医療最前線

教えて!「かくれ脱水」委員会、ママを対象としたインフルエンザ・ノロウイルス対処法セミナーを開催、感染症の原因となるウイルスがどのように拡散していくかを実演

2016.12.05 18:10 更新

 脱水状態および「かくれ脱水」に対する正しい知識と予防方法・対処方法を発信している「教えて!『かくれ脱水』委員会」は11月28日、インフルエンザやノロウイルスなどの感染症にかかった場合の正しい対処法や二次感染を防ぐための予防法についてのセミナーを、小さな子どもをもつママ10名を対象に行った。同セミナーでは、「教えて!『かくれ脱水』」委員会」委員の済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科 副部長・医学博士 十河剛先生が、家庭を模したハウススタジオで感染症の原因となるウイルスがどのように拡散していくかを実演・解説し、また感染してしまった場合の家庭での正しい対処方法について紹介した。

 気温がぐんと下がり空気も乾燥しやすくなってきたこの時期、とくに子どもや高齢者のいる家庭で気をつけたいのが感染症。インフルエンザウイルスは、高齢者をはじめとする免疫力が低下している人が感染すると、肺炎を併発するなどの危険性があり、ノロウイルスなどの感染性胃腸炎も一般的に健常者は軽症で快復するものの、子どもや高齢者は重症化するケースもあるといわれている。国立感染症研究所の調査によると、10月24~30日の期間中におけるインフルエンザ、感染性胃腸炎の感染者数はともに例年より増えているとの報告があり、今年は早めの流行が予想されている。また、同調査からは子どもに多く、せきが長引きやすいマイコプラズマ肺炎の流行傾向も見られている。10月24~30日の患者報告数は691人で、1医療機関あたりの患者数は1.46人と、過去最多だった前週の1.61人に続き高い水準となっている。マイコプラズマ肺炎は乾いたせきと発熱が特徴で、重症化すると中耳炎や無菌性髄膜炎、脳炎などを併発することもあるため注意が必要だ。くしゃみやせきのしぶきを介して感染するとされており、マスク着用やこまめな手洗いが必要とされている。

 こうした状況の中、「教えて!『かくれ脱水』委員会」では、小さな子どもをもつママ10名を対象に「小児科医が教える感染症対策セミナー 冬の脱水SOS」を行った。このセミナーで講師を務めたのが、「教えて!『かくれ脱水』委員会」委員の済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科 副部長・医学博士 十河剛先生。「教えて!『かくれ脱水』委員会は、熱中症や感染性胃腸炎などを原因とした脱水症状の予防や対処方法に関する正しい知識の啓発を目的に、2012年6月1日に設立された。救急医療、高齢者医療に関する専門家を発起人とする情報発信主体を設立。深刻な脱水状態になってしまう一歩手前を『かくれ脱水』と名付け、脱水状態の正しい知識と予防法・対処法を訴求。現在9名の専門家によって構成されている」と、「教えて!『かくれ脱水』委員会」について説明。「今年は、すでにインフルエンザが流行の兆しを見せており、例年に比べて1ヵ月も早く感染者が観測された。ノロウイルスについても集団感染が報告されている」と、今年はとくに、感染症に注意しなければいけないシーズンになるのではないかと予測する。

 では、キッチンスペースではどのようなことを気をつければよいのだろうか。「手洗い、うがいは基本。手洗いは指の先まで行ってほしい」と、隅々まできれいに手洗いすることを推奨していた。「また、インフルエンザは高温多湿を嫌う。喉を乾燥させないことも基本になる」と、インフルエンザ対策についても教えてくれた。「手洗い、うがいをしっかり行っていても、キッチンでは様々な点に気をつける必要がある。二枚貝はノロウイルスに感染するリスクが高い。しっかり加熱してから調理するようにしてほしい」と、加熱処理して、ウイルスを死滅させる必要があると話していた。「また、唾液の中に菌が入っている可能性が高い。この菌が箸を通じて感染してしまう。大皿から料理を取り分ける場合は、取り箸を使うようにしてほしい」と、自分の箸を使って、料理を取り分けることがないよう注意してほしいと話していた。「ノロウイルスについては、空中に舞い上がってしまう。これが感染源になってしまうため、食器を出しっ放しにしないようにしてほしい」と、食器を出しっ放しにして乾かした場合は、使う前に再度洗って使うなどしてほしいと述べていた。

 


 次に、トイレで気をつけることはどんな点になるのだろうか。「トイレを使うときは、蓋を閉めて流すようにするとウイルスが飛び散らない」と、蓋をしてから流すようにしてほしいとのこと。「トイレのタオルは個人ごとに用意する。または、ペーパータオルを使用するようにしてほしい」と、個人用もしくは使い捨てのタオルの使用を勧めていた。「また、タオルに次亜塩素酸をふりかけて使用するのも良い手なのだが、スプレーでは不十分。次亜塩素酸にタオルを漬け込んで使用するとより効果が得られる」と、まんべんなく除菌できるように漬けておくことを推奨していた。「もちろん、トイレの換気も重要」と、空気の入れ替えを行うことで、ウイルスがトイレにとどまらないようにしてあげることも重要であると述べていた。

 最後に、急な嘔吐の時に気をつけることはどんな点だろうか。「嘔吐を処理しやすい服装に着替えて行うようにしてほしい」とのこと。「また、広い範囲を立ち入り禁止とし、嘔吐物に素早く防水シートをかぶせて、ウイルスが飛散しないようにすることも必要だ」と、二次感染を避けるようにすることが重要なのだと教えてくれた。「嘔吐対策セットもあるのだが、なかなか一般のお店では売られていない。そこで、100円均一で揃えてしまうことで、急な嘔吐の時にも、慌てることなく対処できるはず。揃えておきたい100円均一製品は、ペットシーツ、マスク、使い捨て手袋、紙袋、ビニール袋となる」と、100円均一製品でも十分に対処できるので、常備しておいてほしいと話していた。

 「感染症が重症化しないためには、脱水状態にならないことが重要となる」と、感染症では水分が失われていくので、しっかり補給するようにしてほしいとのこと。「水と一緒に、塩分(電解質)が体内から体外に排泄される。つまり、失われた水分とともに失われた塩分(電解質)を摂取する必要がある」と、水プラス塩分の補給が重要なのだと強調する。「脱水には、水分欠乏型と塩分欠乏型が存在する。塩分欠乏型は、水分と電解質を同時に失っている。ウイルス性の下痢や嘔吐の場合に多い。この場合、水だけの補給はNGなので注意してほしい」と、感染症の脱水時には、塩分の摂取も忘れないようにしてほしいと訴えた。「水分と電解質を同時に摂取するのに有効なのが、経口補水液となる。経口補水液は、水分に電解質と糖質が一定の割合で含まれている。スポーツドリンクやイオン水は、経口補水液に比べると、電解質が少なく、糖分が多い」と、経口補水液が有効な点を教えてくれた。「子どもに経口補水液を飲ませる場合は、ちびちびごっくんが合言葉。ペットボトルのキャップを使って少しずつ飲ませるようにほしい。また、凍らせてあげると飲みやすくなる。その際、製氷皿で凍らせるようにしてほしい。ゼリータイプは、意外と子どもも嫌がらずに飲んでくれるので有効だ」と、子どもに経口補水液を飲ませる場合の方法についても解説してくれた。

教えて!「かくれ脱水」委員会=http://www.kakuredassui.jp/


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