医療最前線

日本イーライリリー、関節リュウマチの実態とアンメットニーズについてセミナーを開催、患者視点の新しい治療アプローチ「オルミエント錠」の紹介も

2017.07.21 19:33 更新

 日本イーライリリーは、7月3日に「既存治療で効果不十分な関節リュウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」を適応症として製造販売承認を取得した、選択的JAK1/JAK2阻害剤「オルミエント錠 4mg、同2mg」(一般名:バリシチニブ、以下「オルミエント」)について、「“関節リュウマチの実態とアンメットニーズ 日本における関節リュウマチ治療の第一人者が紐解く、患者視点の新しい治療アプローチ ~新たな治療薬の選択肢“オルミエント”~」と題したセミナーを7月14日に開催した。同セミナーでは、日本における関節リュウマチ治療の第一人者であり、オルミエントの第III相臨床試験を担当した産業医科大学医学部第1内科教授の田中良哉先生が登壇し、周囲に理解されにくい関節リュウマチの実態とアンメットニーズや、疾患活動性および関節破壊の抑制のみならず、痛みや倦怠感、朝のこわばりといった関節リュウマチ患者の主観的症状の改善も視野に入れた新しい治療アプローチについて講演を行った。

 「関節リュウマチとは、手や足の関節に炎症がおこり、軟骨や骨が壊れてしまい、放っておくと関節が変形(関節破壊)してしまう病気。主な症状として、関節の痛みや腫れ、こわばり、だるい、疲れやすいなどがある」と、田中先生が関節リュウマチという病気について解説。「関節破壊抑制には、早期からの治療開始が重要となる」と、短期間で関節破壊が重症化していくだけに、早めの治療が大切なのだと説く。「患者数は、70~100万人とされ、30~40歳代に好発する。男女比としては1:4.5と女性の割合が高い」と、働き盛りの女性に多く発症する病気なのだと教えてくれた。「関節炎がひどい場合は、普通の生活や仕事ができず、関節の破壊は発症の早期に進行し、元に戻らない。破壊・変形が進行すると日常生活が不便で、関節外の全身の症状も伴う。寿命にも直結しかねない」と、関節リュウマチの恐ろしさを説明。「だからこそ、適正な治療が必要となる」と、早期に適切な治療を行うことで、重症化しないように食い止める必要があるのだと語っていた。

 「関節リュウマチは、関節のみが侵される病気ではなく、免疫の異常にともない、全身の臓器に症状が認められる」とのこと。「リュウマチは、リンパ球の病気で、自己免疫疾患となる」と、関節にフォーカスした治療ではなく、自己免疫疾患ということを認識した対処が重要なのだと訴える。「このため、関節リュウマチ患者は、関節破壊が起こる前にリスクを特定し、治療をスタートする。そして将来の関節破壊防止に向かって治療を行い、関節破壊を起こさないようにすることが必要となる」と、関節リュウマチにおいては、関節破壊を起こさないことが寛解定義になるとのこと。「関節リュウマチの標準療法としては、従来型抗リュウマチ薬や生物学的製剤で寛解や低疾患活動性を目指し、長期予後を改善できるようになった」と、関節破壊の抑制を介し、患者の長期予後を改善することができるようになったという。「しかしながら、痛みや倦怠感、朝のこわばりといった主観的症状の改善など、生活の質を向上するために重要なニーズが満たされていない患者も多く存在する」と、寛解に向けてさらなる治療を必要とする患者は少なくないのだと訴える。

 「そして今回、オルミエントが開発された。この薬は、関節破壊抑制効果が証明され、関節の構造的損傷の防止を含む適応症を取得。疾患活動性の指標の1つであるDAS28-CRPの12週時変化量においてアダリムマブという従来型の薬を上回ることができた。さらに、痛み・朝のこわばり・倦怠感などの症状は1週目より改善傾向が見られた」と、オルミエント錠の特徴について解説。「バイオ製剤は点滴・皮下注射であるのに対し、オルミエントは経口薬となる。それだけに、患者の生活スタイルや嗜好に合わせて薬剤を選択できるようになった」と、点滴や皮下注射に難色を示していた患者にとって、オルミエントは、前向きな治療に導く薬剤になるのではないかと期待を寄せていた。

 次に、日本イーライリリー 研究開発本部 バイオ医薬品領域 臨床開発医師/メディカルアドバイザーの石井泰子先生が、「オルミエント錠4mg、同2mg」の既存治療で効果不十分な関節リュウマチを適応とした製造承認について説明した。「オルミエントは、1日1回経口投与の選択的JAK1/JAK2阻害剤。単剤、またはメトトレキサートと併用におけるオルミエントの有効性および安全性は、日本人371名を含むさまざまな治療歴のあるリュウマチ患者2890名を対象とした完了済みの4つの試験を含む第III相臨床試験において、確認された」とのこと。「RA-BEAM試験では、メトトレキサート使用下でのオルミエントとアダリムマブ(TNF阻害剤)との比較を事前に規定し、実施した。オルミエントは、現在の標準療法であるメトトレキサートによる治療に対して効果不十分であった患者において、疾患活動性および関節破壊の抑制効果について、アダリムマブと同様の効果を示すと共に、患者の痛みや倦怠感、朝のこわばりなどの主観的症状を評価するPRO(患者報告アウトカム)についても、投与1週時から優れた改善を示した」と、試験で効果がしっかり示された薬剤であると強調した。

 「また、国内外の臨床試験の併合解析(第II相及び第III相試験)において、オルミエントが投与された総症例3439例中、オルミエントとの因果関係が否定されなかった有害事象は、1428例(41.5%)に認められた。主な事象は、上気道感染、帯状疱疹などだった。主な臨床検査値異常は、LDLコレステロール上昇などだった」と、副作用について言及。「関節リュウマチをなくす薬剤ではない。それだけに、リスクとベネフィットを考慮して使用する必要がある」と、リュウマチ治療の経験をもつ医師が使用するよう警告していた。

日本イーライリリー=https://www.lilly.co.jp


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