医療最前線

日本心臓財団とエドワーズライフサイエンス、和歌山県の食材を使った"心臓にやさしい"「ハートレシピ」を発表

2016.11.07 20:24 更新

 循環器病を克服するための研究助成や予防啓発に取り組む公益財団法人日本心臓財団と、心臓弁膜症や血行動態モニタリングを中心とした医療機器を扱うエドワーズライフサイエンスは、和歌山県および和歌山県立医科大学の専門家と協同で、“心臓にやさしい”をテーマとした、ご当地食材をふんだんに活用した「ハートレシピ」を開発した。都道府県とのコラボレーションによる「ハートレシピ」の開発は昨年の高知県に続き、2回目となる。11月4日に行われた発表会では、和歌山県が心疾患予防に取り組む背景や心疾患と食との関係について説明した他、今回の「ハートレシピ」の開発コンセプトやレシピの概要を紹介してくれた。

 「現在、心疾患は、がんに次いで日本人の死因の第2位となっており、平成26年の死亡数は約20万人にのぼっている。日本心臓財団では、こうした心臓病や心血管病の克服を目指し、研究助成と予防啓発の2つの活動に力を注いでいる」と、日本心臓財団の飴谷恭平常任理事・事務局長が挨拶。「高齢化の進展にともない、元気で長生きする健康寿命の延伸が国民的なテーマになりつつある。その中で、心血管病の予防は、若い頃からの食事の改善が非常に重要であることが明らかとなっている。そこで、当財団では、心疾患対策に積極的に取り組む地方自治体と大学、さらにはエドワーズライフサイエンスとの4者協同で、2015年に『ハートレシピプロジェクト』を立ち上げた」と、「ハートレシピ」の開発背景について説明。「『ハートレシピ』では、おいしくて、心臓にやさしい食事をコンセプトに、地産地消を軸にしたメニューを提案する。このレシピを通じて、地域の健康課題の解消や、心臓の健康を考えるきっかけにつながることを目指す」と、地域との協力によって、幅広い人々に心疾患の啓発を促していくのだと力を込めた。

 続いて、エドワーズライフサイエンスの加藤幸輔社長が挨拶。「日本では、平均寿命と健康寿命の差が10年以上も離れており、QOLの低い状態が長く続くことが課題になっている。とくに心疾患は、健康寿命に大きな影響を及ぼす疾患であり、当社では、心臓弁膜症治療製品を中心とした最先端の医療機器を提供することで、患者が毎日のQOLを取り戻せるよう尽力している」とのこと。「世界では、エドワーズ基金を通じて心臓弁膜症の治療への助成を行っている。また、日本では、高齢化が進む中で、将来心疾患に悩む人を減らすための独自の活動を行っている」と、心疾患の患者のQOLを改善し、健康寿命の延伸につながる活動を展開しているという。「『ハートレシピ』もこうした活動の一環となるもので、産官学そして地域と共に身近な『食』を通じて、心臓の健康への注目を高め、健やかな日常生活を長く楽しめる人をさらに増やしていく」と、同社が「ハートレシピ」のプロジェクトに参画する意義について述べた。

 次に、和歌山県 福祉保健部の野㞍孝子健康局長が、「和歌山県の健康づくりと食」について紹介した。「和歌山県は、全国で5番目に高齢化が進んでおり、高血圧性を除いた心疾患の死亡率は全国でワースト3位、虚血性心疾患の死亡率では全国ワースト1位となっている。こうした状況を踏まえ、和歌山県では、すべての県民が健康づくりの運動に参加できる体制を整備することを目標に掲げ、『健康わかやま推進プロジェクト』を進めている」と、県民すべてに健康づくりへの関心を高めてもらうべく、県をあげて心疾患対策に取り組んでいるのだと訴える。「和歌山県の食の特長としては、果物では、柿、みかん、山椒、じゃばらの収穫量が全国1位を誇っている。また、野菜では、実えんどうが全国1位、ししとうが全国3位、生姜が全国4位の収穫量となっている。魚・肉については、太刀魚の漁獲量が全国2位の他、しらすやくえ、いさき、マグロ、うめどり、ほろほろ鳥などが特産品として知られている」と、和歌山県を代表する食材について紹介。「今回の『ハートレシピ』では、これらのご当地食材を生かした、おいしくて心臓にやさしいレシピを提供することで、県民の心疾患予防に向けた意識をさらに高め、将来的には健康長寿日本一を目指したい」と、「ハートレシピ」の開発をきっかけに、和歌山県を長寿日本一へと導きたいと意欲を見せた。

 今回、「ハートレシピ」の監修を手がけた和歌山県立医科大学 理事長・学長の岡村吉隆先生が、心疾患と食との関係について解説した。「日本では、心疾患(心臓病)が死因の第2位となっている。心臓病の種類としては、虚血性心疾患や胸部大動脈瘤、心臓弁膜症など、高齢化や生活習慣病の増加にともない動脈硬化が原因の疾患が増加する傾向にある。そして、これらの疾患を引き起こす重大なリスクとなっているのが高血圧である」と、心疾患には高血圧が深く関わっていると指摘する。「高血圧の発症には、食塩摂取量が影響していることが明らかになっている。そのため、食生活を改善し、減塩をすることで、高血圧を抑え、確実に心血管疾患の発症リスクを低減することができる」と、減塩食が高血圧の改善、ひいては心疾患の予防につながるのだと強調した。「今回の『ハートレシピ』は、和歌山県の食材を使って、減塩はもちろん、豊富な野菜が摂取できるよう工夫されている。『ハートレシピ』を活用して、多くの人が食生活の改善に取り組み、県民の健康寿命が延びることに期待したい」と、「ハートレシピ」による食生活の改善が、心疾患の予防につながり、健康寿命の延伸に寄与することを願っていた。

 「ハートレシピ」の概要については、レシピ開発を担当した和歌山県立医科大学附属病院 病態栄養治療部の川村雅夫栄養士長が紹介してくれた。「『ハートレシピ』の開発にあたっては、“心臓にやさしい食事”をコンセプトとした。“心臓にやさしい食事”とは、自然を食べること、つまり、四季おりおりの食材の旨味や香り、素朴な味を楽しむことであると考えた。そして、四季の食材を意識し、和歌山県の海の幸と山の幸をふんだんに盛り込んだ『旬の味を楽しめる料理』を心がけた」と、「ハートレシピ」の開発コンセプトについて説明。

 「レシピは、朝食から夕食までの3食分を、四季に応じて2セットずつ、合計24レシピを用意した。レシピのポイントとしては、1日あたりの食塩相当量を6g未満に抑えると共に、野菜の量は350g以上を使用している。また、調味料以外の食材を1日平均33種類使用し、食材の味を引き立たせるために、砂糖やみりんの量を少なめにしている」と、塩分を抑えながら、おいしくて心臓にやさしいレシピを実現したと胸を張る。「一般の人でも手軽に作れるよう、下ごしらえに電子レンジを使うなど、作りやすさも重視したレシピとなっている」と、料理が苦手な人でも簡単に作れるよう、調理法にも配慮したと話していた。

 最後に、「ハートレシピ」の試食メニューとして、「紀州梅まだい味噌焼き」、「柿ドレッシングサラダ」、「鶏肉とズッキーニの辛子和え」、「熊野牛の焼肉丼」、「じゃばら果汁のホットはちみつ」が振る舞われた。「紀州梅まだい味噌焼き」は、味噌に漬け込まず、フライパンで香ばしく焼いてから、味噌だれを塗ることで塩分を控えた一品。「柿ドレッシングサラダ」は、塩分濃度を2%とし、少し甘めの柿ドレッシングに仕上げた。「鶏肉とズッキーニの辛子和え」は、電子レンジを使うことで、野菜の味を濃くしたという。「熊野牛の焼肉丼」は、りんごジュースの酸味と甘味に、タマネギやニンジンをプラスし、塩分を抑えながら、まろやかな味に濃口しょう油の塩っ気と胡麻の風味が楽しめる焼肉タレがポイントとのこと。「じゃばら果汁のホットはちみつ」は、和歌山県北山村原産の柑橘類じゃばらを使ったホットドリンクとなっている。

公益財団法人日本心臓財団=http://www.jhf.or.jp/
エドワーズライフサイエンス=http://www.edwards.com/jp/
ハートレシピ WEBサイト=http://www.jhf.or.jp/heart_recipe/



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