医療最前線

ファイザー、「フレイル」の予防に向けた介護予防の現状や課題をテーマにセミナーを開催

2016.11.11 20:14 更新

 ファイザーは、11月11日の「介護の日」を前に、全国47都道府県で9400名を対象に実施した介護予防に対する意識調査の結果や、要介護状態につながるリスクがある感染症の対策などを紹介するセミナーを開催した。セミナーでは、高齢者肺炎治療の第一人者である元筑波大学病院ひたちなか社会連携教育研究センター教授で、医療法人社団 喜恵会 和光駅前クリニックの寺本信嗣先生を講師に迎え、調査結果から見えてくる要介護状態、「フレイル(衰弱)」の予防に向けた介護予防の現状や課題などをテーマに講演が行われた。

 「『介護の日』とは、高齢者や障害者などに対する介護に関し、国民への啓発を重点的に実施するための日として、2008年に制定された」と、まず「介護の日」について解説する寺本先生。「2025年には、1.8人で1人の65歳以上を支える社会になるとされ、要支援・要介護者の増加が懸念される」と、高齢化にともなう課題を指摘する。「加齢にともない介護要員としてフレイル(衰弱)の割合が増加する。健康なときからフレイル状態に陥らないための対策が必要」と、フレイルという衰弱状態によって介護が必要になるという状況を避ける必要があると警鐘を鳴らす。

 「実は、ほとんどの高齢者がフレイル状態を経て、要介護になる。脳卒中予防も重要だが、フレイルにならないための対策が必要」と、フレイルになる一歩前のプレフレイルでの予防対策が重要になると訴える。「フレイルは、健康と要介護の中間的な段階で、要介護を減少させるために広く周知されるべき新しい概念とされている」と、日本老年医学会が定義するフレイルについて紹介。「フレイルを予防するためには、各側面に対する適切なアプローチが必要だ。高齢者に多い疾患の予防も対策として重要になる」と、身体的な側面だけでなく、精神的、社会的な側面でのケアも大切なのだと話していた。

 


 「日本の死亡原因の年次推移を見てみると、肺炎死亡が増えている」と、肺炎が全死亡原因の第3位にまでなってしまったという。「肺炎による死亡は平均80歳前後なのだが、肺炎で緊急入院する人は60代が圧倒的に多い」と、年齢で見た肺炎による死亡や入院について紹介。「元気で長生きを実現するためには、不慮の災害を防ぎ、心血管イベントを防ぐ。そして肺炎を防ぐ」と、肺炎予防の周知徹底が重要になると唱えていた。「65歳から肺炎の罹患は増加する」と、高齢になると肺炎リスクは高まるのだと指摘する。「一度肺炎になると急速に老化する、フレイルが加速する。つまり急激に弱ってしまう。しかも、その不幸は突然やってくる」と、何故、肺炎を防ぐことが重要なのかについて言及してくれた。「高齢者の肺炎による入院はフレイルであり、これが要介護につながる。肺炎に罹患しないための予防対策が重要となる」と、肺炎の負のスパイラルに陥らないことが大切なのだと力説していた。

 「入院肺炎症例を見てみると、70歳以上の肺炎入院症例では、ほとんどが誤嚥性肺炎となっている」と、入院患者の大部分が誤嚥性肺炎なのだと指摘する。「高齢者のための医療とは、健康長寿の延伸であり、誤嚥リスクとフレイルの管理を行うことである」と指摘。「さらにフレイルが進行すると、フレイル患者の誤嚥が肺炎になる」と説明していた。「誤嚥性肺炎の治療は、本当に抗菌薬SBT/ABPC(スルバクタム/アンピシリン)単独でよいのかという点については、入院誤嚥性肺炎の80%以上に奏功した」という。「しかし20%はうまくいっていない。これには、肺炎を発症した背景疾患が重症である可能性が高い」と、高齢者肺炎治療の問題点を指摘。「高齢者肺炎には、抗菌薬治療プラス嚥下リハビリテーションが必要とされている。嚥下リハビリテーションは、嚥下機能の回復に不可欠であり、誤嚥性肺炎予防の基本となる」と、嚥下リハビリテーションは、肺炎の発症予防への直接効果は証明されていないとのこと。「一方で、口腔ケアの実施については、嚥下自体の改善は限定的とされている」という。「嚥下リハビリテーションでは、肺炎発症予防の効果は証明されていないが、悪い誤嚥は減る。口腔ケアは、肺炎発症を半分に減らせるが嚥下の改善は限定的となる。つまり、口腔内細菌叢の改善になるが、悪い誤嚥は減らない」と、嚥下リハビリテーションと口腔ケアの役割の違いについて説明してくれた。

 「高齢者肺炎は、細菌性病原体の気道浸潤のものと、嚥下障害による誤嚥によるものの2つに区分される」と、発症機序に関連した肺炎の管理戦略について解説。「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチンの接種では、PPSV23とPCV13という2種を接種する考え方がある」とのこと。「PCV13ワクチンの方が、免疫応答もよく、免疫記憶も残るため、まず結合型ワクチンであるPCV13を接種してから、多糖体ワクチンPPSV23を接種する方がよいという考え方になっている」と、ワクチン接種の考え方が変わってきている点についても言及してくれた。「また、インフルエンザシーズンの肺炎の55%は肺炎球菌が原因。インフルエンザワクチン接種時に肺炎球菌ワクチンを勧められた場合、約65%の人は接種する意向がある」と、両方を予防したいと考える割合が高いという。「肺炎の死亡原因が3位になったのは、肺炎が増えたわけではなく、誤嚥性肺炎が増えて、それがこれからも増え続けるからだ。だからこそ、65歳から肺炎を予防することが大切になる」と、肺炎球菌ワクチンを接種することで肺炎を予防することが重要なのだと説いていた。

ファイザー=http://www.pfizer.co.jp/


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