医療最前線

ボストン・サイエンティフィック、完全皮下植込み型除細動器(S-ICD)システム「EMBLEM」を発売、低侵襲の不整脈治療を実現

2016.04.28 20:24 更新

 ボストン・サイエンティフィック ジャパンは、今年から保険適用となった国内唯一の完全皮下植込み型除細動器(S-ICD)システム「EMBLEM」を発売した。4月27日に行われた説明会では、「EMBLEM」の開発経緯や製品の特長を説明した他、不整脈治療のスペシャリストである3名の医師を招き、S-ICDシステムによる不整脈治療の効果について具体的な症例と共に紹介した。
 「当社は、患者に侵襲の少ない製品を開発し、革新的な治療法を提供することで、患者の人生を実り多いものとすることに全力で取り組むことをミッションに掲げている。その中で、リズム・マネジメント事業部では、ペースメーカーやICD(植込み型除細動器)など、不整脈治療および心不全治療に用いる植込み型医療機器の製品群を提供している」と、ボストン・サイエンティフィック ジャパン 専務執行役員 リズム・マネジメント事業部の佐伯広幸統括事業部長が挨拶。「国内では、年間約10万人の突然死があるが、このうち約7万人が心臓の異常が原因となっている。実に、1日に約200人が心臓突然死をしている計算になる。そして、その多くは不整脈死である」と、不整脈による心臓突然死で命を落とす人は多いのだという。「この不整脈死では、心室頻拍や心室細動の役割が大であり、これらに対してICDの有用性が証明されている。今回発売する新製品『EMBLEM』は、心臓にリード線を入れることなく致死性の不整脈を治療できる画期的なICDシステムとなっている。これによって、不整脈による患者の心臓突然死をなくしていきたい」と、心臓突然死の予防に貢献できる製品を上市するのだと胸を張っていた。

 続いて、ボストン・サイエンティフィック ジャパン リズム・マネジメント事業部 プロダクトマーケティングの古閑智寿プロダクトマネージャーが「EMBLEM」の開発経緯や製品特長について説明した。「これまで、心室性頻拍性不整脈や致死性頻脈性不整脈による心臓突然死に対しては、主に経静脈ICDデバイスが使われてきた。しかし、経静脈ICDは、デバイス本体を前胸部皮下に植込み、静脈を経由してリード線を心臓内に留置する必要がある。そのため、血管内のリード留置時や感染症発生時の対処、さらには耐久性の面で様々なリスクが存在していた」と、従来の経静脈ICDが抱える課題を指摘。「こうした課題を解決するべく、S-ICDシステム『EMBLEM』を開発した。『EMBLEM』では、従来の経静脈ICDとは異なり、リード線を心臓の血管内に留置せず、胸骨中線近辺皮下に留置するのが大きな特長となっている。また、デバイス本体も左中腋窩線皮下に植込むため、不整脈治療において、より低侵襲で安全な治療の可能性が広がると考えている」と、「EMBLEM」は、患者の負担を軽減し、安全性の高い不整脈治療を行うことができると力説した。

 「とくに、リード線を心臓に入れないことで、植込み時の合併症を低減できる。万が一、植込んだ後に合併症が発症した場合にも、経静脈ICDに比べて対処が容易である。また、リードに関するトラブルも回避することができる」と、リード線を心臓に入れないことによる治療メリットを強調。「S-ICDシステムの海外の臨床試験データによると、S-ICDの急性期合併症発生は2%であり、経静脈ICDスタディと比較しても同等であった。また、S-ICDは血管内感染や電極の不具合は認められなかった。さらに、不適切なショックの発生率、感染、全体的な合併症のリスクは、植込み担当医が経験を積むにつれて低減していた」と、海外の臨床試験データからも、広範囲な患者に対してS-ICDの安全性と有効性が裏付けられているのだと話していた。

  


 この後、不整脈治療のスペシャリストである済生会熊本病院心臓血管センター循環器内科 不整脈先端治療部門 最高技術顧問の奥村謙先生、岡山大学病院循環器内科講師の西井伸洋先生、国立循環器病研究センター心臓血管内科医師の石橋耕平先生が登壇し、具体的な症例を示しながら、S-ICDシステムによる不整脈治療の効果について紹介した。今回の発表では、S-ICDシステムの治療例として、主に若年者の症例が紹介され、植込み手術の負担が少ないことや、腋の下にデバイスを植込むため術後も目立たないこと、術後には不整脈が改善したことなどを説明。不整脈の治療期間が長い若年層の患者ほど、S-ICDから得られる恩恵は大きいのだと訴えた。

ボストン・サイエンティフィック ジャパン=http://www.bostonscientific.com/jp-JP/



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