医療最前線

森永製菓、ハイカカオチョコレートに関する最新の研究報告会を開催、ビフィズス菌とハイカカオチョコレートの組み合わせに有用性を確認

2017.03.30 21:10 更新

 森永製菓は、ハイカカオチョコレートに関する最新研究報告会「健康“腸”寿は、大腸から!ビフィズス菌とハイカカオチョコレートの相乗効果」を、3月24日に開催した。今回の報告会では、消化管病原細菌感染症を専門にしている杏林大学医学部教授の神谷茂先生を講師に迎え、「腸内フローラと腸内環境」について基調講演を行うと共に、森永製菓によるビフィズス菌BB536とハイカカオチョコレートの相乗効果に関して、最新の研究結果を報告した。

 「ヒトの腸管は、テニスコート一面分に相当する約200m2の表面積があり、そこに500種類以上、100兆個以上の細菌が存在し、腸内フローラを形成している。腸内フローラは、生体において、エネルギー産生を始め、ぜん動運動・消化吸収の促進、物質代謝の調節、感染防御、免疫賦活化といった働きがあるほか、発がんにも関与していると考えられている」と、神谷先生は、腸内フローラが体内で担う役割について解説。「近年、腸内フローラのメタゲノム解析が進んでおり、2010年に行われた解析では124人の腸内フローラから約330万個の腸内細菌遺伝子が同定された。これらのうち、124人に共通した遺伝子は約38%で、約1000種の腸内菌のうち124人に共通した菌種はわずか18菌種だった」と、腸内フローラには、人それぞれ異なる細菌が棲みついているとのこと。「また、日本人の腸内フローラに関するメタゲノム解析では、日本人特有の腸内菌が検出された他、他国11ヵ国と比較して個別のクラスターを形成していることがわかった」と、国によっても腸内フローラの構成菌に違いが見られると説明していた。

 「腸内フローラは、様々な疾病と関連性があることも明らかになっている。例えば、肥満者の腸内フローラは、遺伝子数が少ない傾向にあり、多様性に乏しいことが認められた。この他に、腸管感染症や炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、大腸がん、肝疾患、精神神経疾患、アレルギー性疾患、婦人科疾患との関連性も報告されている」と、腸内フローラの状態は様々な病気と深く関係していると指摘する。「健全な腸内環境を保つために、重要な役割を担っているのが、乳酸生産菌やビフィズス菌などのプロバイオティクスである。プロバイオティクスには、病原菌の付着阻害、抗菌物質産生、粘液分泌亢進、免疫能賦活化などの作用があり、腸内フローラのバランスを改善して生体に利益をもたらす」と、プロバイオティクスを増やすことが健全な腸内環境を維持し、病気の予防にもつながるのだと力説する。「とくに、ビフィズス菌は腸内フローラの優勢菌で、乳酸や酢酸を産生する。この酢酸には、肥満を防止する作用があることが確認された。また、ビフィズス菌には、抗がん作用を増強させる働きがあることも報告されている」と、ビフィズス菌の持つ健康作用にも言及していた。

 「当学部では、以前から森永製菓と共同で、ココアが消化管に及ぼす作用について研究を進めてきた。その中で、ココアの腸管出血性大腸菌O157:H7への効果を検証した結果、腸管出血性大腸菌O157:H7の増殖を抑制するとともに、腸管出血性大腸菌O157:H7の毒素産生を抑制する作用があることがわかった。さらに、ピロリ菌への効果検証では、ココアはピロリ菌の上皮細胞への付着、増殖および胃内定着を抑制する作用が認められた」と、ココアに関する森永製菓との共同研究について紹介。「このことから、ココアは、腸管出血性大腸菌O157:H7およびピロリ菌の感染予防に有効であると考えられる」と、ココアには消化管病原細菌感染症の予防効果が期待できることが、共同研究から明らかになったと述べていた。

 続いて、森永製菓 研究所 食品研究開発センターの稲垣宏之マネジャーが、ビフィズス菌BB536とハイカカオチョコレートの相乗効果について最新の研究結果を発表した。「近年の研究で、チョコレートに配合したビフィズス菌は大腸への到達性が高まるという報告や、チョコレートに含まれるカカオフラバノールが腸内でビフィズス菌の割合を増加させたとの報告がされるようになった。そこで今回、当社では、ハイカカオチョコレートとビフィズス菌の組み合わせについて研究を行い、日本農芸化学会2017年度大会(3月17日~20日)で研究成果を発表した」と、研究に取り組んだ背景を説明。「研究では、ハイカカオチョコレート(カカオ分70%以上と定義)がビフィズス菌BB536の増殖に及ぼす影響を試験管内で評価した。この結果、チョコレートなしの培養液に対して、チョコレート入りの培養液は、ビフィズス菌BB536が大幅に増殖していた。牛乳、緩衝ペプトン水と、培地の条件が変わっても同様の作用がみられた」と、ハイカカオチョコレートはビフィズス菌BB536を大幅に増殖させることが示唆された。

 「また、ハイカカオチョコレートがビフィズス菌BB536と大腸菌の増殖に与える影響を調べた結果、ビフィズス菌BB536は、ハイカカオチョコレートが共存している条件で、大腸菌に比べて約2000倍もの増殖促進率を示した。一方、大腸菌の増殖促進率は6.2倍と、大幅な増殖はみられなかった」と、ハイカカオチョコレートはビフィズス菌BB536の増殖のみを促進し、大腸菌を大幅に増殖させることはなかったという。「さらに、ハイカカオチョコレートに含まれるカカオポリフェノールのビフィズス菌BB536に対する影響を明確にするため、カカオ熱水抽出エキスを対象として評価を行った。この結果、腸管出血性大腸菌O157:H7は、熱水抽出エキスにより生存数の大幅な低下が認められたのに対して、ビフィズス菌BB536は、熱水抽出エキス反応後も生存菌数がほとんど変化しなかった」と、ビフィズス菌BB536は、カカオポリフェノールの抗菌作用の影響を受けないことが明らかになった。「これらの結果から、ビフィズス菌とハイカカオチョコレートの組み合わせには有意性があることが示唆された。今後も、再現性・機序・作用成分や、生体内でも効果が認められるかといった点について、引き続き研究に取り組んでいく」と、ビフィズス菌とハイカカオチョコレートの相乗効果に関する研究を継続的に進めていく考えを示した。

森永製菓=http://www.morinaga.co.jp/



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