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ボタニカルニュートリション研究会、微細藻類からつくられるDHAを「ボタニカルDHA」と命名しその可能性について発表

2017.02.16 18:13 更新

 世界の人々が豊かな食生活を送るため、ライフサイエンスに基づいて環境負担の低いサスティナブルな栄養素の研究や、取り組みに関する情報発信および共有などの活動を通じて、社会に貢献することを目的に発足された、ボタニカルニュートリション研究会は、2月16日に、「サスティナブルな未来を築く、ボタニカルDHAの可能性について」と題したセミナーを開催した。セミナーでは、甲南大学 理工学部 生物学科 教授の本多大輔先生が、ラビリンチュラ類と系統分類と海洋生態系における役割について講演を行った他、DSMニュートリションから臨床試験に基づいた「ボタニカルDHA」の有用性などについて説明が行われた。

 「当研究会は、すべての人々が豊かな食生活を送れるように、ライフサイエンスに基づき、環境負担の低いサスティナブルな栄養素を摂取してもらうよう啓発することを目的に発足された」と、ボタニカルニュートリション研究会事務局の御船氏が挨拶。「今後、必要以上に肉や魚を捕ることは、環境的に問題があるかもしれないといわれている。こうしたことを考えるべく、今回セミナーを開催することにした」と、セミナー開催の経緯について説明する。「私たちが研究しているDHAは、魚から摂取するものと思われがちだが、魚が食べる餌にDHAは含まれている。魚が食べる餌を直接摂ることで体内への摂取が可能なDHAを『ボタニカルDHA』と命名し、これを使ったオイルやお菓子などの開発も行われている」と、サスティナブルな栄養素として「ボタニカルDHA」を浸透させていきたいと訴えた。

 次に、サスティナビリティな考え方と取り組み事例について、DSMニュートリションジャパンの水野慎一郎氏が講演を行った。「まず、サスティナビリティとは、今ある地球をそのまま次世代に引き継いでもらうことを意味する」と、サスティナビリティの概念について紹介。「ボタニカルニュートリション研究会では、ルテインとDHAにフォーカスし、研究を行っている」と、2つの栄養素について深く掘り下げているのだと教えてくれた。「DHAは魚から摂取することが可能だが、魚自身がDHAを作り出しているわけではない。DHAは、魚が摂取する植物プランクトンが作り出していることがわかっている」と、魚の餌にDHAが豊富に含まれているとのこと。「植物プランクトンに含まれるDHAを『ボタニカルDHA』として紹介。私たちの体で作り出すことができないDHAは、魚から摂取するのではなく、『ボタニカルDHA』から摂取することで、魚の絶滅などの危機から救うことができる」と、再生可能な植物プランクトンからDHAを摂取することで、サスティナブルな方向に持っていくことが可能なのだと力説した。

 そして、甲南大学 理工学部 生物学科の本多大輔先生が、ラビリンチュラ類と系統分類と海洋生態系における役割について講演を行った。「DHAは、魚が食べるプランクトンの餌である“藻”の一種である微細藻類が元となり、食物連鎖によって魚がDHAを蓄える。この微細藻類に属するラビリンチュラ類の研究を行っている」と、ラビリンチュラ類の研究が専門なのだと教えてくれた。「ラビリンチュラ類は脂を多く持っており、石油を作り出す藻類としても話題を集めた」と、ラビリンチュラ類の特徴について紹介。「ラビリンチュラ類が蓄積する脂質には、DHAが多く含まれている。私たちは十分にDHAを合成できないので、食物として摂取するしかない」と、健康機能に優れたDHAは、食べ物を通じて体内に取り込む必要があると話していた。「DHAは魚から摂取することが可能だが、魚自身でDHAを作り出しているわけではない。しかし、魚にどんな生物がDHAを供給しているのか、まだ誰にも解明されていない」と、DHAの供給源については謎が多いのだと説明する。

 「海の牧草と呼ばれ、DHAを豊富に含む珪藻は、地球上の一次生産の20%を担っている。また、EPAを豊富に蓄積している。そして、次世代シーケンサー調査を行った結果、ラビリンチュラ類は珪藻類の約10%を占めることがわかった」と、ラビリンチュラ類は海洋に多く存在するのだと指摘する。「このラビリンチュラ類の生態系における理解が、魚類のDHA蓄積の謎を解く手掛かりになるかもしれない」と、ラビリンチュラ類がDHAの供給源である可能性も考えられると示唆していた。

 最後に、DSMニュートリションプロダクツ チャイナのチャン ウェイゴ ニュートリションサイエンス&アドボカシー ディレクターが、ボタニカルDHA開発の経緯と人々の生活でいかに有効であるかについて説いた。「ボタニカルDHAはNASAの研究から生まれ、90年代には、子どもたちの脳の研究に活用された。2010年には、飲料やサプリメントにも活用されるようになり、現在も様々な研究が行われている」と、ボタニカルDHAの歴史について解説。「ボタニカルDHAは、魚由来のDHAではないため、サスティナブルな原料であるといえる。また、菜食主義者向けでアレルギーフリーとなっている。遺伝子組み換えでもなく、海洋汚染物質や水銀を含まない」と、その特徴について教えてくれた。「DHAは脳内の脂肪酸の10~15%を占めており、脳内のω-3脂肪酸の97%を占める。DHAは選択的に細胞膜に存在しており、統合機能やワーキングメモリー、空間学習能力、事実や出来事を思い出す能力を引き出すといわれている」と、ボタニカルDHAの働きについて言及してくれた。

 「また、DHAは子どもの脳内の前頭皮質を活性化させる」と、集中が続くことが明らかになっているとのこと。「DHAは読む能力に長けており、低いリーディング能力の子どものスコアを改善させることも試験から明らかとなった」と、オックスフォード大学で行われた研究成果を紹介。「ある研究では、DHAを900mg摂取すると約7歳、脳年齢が若返るという結論も得られている」と、DHAの摂取によって脳機能が改善するのだと教えてくれた。「さらに、DHAは早産や低出生体重のリスクを低減させる」とのこと。「脂肪酸の中のDHA・EPAの割合が1%上昇すると、死亡率が減少する」と、試験データを示しながら、その根拠について説明してくれた。

ボタニカルニュートリション研究会=http://bon-lab.academy



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