医療最前線

隠れ炎症を考える会、炎症や隠れ炎症が身体内部のケアするべき大切な要素のひとつであることを啓発

2016.01.18 19:44 更新

 隠れ炎症を考える会は、体内や肌に様々な影響をもたらすといわれ、近年注目されつつある炎症について、1月15日に、同志社大学大学院生命医科研究科/アンチエイジングリサーチセンター 教授の米井嘉一先生を招き、セミナーを開催した。また、肌老化と隠れ炎症の因果関係に着目し、米井先生と美容家の鈴木絢子氏、杏林製薬 スキンケア研究所の山田利光所長/薬剤師によるトークセッションも催された。

 「隠れ炎症は、肌や老化に関係している。これらを知らしめるべく、隠れ炎症を考える会を発足した。肌は炎症の影響を受けやすく、40代から顕在化してくるともいわれている。こうした点を学ぶべく、今回セミナーを開催した」と、美容家の鈴木絢子氏が挨拶した。

 次に、同志社大学大学院生命医科研究科/アンチエイジングリサーチセンター 教授の米井嘉一先生が、老化と隠れ炎症について講演を行った。「私たちの体は年齢とともに老化していくが、この老化を早めてしまう要因として隠れ炎症が挙げられる」と、隠れ炎症に対し、何らかの対策を講じることが重要であると説く。「子どものためのアンチエイジングや40代からのアンチエイジングは、まさに隠れ炎症を抑えるための取り組みとなる」と、若い段階から隠れ炎症に対して何らかの対策を講じることで、健康寿命が伸びるのだと指摘する。

 「隠れ炎症は、免疫ストレス、酸化ストレス、糖化ストレス、心身ストレスが原因とされ、これらが老化の危険因子といわれている」と、ストレスが大きな要因なのだと説明する。「隠れ炎症は、老化やさまざまな生活習慣病と密接なかかわりがあることがわかってきた」とのこと。「そもそも炎症とは、有害な刺激や体内に侵入してきた異物に対する生体防御反応」と、炎症について解説。「人間の体内では、全身のあちこちで自覚症状のない小さな炎症が常に発生している。これが慢性化した状態を隠れ炎症という」と、隠れ炎症は小さな炎症が慢性化した状態をいうのだと教えてくれた。

 「隠れ炎症の原因は、肥満、疲労・過労、ストレス、食生活の偏り、大気汚染、紫外線、不規則な生活、座りっぱなしの生活、便秘などが挙げられる」と、私たちの身近なところに、隠れ炎症の原因が潜んでいるのだと訴える。「たとえば肥満では、脂肪細胞は人体最大の内分泌器官。太ると、炎症性サイトカインが大量に分泌される」と、太るということ自体が隠れ炎症の原因なのだと指摘する。「隠れ炎症を放っておくと、炎症によるダメージが深刻化。さらに生理機能や細胞機能の低下や炎症性サイトカインの増加、炎症ダメージを回復させる力が低下し、隠れ炎症が進行。老化や生活習慣病が顕在化する」と、老化や生活習慣病に至る要因として隠れ炎症があるのだと述べていた。

 「隠れ炎症は、40代を過ぎたら、誰にとっても他人事ではない」とのこと。「また、糖化ストレスや酸化ストレスも、隠れ炎症と深くかかわっている」という。「糖化とは、体内でタンパク質と糖質が結合し、劣化・変性する生体反応。蓄積すると、老化促進物質『AGEs(糖化反応最終生成物)』が作られる。AGEsが炎症性細胞のAGEs受容体に結びつくと、炎症関連遺伝子NF-kBのスイッチがオンとなり、炎症性サイトカインの合成がスタートする」と、糖化ストレスと隠れ炎症の関係性について解説。「酸化とは、体内で発生する活性酸素によって、細胞がダメージを受ける生体反応。活性酸素は、有害物質を攻撃して無毒化する働きをする一方、まわりの正常な細胞にもダメージを与え、炎症を引き起こす。酸化でもろくなった細胞は、糖化・炎症の影響を受けやすく、酸化・糖化・炎症のトリプルパンチにさらされる」と、酸化ストレスと隠れ炎症との関係についても言及してくれた。

 「つまり、隠れ炎症は慢性的な、自覚できない小さな火種のようなもの。40歳を過ぎれば、誰の身体の中にも小さな火種がくすぶっており、老化が進行していく。生きている限り、小さな火種のそのものを阻止することはできないが、生活習慣病や見た目の老化といった深刻な大火事に発展するのを予防することは可能だ」と、小さな火種のうちにケアすることが大切だと説く。「隠れ炎症の予防ケアとして、食生活の改善が挙げられる。これによって糖化ストレス(AGEs)を減らすことができる。食事によって便秘を減らし腸内フローラを改善することも大切だ」と、糖分の摂取を減らし、食物繊維や発酵食品、ヨーグルトなどを積極的に食生活に取り入れることを推奨していた。「隠れ炎症を予防するには、運動も重要となってくる。筋肉を保つ筋トレを行うことで、糖の7割を消費し、AGEsを減らすことができる。スクワットが有効と思われる。また、内臓脂肪を減らす有酸素運動を行ってほしい。15分余分に歩くことを心掛けてほしい」と、簡単な運動を続けることが重要であると述べていた。「メンタル面においては、ストレスケアをすること。これには睡眠不足を解消し、質の高い睡眠を行うことが有効と思われる」と、睡眠をしっかり確保することも必要だと語っていた。「スキンケアについては、皮膚は人間にとって最大の組織である。それだけに、UVケアや保湿、抗糖化ケアによって、AGEs生成の抑制や分解を行い、マクロファージの暴走を防ぐ」と、肌ケアも隠れ炎症予防に効果的であると話していた。

 この後、米井先生、鈴木氏、杏林製薬 スキンケア研究所の山田利光所長/薬剤師によるトークセッションが行われた。米井先生は、「ストレスを多く抱えている人が隠れ炎症になるケースが多い。また、スマートフォンを寝る前にチェックしているという人も隠れ炎症度が高い人であることが明らかとなっている」とのこと。鈴木氏は、「米井先生が作成した隠れ炎症チェックシートを行ってみたのだが、20項目中7項目もあてはまる点があった」と、気を使っていると思っていたが、まだまだしっかりケアできていないことが浮き彫りになったと語っていた。山田所長は、鈴木氏など女性に関心が高い肌への影響について解説。「隠れ炎症が起こると、30~40代にかけて肌の不調などの兆候が見られるようになる。これをケアしていかないと、加齢によって様々なところから顕在化していく」と、ケアを怠ると炎症の速度を早めてしまうのだと力説する。

  


 では、どのようなケアが有効なのだろうか。鈴木氏が質問すると、山田所長は、「隠れ炎症そのものにアプローチすることは大変なので、バリア機能を整えるなどが良い。具体的には、セラミドや抗炎症に作用し細胞そのものを元気にするスキンケア製品などを活用してほしい」と、肌細胞に働きかけるスキンケア製品を使うと良いのだと教えてくれた。米井先生は、「UVケアプラス禁煙が有効」とのこと。「また、保湿も大切で、ワセリンのようなもので肌の水分を保持してほしい」と話していた。

隠れ炎症を考える会=http://kakure-ensho.jp


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