、痛みの信号を感じやすくなってしまう。とくに、小児期の痛み体験は、トラウマになって、肉体的にも精神的にも、その後の成長に影響を及ぼすことがわかってきている」と、小児医療において痛みを予防することの重要性を訴えた。「今まで、子どもが注射で痛みを感じることは『仕方がない』、『当たり前』、『我慢するのが美徳』、『痛みはその時だけの問題』などとされてきた。しかし、これからは、こうした認識を改める必要があると考えている。防げる痛みを防ぎ、子どもを痛みから守る医療の実現を目指していきたい」と、痛みの少ない小児医療の実現に向けて、啓蒙活動を続けていく考えを示した。

 この後、加藤先生に加え、国立成育医療研究センター 小児がんセンターの富澤大輔先生、聖路加国際病院小児総合医療センター小児看護専門看護師の平田美佳先生の3名によるトークセッションが行われ、「子どもたちが怖がらずに済む医療へ」をテーマに意見を交わした。平田先生は、「子どもが経験する注射の痛みを、マイナスではなくプラスにしていけるような医療風土を、医療従事者だけでなく様々な職種と連携して作っていくことが大切だと感じている」と、注射の痛みをトラウマ体験にしない環境作りが重要であると話していた。富澤先生は、「海外と日本では局所麻酔薬の使用において、まだ認識の差があるのが実状だ。訪日外国人が増える中で、真の国際化を果たすためには、患者の痛みに対しても世界共通の文化を作り上げていく必要があると考えている」と、国内外で共通の疼痛緩和ケアが求められると述べた。加藤先生は、「痛みを予防できる外用局所麻酔薬があるにも関わらず、それが小児医療の現場で使われないのは悲しいことだ。子どもの疼痛緩和ケアが浸透するのは、日本では5年、10年かかるかもしれないが、長い目でこの領域を育てていきたい」と、小児患者への疼痛緩和ケアが当たり前になる医療環境を目指して一歩ずつ着実に歩を進めていくと語った。

佐藤製薬=http://www.sato-seiyaku.co.jp/



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