医療最前線

日本口内フローラ研究会、「口内フローラから考える子どもの虫歯予防フォーラム」を開催、虫歯を予防する新成分「BLIS-M18」について解説

2016.05.16 22:30 更新

 口内フローラの研究機関である日本口内フローラ研究会は、虫歯への羅患しやすさに影響する口腔内の細菌群「口内フローラ」と虫歯予防に関する最先端の情報を広めることを目的に、「口内フローラから考える子どもの虫歯予防フォーラム」を5月15日に開催した。フォーラムでは、虫歯治療の専門家である東京歯科大学 教授の古澤成博先生が「口内フローラから考える子どもの虫歯予防最前線」をテーマに講演を行った他、口内の虫歯菌(ミュースタンス菌)を減らし、虫歯を予防する新成分「BLIS-M18」の製造・販売を行うBLIS Technologies社(ニュージーランド)の創設者であるオタゴ大学微生物学 名誉教授のジョン タグ先生を招き、「BLIS-M18」の開発経緯や効果効能およびそれを裏付けるエビデンスについて解説してもらった。

 「日本口内フローラ研究会は、口腔内に“共生”という考え方を持ち込み、世の中に広く伝えていくことを目的として発足した」と、日本口内フローラ研究会 会長・東京歯科大学 講師の袋一仁先生が挨拶。「人間は37兆個の細胞で成り立っているが、体の中にはその3倍の約100兆個の細菌が棲んでいるといわれている。そして、今までの医療は、これらの細菌と敵対することで効果をあげてきた」と、従来までの医療の歴史は、細菌との戦いであったと話す。「しかし、除菌や殺菌などによる敵対関係は、その反動として必ず細菌が抵抗することがわかってきた。そこで、より安全で効果的な医療の一つとして、善玉菌の効果によって悪玉菌とのバランスを取る『プロバイオティクス』に注目が集まっている」と、細菌を駆除するのではなく、善玉菌で撃退するプロバイオティクスに期待が高まっているという。「今回のフォーラムでは、口腔内におけるプロバイオティクスの第一人者であるオタゴ大学微生物学 名誉教授のジョン タグ博士を招き、虫歯予防に効果のある最新の善玉菌『BLIS-M18』について、詳しく解説してもらう」と、このフォーラムを通じて口腔内プロバイオティクスの認知度をさらに高めていきたいと話していた。

 続いて、東京歯科大学 教授の古澤成博先生が「口内フローラから考える子どもの虫歯予防最前線」をテーマとした講演を行った。「歯科の二大疾患である虫歯と歯周病は、どちらも細菌感染が原因となっている。とくに、歯と歯の間などにたまる歯垢(プラーク)は、細菌の塊であり、その中の虫歯菌(ミュータンス菌)が食べ残しなどの糖を酸に変えて、歯を溶かしてしまう。そのため、虫歯予防には、しっかり歯みがきをして歯垢を減らし、細菌感染を防ぐことが重要になる」と、虫歯は細菌感染によって起こるのだと説明。「もともと生まれたときの赤ちゃんは無菌状態であり、口腔内に虫歯菌も存在していない。しかし、親が口移しをしたり、周囲の大人と接触するうちに、唾液を介して虫歯菌が感染し、そのまま棲みついてしまうといわれている。当然、親の虫歯菌が多いと、子どもの虫歯菌も多くなり、虫歯になるリスクも高まることになる」と、子どもの虫歯を減らすためには、まず親を含めたまわりの大人が虫歯菌を減らすよう努力することが重要であると訴えた。

 「子どもが虫歯菌に感染しやすい時期を『感染の窓』と呼んでいる。これは、乳歯が萌出してくる19ヵ月から奥歯が生えそろう31ヵ月までの期間で、虫歯菌が母子感染するリスクが非常に高い時期とされている。したがって、この時期のケアをしっかりすることで、子どもへの虫歯菌の感染を遅らせて、虫歯のリスクを低減することができる」と、歯が生え始める「感染の窓」の期間が子どもの虫歯予防のカギを握っているのだと力を込める。「虫歯予防の方法としては、正しい歯みがきをすることや、間食をなるべく避けて、きちっとした食事習慣を身につけること。定期的に歯科検診を行うこと、キシリトールガムを噛むことなどが挙げられるが、現時点で確実な予防法はフッ素を塗布することしかない」と、確実な虫歯予防法としてフッ素塗布がすすめられているという。「一方で、フッ素には、過剰に摂取すると体に毒性が出てくるというリスクがある。そのためWHOでは、6歳以下の子どもへのフッ素の使用を禁止している」と、唯一確実に効果のあるフッ素塗布も子どもの虫歯予防には適していないとの見解を述べた。

 「こうした中で、新たに虫歯菌抑制効果のある善玉菌『BLIS-M18』が発見された。この善玉菌を子どもの頃から摂取すると、虫歯菌の少ない口内フローラを作ることができ、虫歯予防に効果を発揮する可能性が高いことがわかっている。また、『BLIS-M18』は、虫歯菌を殺菌して減少させるが、死滅させることなく共生するのが特徴だ。体への安全性が非常に高いため、今後の虫歯予防の中心になると考えられる」と、新たな虫歯予防の方法として「BLIS-M18」に大きな期待が寄せられていると話していた。「口腔内の虫歯菌は、糖尿病や高血圧など生活習慣病を増悪させる原因になっているともいわれており、『BLIS-M18』の摂取は、虫歯だけでなく全身疾患の予防につながる可能性もある」と、虫歯予防にとどまらない効果も期待できるとの考えを示した。

 そして、「BLIS-M18」の製造・販売を行うBLIS Technologies社の創設者で、オタゴ大学微生物学 名誉教授のジョン タグ先生が、「BLIS-M18」の開発経緯や効果効能及びそれを裏付けるエビデンスについて発表した。「連鎖球菌には、悪玉菌と善玉菌が存在する。悪玉菌としては、化膿連鎖球菌や肺炎連鎖球菌などがあるが、その中にミュータンス連鎖球菌(虫歯菌)も含まれている。一方で、善玉菌の代表が、唾液連鎖球菌になる。唾液連鎖球菌は、体内の舌の上だけに棲むことができ、最も安全性が高い細菌であるといわれている」と、連鎖球菌について解説。「私は12歳の時に、化膿連鎖球菌に感染してしまい、リウマチ熱を発症した。幸い重症には至らなかったが、それ以来、化膿連鎖球菌に感染しないよう、10年間もペニシリンを飲み続けることになった。ペニシリンを飲み続けると、口内フローラのバランスが崩れ、体からはマッシュルームのような臭いが発生する。この辛い経験を踏まえて、もっと別の方法で化膿連鎖球菌を予防できないかと考えるようになった」と、「BLIS-M18」を発見するきっかけになったエピソードを語ってくれた。

 「私がメルボルン大学の学生時代に、体内の細菌同士で戦いが起こっていることに気づいたのだが、その時に、恩師から腸の中では善玉菌と悪玉菌による腸内フローラが形成されていると教えられた。そこで、腸内と同じように、口腔内にも善玉菌と悪玉菌が戦う口内フローラがあるのではないかと考えた」と、腸内フローラの存在が口内フローラの研究へと結びついたのだという。「その後、オタゴ大学に就職し、ニュージーランドの子どもたちの口内フローラについて6年間研究していたところ、化膿連鎖球菌が少ない子どもが数名いることがわかり、この子どもたちの舌の上から唾液連鎖球菌『BLIS-K12』が発見された」と、ニュージーランドの子どもの舌から新たな唾液連鎖球菌が発見されたのだと教えてくれた。「『BLIS-K12』は、舌の上でコロニーを形成して増殖し、免疫を刺激する。これによって、喉の痛みや中耳炎、上気道炎を予防する効果が期待できる。また、舌の上で新鮮な息をキープし、口臭を予防してくれる」と、「BLIS-K12」には口腔環境を健康に保つ効果があるのだと述べていた。

 「そして、1991年には、虫歯にならない子どもたちの口腔内から、また新たな唾液連鎖球菌『BLIS-M18』が発見された。この善玉菌の大きな特徴は、ミュータンス連鎖球菌などの虫歯菌と戦い、殺菌する作用があることで、虫歯菌の隠れ家である歯垢を減少してくれることもわかった」と、ついに虫歯菌を抑制する「BLIS-M18」の発見にたどり着いたと目を細める。「過去12ヵ月で1本を含む少なくとも3本の修復歯を持つ5歳から10歳の子ども100名を対象に、3ヵ月間、『BLIS-M18』の臨床試験を実施した。この試験では、まず3日間クロルヘキシジンを使って口腔内を洗浄し、その後、毎日『BLIS-M18』または対照の薬を摂取してもらった。その結果、『BLIS-M18』を摂取した子どもは、歯垢スコアが大幅に減少していた。また、ミュータンス連鎖球菌のレベルも急激に低下していることがわかった」と、臨床試験からも「BLIS-M18」が虫歯菌や歯垢を抑制する効果が認められたのだと力説していた。「現在、唾液連鎖球菌の研究は各国で進められている。今後も引き続き『BLIS-M18』のプロバイオティクスがもたらす効果効能の研究に力を注いでいく」と、「BLIS-M18」のさらなる健康効果を明らかにしていくのだと意欲を見せていた。【PR】

日本口内フローラ研究会=http://oralflora.jp/


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