医療最前線

QLife、抗凝固薬服用者の家族ケアに関する調査、抗凝固療法で患者が感じるストレスや不満はそのまま家族のストレスや不満に

2013.11.18 13:48 更新

 月600万人が利用する病院検索サイト、医薬品検索サイト、医療情報サイトを運営する総合医療メディア会社のQLife(キューライフ)は、弘前大学大学院医学研究科 循環呼吸腎臓内科学講座 教授 奥村謙先生監修のもと、経口抗凝固薬を服薬している患者の家族を対象に調査を行った。その結果、抗凝固療法で患者が感じるストレスや不満は、そのまま家族のストレスや不満として影響を及ぼしていることがわかった。奥村先生は、「抗凝固療法は、多くの患者が長期間、服薬を続ける必要がある。食生活や服薬管理の面などで、治療継続を負担に感じている場合は、より“我慢しない”治療が可能となる新規経口抗凝固薬も選択肢の一つに加え、かかりつけ医に相談してみるのもよい」とコメントしている。

 心原性脳塞栓症を予防する経口抗凝固薬として、長きにわたり採用されてきたワーファリン(ワルファリン)だが、食事制限や定期的な血液検査が必要など、負担に感じている患者も一定数存在する。一方で、そういった課題を克服し、最近相次いで登場してきた新規経口抗凝固薬は、変更した患者の満足度も高くなっている。こうした、新旧の経口抗凝固薬に対する意識について、患者に最も近い存在である家族はどう感じているのか。そこで、今回、弘前大学大学院医学研究科 循環呼吸腎臓内科学講座 教授 奥村謙先生監修のもと、経口抗凝固薬を服薬している患者の家族を対象に、調査を行った。

 医師や病院から抗凝固薬に関する日常生活の注意点について、説明を受けたことはあるかとの問いには、何らかの説明を受けたと回答した患者家族は全体の86.7%となった。説明方法については「医師からの説明」が最も多く(90.0%)、次いで「薬剤師から説明」「医師から資料をもらった」となった。薬剤別では、新規抗凝固薬服用患者の家族の25.8%が「全く説明を受けていない」と回答。ワーファリン服用患者の家族の10.2%と大きな差異が見られた。

 説明内容別の説明の有無については、「疾患について」「薬の効果・安全性について」「食生活における注意点」「出血につながる行為に対する注意点」については7割以上の患者家族が「説明を受けた」と回答した一方、「旅行時・外出時における注意点」については半数以上の患者家族が「説明を受けていない」と回答した。内容の理解度については、「食生活」「出血につながる行為」について「説明を受け、理解した」割合が高い一方、「副作用発現時の注意点」「飲み忘れ時の注意点」については、「あまり理解できなかった」患者家族の割合が高くなった。

 ワーファリンと新規経口抗凝固薬での、説明の有無についての比較では、今回挙げた8テーマのすべてでワーファリン服用患者の家族の方が「説明を受けた」とする割合が多かった。差異が最も大きかったのが「食生活について」で、ワーファリン服用患者の家族の8割以上が「説明を受けた」と回答した一方、新規経口抗凝固薬服用患者では約6割が「説明を受けた」と回答した。

 食生活に気を配らなければならないことを心理的または経済的に負担に感じるかとの問いでは、29.4%の患者家族が「かなり負担に感じる」「やや負担に感じる」と回答した。薬剤別では、ワーファリン服薬患者の家族では31.1%、新規経口抗凝固薬服薬患者の家族では24.3%が「(かなり)(やや)負担に感じる」と回答した。

 


 抗凝固薬の服用を始めた前後で、食事のメニューなど食生活はどのように変化したか。具体的に聞いたところ、「納豆」「青汁」といった、ワーファリンと相互作用をもつ具体的な食材名を挙げた回答が多く見られたほか、「塩分や脂分を減らす」「和食中心にする」などの食生活習慣を変えた、とする回答が見られた。

 


 出血リスクを減らすための生活上の工夫をすることに、心理的または経済的に負担を感じるかについては、21.1%の患者家族が「かなり負担に感じる」「やや負担に感じる」と回答した。薬剤別では「負担に感じる」割合に大きな差異は無いが、「全く負担には感じない」と回答した割合について、ワーファリン服用患者の家族は15.3%、新規経口抗凝固薬服用の患者家族は26.5%と差異が見られた。

 出血リスクを減らすために、生活上で工夫したことについては、大きく分けて「切り傷を作らないようにするため」と「内出血・あざを作らないようにするため」の生活上の工夫をしている、という回答が多く見られた。

 


 家族など、患者本人以外の誰かが、服薬管理を行っているかでは、服薬管理について、患者家族の58.8%が「患者本人に任せている」と回答。「飲む時間・量ともにチェックしている」と回答したのは16.5%にとどまった。薬剤別でも大きな差異は見られなかった。記録先には、お薬手帳や血圧手帳、資材など、薬局や医師からもらう資料・資材でチェックするという意見が最も多く、次いでピルケースを利用する、とした回答が多く挙がった。

 


 飲み忘れを発見したり、飲む量が指示通りでなかったことを発見したことがあるかでは、患者が正しく服薬しなかったケースについて、家族の約3人に1人が「発見したことがある」と回答。薬剤別では、新規経口抗凝固薬の方が若干、「発見した」割合が高くなっている。

 


 服薬管理に気を配らなければならないことを心理的または経済的に負担に感じるかでは、患者家族の23.5%が服薬管理に「かなり負担に感じる」「やや負担に感じる」と回答した。薬剤別では、ワーファリン服薬患者の家族が「負担に感じる」と回答した割合が、新規経口抗凝固薬の割合を若干上回った。

 


 患者本人から「納豆が食べられない」「怪我に気をつけなければならない」などの不満を訴えられたり、薬の服用を中止したいと相談されたことはあるかでは、9.4%の患者家族が服薬中止の相談を受けたことがあると回答した。薬剤別ではワーファリン服用患者が11.5%に対し、新規経口抗凝固薬はわずか3.3%と大きな差異が見られた。

 「患者本人から不満を訴えられたり相談を受けた」と回答した人に、その具体的内容を聞いた。患者が訴える不満の内容はQOLに関するものがほとんどで、とくに「納豆を食べたい」と訴えるものが多く見られた。

 


 ワーファリンから新規経口抗凝固薬に変更した患者家族対象に、お薬を変えたことによって、食生活に気を配らなければならない負担は軽減されたかについて聞いたところ、41.5%の患者家族が、新規経口抗凝固薬に変更して「かなり負担が軽減された」「やや負担が軽減された」と回答した。また、お薬を変えたことによって、「服薬管理に気を配らなければならない負担」は軽減されたかについては、21%の患者家族が、新規経口抗凝固薬に変更して「かなり負担が軽減された」「やや負担が軽減された」と回答した。お薬を変えたことによって、「薬に関する不満を訴えられたり相談される負担」は軽減されたかでは、28%の患者家族が、新規経口抗凝固薬に変更して「かなり負担が軽減された」「やや負担が軽減された」と回答した。

 


 望ましい抗凝固薬に関して、家族の立場から最も多かったのが「他の薬との作用が少ない薬」で45.9%だった。次いで、「食事制限が少ない・無い薬」「1日に飲む回数が少ない」となった。薬剤別では、ワーファリンは「食事制限が少ない・無い」が最も多かった一方、新規経口抗凝固薬では、「他の薬との作用が少ない薬」が最も多かった。

[調査実施概要】
調査主体:QLife(キューライフ)
実施概要
(1) 調査対象:抗凝固剤を服用している患者の家族
(2) 有効回収数:1000人
(3) 調査方法:インターネット調査
(4) 調査時期:9月30日(月)~10月4日(金)

QLife(キューライフ)=http://www.qlife.jp/


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